井上　靖写真

いのうえ　やすし井上　靖

明治40～平成3
ジャンル：小説家
出身：北海道

PROFILE

新聞記者として兵庫県西宮市に一時居住。兵庫県が舞台の作品に『猟銃』『闘牛』『あした来る人』『三ノ宮炎上』がある。明治40年（1907）北海道上川郡旭川町に、父・隼雄、母・やゑの長男として生まれる。1歳の時伊豆湯ヶ島へ移り、その後、3歳から12歳まで曽祖父の妾に育てられる。金沢の第四高等学校を経て、昭和11年（1936）、京都帝国大学哲学科卒業、毎日新聞社に入社。昭和25年（1950）西宮を舞台とした『闘牛』で芥川賞を受賞し、創作に専念する。

《略年譜》

年	年齢	事項
1907	0	北海道上川郡旭川町に、父・隼雄、母・やゑの長男として生まれる。
1908	1	父の任地変更で伊豆湯ケ島に戻り、後各地を転々とする。
1910	3	両親と離れ、湯ケ島で戸籍上の祖母・かのに育てられる。
1914	7	湯ケ島尋常高等小学校に入学。
1920	13	祖母・かの死去。浜松師範付属小学校高等科に入学。
1921	14	4月、静岡県立浜松第一中学校に首席で入学。
1922	15	静岡県立沼津中学校に転校。親戚の家に下宿する。
1927	20	金沢の第四高等学校理科甲類に入学。柔道部に入って練習生活に明け暮れる。
1929	22	柔道部を退部。詩作を始め、各地の同人誌に詩を発表。
1930	23	九州帝国大学法文学部英文科に入学。登校の興味を失い上京、文学書を読みふける。
1932	25	九州帝大を退学し、京都帝国大学文学部哲学科に入学、美学を専攻。この頃から懸賞小説に連続して入選する。
1936	29	『流転』により千葉亀雄賞を受賞。毎日新聞社大阪本社に入社する。京都帝国大学を卒業。
1939	32	京都帝大文学部大学院で美術の勉強を始める。
1945	38	終戦の日、「玉音ラジオに拝して｣の記事を書く。
1950	43	『闘牛』により第22回芥川賞を受賞。
1951	44	毎日新聞社を退社。以後創作の執筆と取材、講演のための旅行が続く。
1958	51	『天平の甍』により第8回芸術選奨文部大臣賞を受賞。
1959	52	『氷壁』その他により第15回芸術院賞を受賞。
1960	53	『敦煌』『楼蘭』により第1回毎日芸術大賞を受賞。『しろばんば』発表（36回連載）。
1961	54	『淀どの日記』により第14回野間文芸賞を受賞。
1964	57	日本芸術院会員となる。『風濤』により第15回読売文学賞を受賞。『夏草冬濤』を発表（350回連載）。
1969	62	『おろしや国酔夢譚』により新潮社第1回日本文学大賞を受賞。日本文芸家協会理事長に就任。『モラエス全集』発刊の功で、ポルトガル政府から「インファン・テ・ドン・ヘンリック勲章」を贈られる。
1976	69	文化勲章受章。
1980	73	日中文化交流協会会長に就任。仏教伝道文化賞受賞。ＮＨＫ「シルクロード」取材班と共に第28回菊池寛賞受賞。
1981	74	『井上靖歴史小説集』（全11巻）を岩波書店より刊行開始。（～1982）
1981	74	日本ペンクラブ第9代会長に就任。
1982	75	『本覚坊遺文』により新潮社第14回日本文学大賞受賞
1983	76	『エッセイ全集』（全10巻）を学習研究社より刊行。
1984	77	第47回国際ペンクラブ東京大会の時、国際ペンクラブ副会長に就任。
1985	78	『井上靖自伝的小説集』（全5巻）を学習研究社より刊行。
1987	80	『孔子』を発表。
1989	82	『孔子』により第42回野間文芸賞を受賞。
1991	83	1月29日逝去。
1992		『井上靖歴史紀行文集』（全4巻）が岩波書店より刊行。
1995		『井上靖全集』（28巻＋別巻1）が新潮社より刊行開始。（～2000）

逝去地: 東京都

兵庫県との関係: 一時居住　作品舞台　『闘牛』『あした来る人』『三ノ宮炎上』

代表作品

作品名	刊行年	版元
猟銃・闘牛	1950	新潮社
白い牙	1951	新潮社
あすなろ物語	1953	新潮社
異域の人	1953	大日本雄弁会講談社
黒い蝶	1955	新潮社
姨捨	1955	新潮社
氷壁	1956	新潮社
その日そんな時刻	1956	東方社
本覚坊遺文	1956	講談社
楼蘭	1957	中央公論社
天平の甍	1957	中央公論社
射程	1957	新潮社
敦煌	1959	講談社
蒼き狼	1960	文藝春秋新社
淀どの日記	1961	文藝春秋新社
しろばんば	1962	中央公論社
風濤	1963	講談社
楊貴妃伝	1965	中央公論社
夏草冬濤	1966	新潮社
化石	1967	講談社
夜の声	1968	新潮社
おろしや国酔夢譚	1968	文藝春秋
額田女王	1969	毎日新聞社
星と祭	1972	朝日新聞社
後白河院	1972	筑摩書房
幼き日のこと	1973	毎日新聞社
わが母の記	1975	講談社
北の海	1975	中央公論社
月の光	1977	文芸春秋
私の西城紀行（上・下）	1983	文藝春秋
異国の星（上・下）	1984	講談社
孔子	1989	新潮社
星闌干 : 詩集	1990	集英社
わが母の記	1994	埼玉福祉会
世界の名画	1994	中央公論社
井上靖全集	1995・1996	新潮社
井上靖短篇集	1998	岩波書店
私の古寺巡礼	2004	光文社
風林火山	2006	新潮社

受賞歴

受賞年	受賞内容	受賞作品
1931	第１４回「サンデー毎日」大衆文芸	「初恋物語」
1935	第１７回「サンデー毎日」大衆文芸	「紅荘の悪魔たち」
1936	第１回千葉亀雄賞　１席	「流転」
1950	第２２回芥川龍之介賞	「闘牛」
1958	第８回芸術選奨文部大臣賞　文学、評論部門	「天平の甍」
1959	第１５回日本芸術院賞　文芸部門	「氷壁」
1960	第１８回「文芸春秋」読者賞	「蒼き狼」
1960	第1回毎日芸術大賞	「敦煌」「楼蘭」
1961	第１４回野間文芸賞	「淀どの日記」
1964	第１５回読売文学賞　小説賞	「風濤」
1969	第１回日本文芸大賞	「おろしや国酔夢譚」
1980	第２８回菊池寛賞	ＮＨＫ「シルクロード」（取材班）
1980	仏教伝道文化賞
1981	昭和５５年度　日本放送文化賞
1982	第１４回日本文学大賞	「本覚坊遺文」
1989	第４２回野間文芸賞	「孔子」

兵庫ゆかりの作品

作品名	刊行年	版元
猟銃
明治の風俗資料
昨日と明日の間
美也と六人の恋人
佐治与九郎覚書
三ノ宮炎上
星の屑たち
射程
『闘牛』について
ハトとＡさん
日記から
明るい海
戦国無頼
黒い蝶	1955	新潮社
闘牛
楕円形の月
あした来る人
その人の名は言えない