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兵庫ゆかりの作家

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庄野 潤三写真

しょうの じゅんぞう庄野 潤三

  • 大正10~平成21
  • ジャンル: 小説家
  • 出身:大阪府

PROFILE

兵庫県が舞台の作品に『流木』、『早春』がある。 大正10年(1921)大阪生まれ。兄は児童文学作家庄野英二。昭和8年(1933)大阪府立住吉中学入学。昭和14年(1939)大阪外語英語部に入学するころからイギリスのエッセイを愛好するようになる。昭和16年(1941)、住吉中学時代に教わったことのある伊東静雄の名を河出書房刊の「現代詩集」の中に見出し、以降伊東静雄の家をしばしば訪ね、詩に興味を持つようになった。昭和17年(1942)4月、九州帝国大学法文学部に入学。一年上には島尾敏雄がいた。昭和18年(1943)、初めての小説「雪・ほたる」を同人雑誌「まほろば」に発表。この年、広島県大竹海兵団に入団。翌19年(1944)には海軍少尉となった。終戦後は高校教師として勤務したが、昭和26年9月、朝日放送に入社。学芸課に勤務し、かたわら小説を書き続け、「プールサイド小景」で第32回芥川賞を受賞。「第三の新人」の一人として安岡章太郎、吉行淳之介らとともにに活躍する。昭和35年(1960)新潮社文学賞、昭和40年(1965)読売文学賞、昭和44年(1969)芸術選奨など受賞多数。現在、芸術院会員。最新の仕事は、平成15年(2003)「文学界」に連載した「メジロの来る庭」で、平成16年(2004)4月に文藝春秋より刊行される。兵庫県の芦屋が出て来る作品には『早春』(昭和57年1月 中央公論社)がある。                                                                                                   平成21年(2009)9月21日老衰のため死去。

《 略年譜 》

年齢 事項
1921 0 2月9日、大阪府東成郡住吉村(現:大阪市住吉区帝塚山)に父貞一、母春慧の三男として生まれる。父は教育者で帝塚山学院の創立者。
1926 5 4月、帝塚山学院幼稚園に入園。
1927 6 4月、帝塚山学院小学部入学。欧米の教育視察に旅立つ父を神戸港で見送る。
1933 12 帝塚山学院小学部卒業。大阪府立住吉中学校に入学。
1939 18 4月、大阪外国語大学英語学部入学。この頃、チャールズ・ラムなどのイギリスのエッセーを好む。
1941 20 3月、河出書房版の『現代詩集』で伊藤静雄の作品を読み、静雄の自宅を訪ねる。以後、たびたび訪問して文学の話を聴く。繰り上げで大阪外国語学校を卒業。
1942 21 4月、九州帝国大学法文学部文科に入学。東洋史を専攻した。一年上級に島尾敏雄がいた。
1943 22 初めての小説「雪・ほたる」を書き、同人雑誌「まほろば」に掲載される。12月、広島県の大竹海兵団に入団。
1944 23 海軍予備学生隊に入隊。大学から10月付で卒業証書が与えられる。海軍少尉に任官。
1945 24 伊豆半島の海岸にある基地舞台に所属して米軍上陸に備えるための砲台建設に従事。終戦後、復員。大阪府立今宮中学校に勤務する。
1946 25 1月、浜生千寿子と結婚。5月、島尾敏雄、林富士馬、三島由紀夫らと「光耀」を創刊するが、印刷困難のため、3号で廃刊となる。
1948 27 学制改革のため、今宮高校から大阪市立南高校に転勤する。
1949 28 島尾敏雄の推薦で「愛撫」を雑誌「新文学」に発表。中山義秀からこの作品について葉書をもらう。
1951 30 大阪市立南高校を辞し、朝日放送に入社。学芸課に勤務して教養番組制作を担当。
1953 32 3月、伊藤静雄死去。「喪服」が芥川賞候補となる。朝日放送東京支社に転勤。吉行淳之介、阿川弘之、島尾敏雄、安岡章太郎、小島信夫ら同世代の友人と交わる。
1955 34 「プールサイド小景」で第三十二回芥川賞受賞。8月、朝日放送退社。文筆生活に入る。
1957 36 ロックフェラー財団の招きで米国に留学。
1960 39 短編集『静物』で第七回新潮社文学賞受賞。
1966 45 『夕べの雲』で第17回読売文学賞受賞。
1969 48 「紺野機業場」で芸術選奨受賞。
1971 50 『絵合せ』で第24回野間文芸賞を受賞。
1972 51 『明夫と良二』により第2回赤い鳥文学賞,毎日出版文化賞受賞。
1978 57 アメリカ・ケニオン大学から文学博士の名誉学位を受ける。日本芸術院会員となる。
2009 88 9月21日死去
兵庫県との関係
舞台(西宮、神戸)

代表作品

作品名 刊行年 版元 備考
愛撫 1953 新潮社
浮き灯台 1961 新潮社
夕べの雲 1965 講談社
流れ藻 1967 新潮社
明夫と良二 1972 岩波書店
インド綿の服 1988 講談社
星に願いを 2003 講談社
メジロの来る庭 2004 文藝春秋
せきれい文春文庫 2005 文藝春秋
けい子ちゃんのゆかた 2005 新潮社
うさぎのミミリー 新潮文庫 2005 新潮社
ピアノの音 講談社文芸文庫 2005 講談社
ガンビア滞在記大人の本棚 2005 みすず書房
自分の羽根 – 庄野潤三随筆集 講談社芸文庫 2006 講談社
ザボンの花 大人の本棚 2006 みすず書房
ワシントンのうた 2007 文藝春秋
愛撫/静物 – 庄野潤三初期作品集 講談社文芸文庫 2007 講談社
山田さんの鈴虫 文春文庫 2007 文藝春秋
野菜賛歌 講談社文芸文庫 2010 講談社
野鴨 2011 講談社
逸見小学校 2011 新潮社

受賞歴

受賞年 受賞内容 受賞作品
1957 第32回芥川賞 「プールサイド小景」
1960 第7回新潮社文学賞 『静物』
1965 第17回読売文学賞 「夕べの雲」
1969 第20回芸術選奨文部大臣賞 文学、評論部門 「紺野機業場」
1971 第24回野間文芸賞 『絵合せ』
1972 毎日出版文化賞 『明夫と良二』
1972 第2回赤い鳥文学賞 『明夫と良二』
1973 日本芸術院賞

兵庫ゆかりの作品

作品名 刊行年 版元
文学交友録
早春 1982 中央公論社
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