この家族肖像画はインドネシアのバタヴィア(現在のジャカルタ)で描かれたものです。中央の紳士はピーテル・クノルという人物で、バタヴィア城内の東インド会社の上級商務員であった人物です。彼の左にいる女性はコルネリア・ファン・ニーウェンローデという人物で、九州の平戸でオランダ商館の商務員であったコルネリス・ファン・ニーウェンローデと日本人女性との間に生れた娘でした。彼女は混血児を国外退去させるという日本の鎖国政策の一環でインドネシアに送られ、そこでクノルと結婚、2人の娘をもうけました。クノルはバタヴィアでももっとも裕福な市民のひとりであり、彼らが着ている衣服や背景となっている屋敷などから彼らの豊かな生活がうかがえます。さらに左遠方に見える船はクノルの成功を象徴する商船が見えています。この作品はオランダと日本との交易を物語る史料としても重要な作品であるといえるでしょう。 |
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ヤーコプ・ヤンスゾーン・クーマン
《ピーテル・クノル一家の肖像》1665年
アムステルダム国立美術館蔵
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