オランダ絵画の黄金時代−アムステルダム国立美術館展
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Amsterdam

第3章都市
 オランダ共和国は、商業と産業のめざましい発展により繁栄しましたが、繁栄した社会は芸術家たちにも恩恵を与えました。まだほとんど田園地帯であったヨーロッパにおいて、オランダ共和国、特にホラント州は、都市化がすすみ、運河や町並みが整えられました。画家たちはそうした町並みや自国の風景を誇りをもって描き出しました。また、プロテスタントの商人の多くはもともと虚栄を張らないのが特徴でしたが、アムステルダムをはじめとする諸都市では、多額の金が、豪華な家や家具、服飾や芸術品に費やされるようになりました。この章ではこうした都市風景や都市での生活のようすを描いた作品を展示します。

ヘリット・ベルクヘイデ 《アムステルダム、ニーウェ・スピーヘル通り 付近のヘーレン運河のカーブ》

ヘリット・ベルクヘイデ
《アムステルダム、ニーウェ・スピーヘル通り
付近のヘーレン運河のカーブ》1672年
アムステルダム国立美術館蔵

  この作品はタイトルにある通り、アムステルダムのヘーレン運河で「黄金のカーブ」と呼ばれていた、裕福な市民の邸宅が立ち並ぶ美しい町並みを描いた作品です。貿易や工業で財を築いた人々にとってこのヘーレン運河沿いに家を構えることはひとつのステイタスであったようで、この作品を依頼したのもアムステルダムの裕福な市民であったと思われます。ヘリット・ベルクヘイデはハールレム出身の画家であり、このような都市風景を専門的に描くことで有名でした。ベルクヘイデはこの風景を実景に基づき、ほぼ変更を加えずに正確に描き出しています。

 当時オランダ共和国総督であったオラニエ公マウリッツとその息子フレデリック・ヘンドリックの一行を描いた作品です。オランダ共和国はこの絵が描かれた頃、スペインとの12年間の休戦中であり、政治的に安定し、東インド会社が勢力を拡大するなど経済的にも発展した時代でした。作品の中央やや左に見える白い馬に引かれた馬車に乗っているのが2人であり、周囲には出迎える貴族や役人が描かれています。しかしこの作品で注目すべきはそれ以外の細部であり、実に多くの人々、動物がえがかれていることです。地平線を高くとり、見下ろすような視点から描かれた画面のそれぞれの部分で物語が展開しており、16世紀のフランドル絵画を思わせるところがあります。作者のファン・デ・フェンネは多くの人間が描かれた寓意画や物語画を製作し、挿絵や図案制作の分野でも業績を残しました。  ヤン・デ・ブライ 《ハールレム、聖ルカ組合の理事たち》

アードリアーン・ピーテルスゾーン・ファン・デ・フェンネ
《ファルケンブルフ馬市でのオラニエ公
マウリッツとフレデリック・ヘンドリック》1618年
アムステルダム国立美術館蔵


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