当時オランダ共和国総督であったオラニエ公マウリッツとその息子フレデリック・ヘンドリックの一行を描いた作品です。オランダ共和国はこの絵が描かれた頃、スペインとの12年間の休戦中であり、政治的に安定し、東インド会社が勢力を拡大するなど経済的にも発展した時代でした。作品の中央やや左に見える白い馬に引かれた馬車に乗っているのが2人であり、周囲には出迎える貴族や役人が描かれています。しかしこの作品で注目すべきはそれ以外の細部であり、実に多くの人々、動物がえがかれていることです。地平線を高くとり、見下ろすような視点から描かれた画面のそれぞれの部分で物語が展開しており、16世紀のフランドル絵画を思わせるところがあります。作者のファン・デ・フェンネは多くの人間が描かれた寓意画や物語画を製作し、挿絵や図案制作の分野でも業績を残しました。 |
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アードリアーン・ピーテルスゾーン・ファン・デ・フェンネ
《ファルケンブルフ馬市でのオラニエ公
マウリッツとフレデリック・ヘンドリック》1618年
アムステルダム国立美術館蔵
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