オランダ絵画の黄金時代−アムステルダム国立美術館展
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第4章風景:旅する芸術家
 17世紀に入り、オランダの画家たちは自分たちの周囲の風景を「発見」しました。平地がはるかに広がり、川が交差するオランダの田舎の風景を描くようになります。そこでは、低い地平線と、空を大きくとった構図が採用され、水と空が大きな場所を占めた現実的な風景がこの時代の風景画の特徴となりました。
 画家たちの中には、自分の周囲ではなくイタリアの理想化された風景を描く者もありました。彼らはオランダの親イタリア派画家とよばれ、永遠の都ローマへの憧れを抱いてイタリアへ赴きました。また、カラヴァッジオ(1573-1610)に強い影響を受けた、いわゆるユトレヒト・カラヴァッジオ派という一派も現れました。彼らは、カラヴァッジオが好んだ主題や彼の写実主義的なスタイルによって描いただけでなく、その作品に特徴的な劇的な光の表現や明暗の強い対比をも採用しました。
 この章ではオランダの風景、イタリアの風景など、後世にも大きな影響を与えた17世紀オランダ風景画をご紹介します。

ヘリット・ベルクヘイデ 《アムステルダム、ニーウェ・スピーヘル通り 付近のヘーレン運河のカーブ》

ヤーコプ・ファン・ライスダール
《ベントハイム城》1670-75年頃
アムステルダム国立美術館蔵

  ヤーコプ・ファン・ライスダールは17世紀オランダの風景画家の中で最も多彩な画家です。この作品はドイツ国境付近のベントハイム城を描いたものですが、スケッチを元に少なくとも12点の作品を描いています。低い視点から城を見上げるように描くことにより城の堂々としたさまが表現されています。実際の城はなだらかな丘に建っていますが、ライスダールは城の位置を高く描くことで壮大さを強調しようとしました。前景から後景へと至るところで日陰と日なたを交互に並べた表現や滝のふもとに描かれた小さな人物、ドラマティックな雲の表情など風景画家としての力量が余すところなく発揮されています。

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