おんち　てるたけ遠地　輝武

明治34～昭和42
ジャンル：詩人
出身：兵庫県姫路市

PROFILE

兵庫県姫路市に生まれる。明治34年（1901）兵庫県飾磨郡（現・姫路市）生まれ。日本美術学校卒。大正12年（1923）高橋新吉、村山知義の詩に刺激され、生活苦の中本格的に詩作を開始。大正14年『夢と白骨との接吻』を第一詩集として出版するが、発禁処分となる。前後して詩、小説、評論を「新興文学」「赤と黒」などに発表。赤松月船、秋山清らを知る。その後、プロレタリア文学運動に参加。昭和5年（1930）9月には「プロレタリア詩人会」の結成に主導的立場として参加。プロレタリア文学退潮期の昭和10年（1935）には「詩精神」「詩人」などを創刊し、プロレタリア文学運動に最後まで携わった。戦中は美術評論に専念。終戦後は新日本文学会詩部会委員となり、共産党に入党。民主主義詩の高揚に力を尽くした。木村重夫の本名による美術評論も数多い。昭和36年（1961）に全詩集『遠地輝武詩集』（新日本詩人社）を刊行。

《略年譜》

年	年齢	事項
1901	0	4月21日、兵庫県飾磨郡（現：姫路市）に父・亀太郎、母・みゑの五男として生れる。
1908	7	4月、八幡尋常高等小学校に入学。
1914	13	3月、尋常高等小学校卒業。
1915	14	4月、県立姫路中学校入学。
1919	18	3月、落第が決定。2度目の4年生を経験。阿部知二と同級になる。
1920	19	3月、中学4年修了。4月、姫路中学校を中退し、上京。日本美術学校西洋画科2年生補欠編入試験に合格。6月、帰省。大阪朝日新聞へ投稿して2回掲載される。
1921	20	6月、徴兵検査を受け、甲種合格。
1922	21	6月、岡山輜重兵役第十大隊に入営するが、脚気のため除隊、現役免除される。
1923	22	3月、日本美術学校を卒業、研究科に残る。巣鴨郵便局に就職。この頃、夕刊新聞の小説の懸賞に短編小説を投稿し、二度入選。
1924	23	11月、同棲し、一児をもうけた恋人、鈴木ちい子が出奔。〈遠地輝武〉のペンネームを用いて詩作を始める。
1925	24	3月、郵便局を辞職。第一詩集『夢と白骨との接吻』刊行。即日発禁となり、巣鴨警察に検挙される。
1926	25	4月、知人の勧めで、晩成処・図画教育奨励会に就職。
1927	26	春、個人詩集『農民詩人』刊行。12月、白川好子と結婚、高田町雑司ヶ谷に新居を構える。
1928	27	1月、木村重夫の本名で小説を発表。3月、図画教育奨励会を辞職。
1929	28	4月、第二詩集『人間病患者』刊行。夏、長崎町に転居。秋、伊賀上茂と詩誌「前衛評論」を創刊。年末、下落合に転居。
1930	29	9月、プロレタリア詩人会結成に参加。日本プロレタリア美術家連盟（P・P）に参加。
1931	30	1月、日本美術批評家協会を設立。プロレタリア詩人会機関誌「プロレタリア詩」創刊。P・P美術研究所の講師を務める。
1932	31	2月、プロレタリア詩人会を解消し、機関誌「プロレタリア詩」廃刊。
1933	32	プロレタリア文学弾圧のため、生活が困窮する。
1935	34	夏、貴司山治、丸山義二らと文学案内社を興す。中野に転居。
1936	35	「詩人」創刊、10月で休刊となる。
1937	36	4月、文学案内社解体。9月、「美術世界」を創刊。
1941	39	8月、「美術世界」48号で廃刊。
1946	44	1月、日本共産党に入党。4月、新日本文学会に参加。5月、日本美術会が結成され、常任委員となる。
1947	45	1月、日本美術会機関誌「美術運動」創刊、編集責任者となる。
1949	48	10月、「新日本詩人」創刊。
1949	47	5月、壺井繁治と共編で『日本プロレタリア詩集』（新日本文学会）刊行。10月、「新日本詩人」創刊。自宅に刊行事務所を置き、編集雑務を担当。
1951	50	11月、壺井繁治、伊藤新吉、村野四郎らとの共編で『世界現代詩辞典』（創元社）刊行。
1952	51	2月、壺井繁治と共編で『日本解放詩集』（飯塚書店）刊行。
1958	57	4月、高田新、別所直樹らと第2次「新日本詩人」を興す。12月、『現代日本詩史』（昭森社）刊行。
1959	58	10月、妻・好子死去。
1961	60	10月、全詩集『遠地輝武詩集』（新日本詩人社）刊行。
1967	66	3月、詩集『千光前25番地』刊行ののち、6月14日に死去。

兵庫県との関係: 生誕　　姫路

代表作品

作品名	刊行年	版元
夢と白骨との接吻	1925	ダダイズ社
人間病患者	1929	聖樹詩人協会
近代日本詩の史的展望	1934	耕進社
挿木と雲	1954	新日本詩人刊行会
心象詩集	1955	昭森社
現代詩の体験	1957	酒井書店
日本近代美術史	1957	造形美術研究会
現代日本詩史	1958	昭森社
癌	1960	新日本詩人社
遠地輝武詩集	1961	新日本詩人社
現代絵画の四季	1964	近代美術研究会
千光前25番地	1967	酒井書店