あさみ ふかし浅見 淵
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明治32~昭和48
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ジャンル:
評論家・小説家
- 出身:兵庫県神戸市
PROFILE
兵庫県神戸市に生まれる。兵庫県が舞台の作品に「山」がある。明治32年(1899)神戸市生まれ。神戸第二中学校在学時より「文章世界」等に浅見夕煙の名で誌、短歌などを投稿。早稲田大学国文科に進み、大正14年(1925)に同人誌「朝」に参加。六甲山を舞台とする短編小説「山」を発表し、「文藝時代」の誌上発表会で評価を受けた。大正15年早稲田大学卒業、10月の「新潮」新人号に「アルバム」を発表。この号には林房雄、舟橋聖一、尾崎一雄が顔を出している。これ以降も「新正統派」、「文藝都市」、「世紀」、「文学生活」といった同人雑誌と密接な関係を長く保ち、文壇の事情通として名を馳せた。昭和10年(1935)には砂子屋書房の創業に参加。昭和11年1月「文芸雑誌」を発刊。砂子屋書房時代に太宰治の作品集『晩年』の出版企画に参加したことは有名。この時期、生涯敬愛した滝井耕作を知る。評論家としての才能もこのころから開花した。『現代作家研究』は昭和4年からの評論文を取りまとめたもの。戦争中は満州に赴き、海軍報道班員としてマニラに滞在している。戦後も旺盛な批評活動を展開し、代表作『昭和文壇側面史』は文壇事情通の眼から見た昭和文学史として命脈を保っている。一方、「文学界」同人雑誌評で石原慎太郎の処女作「灰色の教室」をいち早く認め、彼を世に送り出すなど、新人作家発掘にも力を注いだ。
《 略年譜 》
年 | 年齢 | 事項 |
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1899 | 0 | 6月24日、神戸市生田区に生まれる。 |
1914 | 15 | 神戸第二中学校に入学。 |
1919 | 20 | 早稲田大学高等予科に入学。 |
1924 | 25 | 大石みさ於と結婚。 |
1925 | 26 | 同人雑誌「朝」に参加。六甲山を舞台とする短編「山」を発表。 |
1926 | 27 | 早稲田大学文学部国文科を卒業。10月、「新潮」新人号に「アルバム」を発表。11月、井葉野篤三、逸美広、岡沢秀虎らとともに「文芸城」を創刊。この年、梶井基次郎との交流が始まる。 |
1928 | 29 | 1月、「文芸城」同人に丹羽文雄らを加え、早稲田系同人誌の団結を計り、「新正統派」を創刊。 |
1933 | 34 | 2月、尾崎一雄、丹羽文雄、らとともに「小説」を創刊。「コップ酒」(「小説」第1号)を発表。 |
1934 | 35 | 4月、尾崎一雄、丹羽文雄、田畑修一郎らとともに「世紀」を創刊。「目醒時計」(「浪漫古典」第1号)を発表。 |
1935 | 36 | 10月、尾崎一雄、小田嶽夫らとともに「木靴」を創刊。早稲田大学の級友だった山崎剛平が砂子屋書房を創業。編集の中心人物としてこれに加わる。 |
1936 | 37 | 1月、砂子屋書房より「文芸雑誌」を発刊。6月、青柳瑞穂、伊藤整らとともに「文学生活」を創刊。9月、第一評論集『現代作家研究』(砂子屋書房)刊行。 |
1937 | 38 | 2月、短編小説集『目醒時計』(赤塚書房)刊行。「早稲田文学」の編集者をつとめる(~1939)。 |
1938 | 39 | 10月、評論集『現代作家論』(赤塚書房)刊行。12月、随筆集『市井集』(砂子屋書房)刊行。 |
1939 | 40 | 4月、短編小説集『無国籍の女』(赤塚書房)刊行。 |
1940 | 41 | 春陽堂出版部の嘱託となる。10月、『現代作家卅人論』(竹村書房)刊行。 |
1942 | 43 | 4月、感想随筆集『文学と大陸』(図書研究社)刊行。9月、短編小説集『手風琴』(小学館)刊行。 |
1943 | 44 | 5月、随筆集『蒙古の雲雀』(赤塚書房)刊行。10月、紀行・評論集『満州文化記』(国民画報社)刊行。 |
1944 | 45 | 6月、海軍報道班員としてフィリピン、マニラに着任。10月、前線基地マバラカットに赴任。12月、帰国。 |
1946 | 47 | 5月、短編小説集『青い頭』(小学館)刊行。9月、滝井孝作を中心に外村繁、上林暁らとともに季刊誌「素直」を創刊。12月、短編小説集『アルバム』(地平社)刊行。 |
1949 | 50 | 早稲田大学高等学院の講師となる。 |
1950 | 51 | 早稲田大学高等学院の専任教員となる。 |
1955 | 56 | 「文学界」1月号より、同人雑誌評を担当。6月、編集・発行人として「内部」を発刊(第3号で終刊)。 |
1956 | 57 | 12月、『昭和の作家たち』(弘文堂)刊行。 |
1960 | 61 | 早稲田大学商学部に出講。 |
1962 | 63 | 歌誌「存在」に参加。 |
1963 | 64 | 12月、「東京新聞」に「中間小説時評」を連載(~1969)。歌誌「槻の木」に参加。 |
1964 | 65 | 目白女子短期大学に出講。 |
1966 | 67 | 1月、「週刊読書人」に「昭和文壇側面史」を連載(~1967,3月)。 |
1968 | 69 | 2月、『昭和文壇側面史』(講談社)刊行。 |
1970 | 71 | 3月、早稲田大学を停年退職。5月、随筆・小説集『燈火頬杖』(校倉書房)刊行。 |
1973 | 73 | 3月28日、死去。 |
- 逝去地
- 東京都八王子市
- 兵庫県との関係
- 生誕 舞台
代表作品
作品名 | 刊行年 | 版元 | 備考 |
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現代作家研究 | 1936 | 砂子屋書房 | |
目醒時計 | 1937 | 赤塚書房 | |
無国籍の女 | 1939 | 赤塚書房 | |
昭和の作家たち | 1957 | 弘文堂 | |
昭和文壇側面史 | 1968 | 講談社 | |
燈火頬杖 | 1970 | 校倉書房 | |
史伝早稲田文学 | 1974 | 新潮社 | |
廟会:満州作家九人集 | 2000 | ゆまに書房 | |
兵庫ゆかりの作品
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