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兵庫ゆかりの作家

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よしむら あきら吉村 昭

  • 昭和2~平成18
  • ジャンル: 小説家
  • 出身:東京都荒川区東日暮里

PROFILE

兵庫県が舞台の作品に『遠い日の戦争』があり、兵庫県ゆかりの作品に『アメリカ彦蔵』がある。 昭和2年(1927)、東京日暮里に綿糸紡績工場経営者の八男として生まれる。開成中学校を経て、20歳で旧制学習院高等科に入学したが、翌年、肺疾患のため休学。左胸肋5本を切除する大手術を体験。昭和25年(1950)復学。昭和26年に三島由紀夫が学習院在学中に出していた同人誌「赤絵」を継承し、「死体」を発表、三島の賛辞をうけた。学習院大学中退。昭和41年(1966)『星への旅』で太宰治賞を受賞。その後ドキュメント作品に新境地を拓き、『戦艦武蔵』で、昭和48年(1973)菊池寛賞、昭和54年(1979)には『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、昭和60年(1985)には『冷い夏、熱い夏』で毎日芸術賞、同年『破獄』で読売文学賞及び芸術選奨文部大臣賞、平成6年(1994)には『天狗争乱』で大佛次郎賞を受賞した。また、昭和62年には日本芸術院賞を受賞している。日本芸術院会員。周到な取材と綿密な構成には定評がある。平成10年(1998)『闇にきらめく』が今村昌平監督によって映画化され(題名「うなぎ」)ベネチア国際グランプリで賞を貰う。奥さんは小説家の津村節子氏。 『遠い日の戦争』では、敗戦後の姫路が克明に描かれている。                                                                                                                                                                  平成18年(2006)7月31日尊厳死のため死去。

《 略年譜 》

年齢事項
19270東京荒川区東日暮里に綿糸紡績工場経営者の八男として生まれる。
194417肺浸潤にかかる。母、癌のため死去。
194518私立東京開成中学校を卒業。父、癌のため死去。
194619旧制学習院高等科文科受験、合格するも、就職に有利な理系を希望して第六高等学校理科受験、不合格となり予備校に通う。
194720旧制学習院高等科文科に入学。
1948211月、吐血。絶対安静の身となる。8月、結核治療のため激痛に耐えながら大手術をおこなう。11月、退院。
195023学習院大学に入学。10月、体調を崩し寝込む。
195124肺結核再発の疑いがあり、4月、結核療養所で検査の結果肺炎とわかる。回復後、通学。
195225後の夫人、学習院短大国文科に在籍中の北原節子と知り合う。三島由紀夫が学習院在学中に出していた同人誌「赤絵」を継承し、「死体」を発表。三島の賛辞をうけた。
195326大学中退と同時に三兄の経営する紡績会社に入社。11月、 作家北原節子と結婚、挙式前に退社。
1954279月、原糸を注文してくれた工場が代価としてセーター類を送付。販売のため青森へ。後、妻を呼び寄せ青森,宮城,北海道を旅する。
195528次兄が役員を務める繊維関係の団体の事務局に勤める。同人誌「文学者」に入会。10月5日、長男・司誕生。「文学者」休刊に伴い同人誌「Z」入会。
195629節子夫人、同人誌「Z」入会。
195730「Z」廃刊。自ら同人誌「亜」を創刊(翌年「文学者」復刊に伴い廃刊)。節子のペンネームが北原から津村に。
195831「鉄橋」で芥川賞候補に。
195932「貝殻」で芥川賞候補に。『密会』が映画化。夫人作の『華燭』も映画化。夫人作『鍵』直木賞候補に。
196033長女・千夏誕生。
196134繊維団体を退職。「透明標本」で芥川賞候補に。
196235「石の微笑」で芥川賞候補に。
196336兄の会社に勤め始める。
196437夫人の津村節子が「さい果て」で芥川賞候補に。
196538夫人の津村節子が「玩具」で芥川賞受賞。会社を退職、友人の勧めで彼の故郷岩手県田野畑村を取材。
196639田野畑村でインスピレーションを得た『星への旅』で太宰治賞を受賞。
197346「深海の使者」により文芸春秋読者賞、「戦艦武蔵」「関東大震災」などにより菊池寛賞をそれぞれ受賞。
197952『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞。
198558『冷い夏,熱い夏』で毎日芸術賞、『破獄』で読売文学賞及び芸術選奨文部大臣賞。
198760日本芸術院賞を受賞。
199164東京都民文化栄誉賞受賞。
199265荒川区民栄誉賞受賞。
199467『天狗争乱』で大佛次郎賞を受賞。
199770日本芸術院会員。日本文芸家協会副理事長・近代文学館常務理事。
199872『闇にきらめく』が今村 昌平監督によって映画化され、ベネチア国際グランプリ受賞。
199973日本文芸家協会理事長代行。(翌年辞任)
200074海洋文学大賞 特別賞受賞。
2006797月31日尊厳死のため死去
兵庫県との関係
舞台  姫路市、播磨町

代表作品

作品名刊行年版元備考
星への旅1966筑摩書房
戦艦武蔵1966新潮社
神々の沈黙1969朝日新聞社
関東大震災1973文芸春秋
深海の使者1973文芸春秋
ふぉん・しいほるとの娘1978毎日新聞社
ポーツマスの旗1979新潮社
海も暮れきる1980講談社
破獄1983岩波書店
遠い日の戦争1984新潮社
長英逃亡1984毎日新聞社
冷い夏、熱い夏1984新潮社
天狗争乱1994朝日新聞社
プリズンの満月1995新潮社
生麦事件1998新潮社
わたしの流儀1998新潮社
遠い幻影1998文藝春秋
アメリカ彦蔵1999読売新聞社
島抜け2000新潮社
夜明けの雷鳴 医師高松凌雲2000文藝春秋
東京の戦争2001筑摩書房
敵討2001新潮社
見えない橋2002文藝春秋
大黒屋光太夫2003毎日新聞社
漂流記の魅力 新潮新書2003新潮社
天に遊ぶ 新潮文庫2003新潮社
歴史の影絵 文春文庫2003文藝春秋
魚影の群れ 新潮オンデマンドブックス2003新潮社
帽子 中公文庫2003中央公論新社
私(わたし)の文学漂流 新潮オンデマンドブックス2003新潮社
蜜蜂乱舞 新潮オンデマンドブックス2003新潮社
私の好きな悪い癖講談社文庫2003講談社
敵討 新潮文庫2003新潮社
三陸海岸大津波 文春文庫2004文藝春秋
関東大震災 文春文庫(新装版)2004文藝春秋
秋の街 中公文庫2004中央公論新社
鯨の絵巻 新潮オンデマンドブックス2004新潮社
青い骨2004五月書房
海の祭礼文春文庫(新装版)2004文藝春秋
事物はじまりの物語 ちくまプリマー新書2005筑摩書房
暁の旅人2005講談社
大黒屋光太夫〈上・下〉 新潮文庫2005新潮社
東京の戦争 ちくま文庫2005筑摩書房
見えない橋 文春文庫2005文藝春秋
破獄〈1~4〉 大活字文庫2005大活字
彰義隊2005朝日新聞出版
わたしの普段着2005新潮社
空白の戦記 新潮文庫(改版)2005新潮社
縁起のいい客 文春文庫2006文藝春秋
死顔2006新潮社
回り灯篭2006筑摩書房
海軍乙事件 文春文庫(新装版)2007文藝春秋
ひとり旅2007文藝春秋
歴史を記録する2007河出書房新社
吉村昭の平家物語 講談社文庫2008講談社
わたしの普段着 新潮文庫2008新潮社
史実を歩く 文春文庫2008文藝春秋
暁の旅人 講談社文庫2008講談社
彰義隊 新潮文庫2009新潮社
私の文学漂流 ちくま文庫2009筑摩書房
時代の声、史料の声 2009河出書房新社
吉村昭歴史小説集成〈1~〉2009岩波書店
ふぉん・しいほるとの娘〈上・下〉 新潮文庫(改版)2009新潮社
死顔 新潮文庫2009新潮社
炎天(共著:津村節子)2009筑摩書房
七十五度目の長崎行き2009河出書房新社
回り灯籠2009筑摩書房
白い航跡〈上・下〉講談社文庫(新装版)2009講談社
戦艦武蔵新潮文庫(改版)2009新潮社
真昼の花火2010河出書房新社
ひとり旅文春文庫2010文藝春秋
わたしの取材余話2010河出書房新社
白い道2010岩波書店
戦艦武蔵ノート 岩波現代文庫2010岩波書店
高熱隧道 新潮文庫(改版)2010新潮社
逃亡 文春文庫(新装版)2010文藝春秋
味を訪ねて2010河出書房新社

受賞歴

受賞年受賞内容受賞作品
1966第2回太宰治賞「星への旅」
1972第34回「文芸春秋」読者賞「深海の使者」
1973第21回菊池寛賞「戦艦武蔵」「関東大震災」
1979第13回吉川英治文学賞「ふぉん・しいほるとの娘」
1984第35回芸術選奨文部大臣賞 文学、評論部門「破獄」
1984第36回読売文学賞 小説賞「破獄」
1986第43回日本芸術院賞文芸部門
1994第21回大佛次郎賞「天狗争乱」
2000第4回海洋文学大賞 特別賞多くの海洋文学作品
2006従四位
2006旭日中綬章
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