筒井　康隆写真

つつい　やすたか筒井　康隆

昭和9～ (1934～)
ジャンル：小説家・俳優
出身：大阪市東住吉区

PROFILE

兵庫県神戸市に在住。昭和9年（1934）、大阪市生まれ。同志社大学文学部卒業後、自身が主宰する同人誌「NULL」に発表した短篇『お助け』でデビュー以後、数多くの作品を発表する。昭和56年（1981）『虚人たち』で第9回泉鏡花文学賞、昭和62年（1987）『夢の木坂分岐点』で第23回谷崎潤一郎賞、平成元年（1989）『ヨッパ谷への降下』で第16回川端康成賞、平成11年（1999）『わたしのグランパ』で第51回読売文学賞を受賞。平成4年（1992）、日本ＳＦ大賞を受賞した新聞連載小説『朝のガスパール』でパソコン通信を作品に取り込んだほか、自作をインターネットで公開するなど様々な試みを行う。平成5年（1993）、高校の国語教科書に掲載された自作への抗議をきっかけに「断筆宣言」を発表、新作の出版を中断した。平成9年（1997）に執筆を再開して『邪眼鳥』を刊行。同年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。同年フランス・パゾリーニ賞受賞。平成14年（2002）紫綬褒章受章。作品は他に『ベトナム観光公社』『48億の妄想』『大いなる助走』『家族八景』『虚航船団』『文学部唯野教授』『敵』など。演劇の分野では、昭和57年（1982）に「筒井康隆大一座」を結成、「ジーザス・クライスト・トリックスター」「スタア」などを自作自演したほか、演劇・映画・ＴＶドラマへの出演多数。『筒井康隆全集』（新潮社、全24巻）。

《略年譜》

年	年齢	事項
1934	0	大阪市住吉区粉浜の母方の実家で生まれる。
1940	6	腰から足にかけ大やけどを追う。田辺愛児園入園、カトリック聖母園に転園。
1941	7	南田辺国民学校に入学。のらくろ、エノケンに熱中。
1944	10	吹田市千里山に疎開。千里第二国民学校に転校。
1946	12	大阪市内中大江小学校に越境転校。知能テストの結果IQ178とわかり特別教室へ。
1947	13	大阪市立東第一中学校に入学。この頃映画、特に喜劇に熱中。
1950	16	大阪府立春日丘高校に入学。演劇部入部、映画に熱中する。
1953	19	関西芸術アカデミー研究科に入学。同志社大学文学部に入学、美学･芸術学専攻。
1955	21	青猫座に入団。スタインベック「二十日鼠と人間」に主演。
1956	22	同人誌「シナリオ新人」に加盟。
1957	23	展示装飾の乃村工芸社に入社。
1960	26	弟3人と「NULL」を創刊。江戸川乱歩に認められ、推理小説誌｢宝石｣にデビュー作『お助け』が転載される。
1961	27	乃村工芸社を退社し、デザイン工房｢株式会社NULLSTUDIO｣を開設。
1962	28	ＳＦコンテストで『無機世界へ』が選外佳作となる。
1965	31	小松左京を仲人に松野光子と結婚。
1968	34	長男・伸輔誕生。
1970	36	ＳＦファンの選ぶ第1回｢星雲賞｣で長篇、短篇の同時受賞を果たす。
1981	47	『虚人たち』で泉鏡花賞受賞。
1982	48	筒井康隆大一座旗揚げ公演。「ジーザス・クライスト・トリックスター」
1983	49	同。全国巡演。
1987	53	『夢の木坂分岐点』、谷崎潤一郎文学賞受賞。
1988	54	『ヨッパ谷への降下』で第16回川端康成文学賞受賞。
1990	56	筒井康隆大一座「スタア」公演。新神戸オリエンタル劇場2周年記念。
1992	58	朝日新聞連載の『朝のガスパール』が日本ＳＦ大賞を受賞。
1993	59	断筆宣言。出版社の自主規制に抗議して断筆。
1995	61	「白石加代子・筒井康隆二人芝居」全国巡演。
1996	62	出版社と｢覚書｣を取り交わして断筆を解除。
1997	63	フランス文化省よりシュバリエ章受章。フランス･イタリアのパゾリーニ賞受賞。
1999	65	蜷川幸雄演出・チェーホフ「かもめ」主演。
2000	66	『わたしのグランパ』、第51回読売文学賞受賞。クリスティ「そして誰もいなくなった」主演。
2001	67	蜷川幸雄演出・三島由紀夫「近代能楽集」に出演。全国巡演およびロンドン公演。
2002	68	紫綬褒章受章。

兵庫県との関係: 在住　　神戸

代表作品

作品名	刊行年	版元
東海道戦争	1965	早川書房
ベトナム観光公社	1967	早川書房
アルファルファ作戦	1968	早川書房
アフリカの爆弾	1968	文藝春秋
霊長類南へ	1969	講談社
脱走と追跡のサンバ	1971	早川書房
俗物図鑑	1972	新潮社
家族八景	1972	新潮社
俺に関する噂	1974	新潮社
暗黒世界のオデッセイ	1974	晶文社
七瀬ふたたび	1975	新潮社
メタモルフォセス群島	1976	新潮社
エディプスの恋人	1977	新潮社
男たちのかいた絵	1978	新潮社
大いなる助走	1979	文藝春秋
虚人たち	1981	中央公論社
美藝公	1981	文藝春秋
虚航船団	1984	新潮社
串刺し教授	1985	新潮社
旅のラゴス	1986	徳間書店
夢の木坂分岐点	1987	新潮社
残像に口紅を	1989	中央公論社
文学部唯野教授	1990	岩波書店
朝のガスパール	1992	朝日新聞社
パプリカ	1993	中央公論社
笑犬楼よりの眺望	1994	新潮社
邪眼鳥	1997	新潮社
敵	1998	新潮社
わたしのグランパ	1999	文藝春秋
愛のひだりがわ	2002	岩波書店
ヘル	2003	文藝春秋
悪魔の辞典（翻訳）	2003	講談社
恐怖文春文庫	2004	文藝春秋
三丁目が戦争です（新装版）(共著：永井豪)	2004	洋線社
筒井康隆漫画全集	2004	事業之日本社
天狗の落し文新潮文庫	2004	新潮社
笑犬樓の逆襲	2004	新潮社
文学外への飛翔小学館文庫	2005	小学館
短編小説講義岩波新書	2005	岩波書店
ポルノ惑星のサルモネラ人間　自選グロテスク傑作集新潮文庫	2005	新潮社
大いなる助走文春文庫（新装版）	2005	文藝春秋
壊れかた指南	2006	文藝春秋
銀齢の果て	2006	新潮社
ヨッパ谷への降下　自選ファンタジー傑作集新潮文庫	2006	新潮社
小説のゆくえ中公文庫	2006	中央公論新社
時をかける少女角川文庫（改版）	2006	角川書店
日本以外全部沈没　パニック短編集角川文庫	2006	角川書店
陰脳録　リビド　短編集角川文庫	2006	角川書店
愛のひだりがわ新潮文庫	2006	新潮社
男たちのかいた絵新潮文庫（改版）	2006	新潮社
如菩薩団　ビカレスク短編集角川文庫	2006	角川書店
狂気の沙汰も金次第新潮文庫（改版）	2006	新潮社
ウィークエンド・シャッフル講談社文庫（改版）	2006	講談社
夜を走る　トラブル短編集角川文庫	2006	角川書店
佇むひと　リリカル短編集角川文庫	2006	角川書店
くさり　ホラー短編集角川文庫	2006	角川書店
パプリカ(共著：荻原玲人)	2006	英知出版
巨船べラス・レトラス	2007	文藝春秋
欲物図鑑新潮文庫（改版）	2007	新潮社
出世の道　ヴァーチャル短編集角川文庫	2007	角川書店
人間みな病気ランダムハウス講談社文庫(共著：日本ペンクラブ)	2007	武田ランダムハウスジャパン
ダンシング・ヴァニティ	2008	新潮社
筒井版悪魔の辞典〈上〉〈下〉完全補注講談社＋α文庫(共著：アンブローズ・グイネットビアーズ)	2009	講談社
秒読み　筒井康隆コレクション　ボクラノSF(共著：加藤伸吉)	2009	福音館書店
馬の首風雲録扶桑社文庫	2009	扶桑社
緑魔の町角川つばさ文庫(共著：白身魚)	2009	角川書店
ジャングルめがねすきすきレインボー(共著：にしむらあつこ)	2010	小学館
アホの壁新潮新書	2010	新潮社
ミラーマンの時間筒井康隆SFジュブナイルセレクション	2010	金の星社
地球はおおさわぎ筒井康隆SFジュブナイルセレクション	2010	金の星社
細菌人間筒井康隆SFジュブナイルセレクション	2010	金の星社
デラックス狂詩曲筒井康隆SFジュブナイルセレクション	2010	金の星社
W世界の少年筒井康隆SFジュブナイルセレクション	2010	金の星社
筒井漫画涜本ふたたび(共著：明智抄)	2010	実業之日本社
筒井康隆筒井康隆SFジュブナイルセレクション（全5巻）	2010	金の星社
『現代語裏辞典』	2010	文藝春秋
『七瀬ふたたびー超能力者たちKPC』　共著：山崎紗也夏	2010	講談社
『七瀬ふたたび〈復讐の森〉KPC』　共著：山崎紗也夏	2010	講談社
『ダンシング・ヴァニティ』新潮文庫	2011	新潮社
『漂流ー本から本へ』	2011	朝日新聞出版
ビアンカ・オーバースタディ(星海社FICTIONS)	2012	星海社
聖痕	2013	新潮社
偽文士日碌	2013	角川書店

受賞歴

受賞年	受賞内容	受賞作品
1962	第２回ハヤカワ・Ｓ・Ｆコンテスト　佳作	「無機世界へ」
1981	第９回泉鏡花文学賞	「虚人たち」
1987	第２３回谷崎潤一郎賞	「夢の木坂分岐点」
1989	第１６回川端康成文学賞	「ヨッパ谷への降下」
1992	第１３回日本ＳＦ大賞	「朝のガスパール」
2000	第５１回読売文学賞	「わたしのグランパ」
2002	紫綬褒章