いたみ ちんえん伊丹 椿園
- ~天明元
- ジャンル: 読本作者
- 出身:伊丹
PROFILE
【兵庫県との関係】
伊丹の酒造家の家に生まれ、剣菱の醸造元の養子となる。実父は伊丹風は俳諧の大立て者の蜂房である。またその筆名から想像されるように伊丹をこよなく愛した。
【略歴】
坂上(さかがみ)氏、浦辺氏、山本氏。通称は津国屋(つのくにや)善五郎。俳号は雲盈(うんえい)。伊丹椿園は小説執筆の際の筆名である。他には勧笑処子の筆名がある。伊丹の酒造家大鹿家に生まれ、銘酒剣菱の醸造元である津国屋勘三郎の養子となる。実父は、鬼貫(おにつら)亡きあとの伊丹風俳諧をリードした蜂房(はちふさ)。この蜂房は多趣味で、俳諧の他にも物産学にも造詣が深い。椿園はこの父の影響を受けて、これまた多趣味で、絵画を当時の上方で有名な月岡丹下に学び、浦辺源曹の名で絵本や自身の読み本の挿絵を描いている。また、商売そっちのけで奇書収集に没頭し、その様子は「書淫」と称されるほどであった。当時上方で流行していた白話小説にいち早く反応し、読本(よみほん)とジャンル分けされる小説を執筆。その小説は短編小説集と長編小説とに別れるが、作風は彼の読書知識を余すところなく発揮し、悪漢をためらうことなく活躍させるなど、読み応えのあるものである。また、写本で残る『椿園雑話』は、そのデイレッタントぶりの一端を見せる随筆であるが、伊丹への熱い思いがかいま見られる。不幸にして三十代で一生を終えるが、その短い人生の中で彼の残した作品は、燦然と文学史の一頁を飾っている。
- 兵庫県との関係
- 生誕 伊丹
- もっと詳しく知るために
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伊丹椿園は津国屋善五郎なり(『近世文学―作家と作品―』所収) 浜田啓介/著 1973 昭和48年
都賀庭鐘・伊丹椿園集 稲田篤信・木越治・福田安典/編 2001 平成13年 国書刊行会
代表作品
作品名 | 刊行年 | 版元 | 備考 |
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唐錦(読本) | 1780 | 収録:『都賀庭鐘・伊丹椿園集』 | |
深山草(読本) | 1781 | 収録:『都賀庭鐘・伊丹椿園集』 | |
椿園雑話(写本) | 収録:『都賀庭鐘・伊丹椿園集』 |