あだち けんいち足立 巻一
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大正2~昭和60
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ジャンル:
詩人・小説家
- 出身:東京・神田紺屋町
PROFILE
兵庫県神戸市に居住。兵庫県ゆかりの作品に『虹滅記』がある。
大正2年(1913)、東京に生まれる。誕生まもなく、父が急死し、ほどなく母が再婚し、祖父母に育てられる。祖母の死去後、金銭観に乏しく世渡りの下手な祖父と放浪生活になり、東京・長崎で生活する。祖父の死去後、9歳で母方の伯父の神戸に引き取られる。その後、生涯を神戸で暮らす。関西学院中学から神宮皇學館に進み、昭和13年(1938)に卒業。教師・兵役を経て、昭和31年(1956)まで新大阪新聞社に勤務。この間に、児童詩誌『きりん』を創刊時より編集に参加する。昭和30年(1955)より教えていた大阪文学学校の出身者の中には、作家の田辺聖子さんがいた。昭和50年(1975)、江戸時代の盲目の歌人で国語学者であつた本居春庭の評伝『やちまた』で第20回芸術選奨文部大臣賞を受賞。大阪芸術大学を経て神戸女子大学で教壇にたつ。昭和57年(1982)、祖父と父を軸に描く自分史『虹滅記』(朝日新聞社)により、第30回日本エッセイストクラブ賞受賞。昭和60年(1985)8月14日、神戸市立中央病院で急性心筋梗塞のため逝去。
《 略年譜 》
年 | 年齢 | 事項 |
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1913 | 0 | 父・清一(二六新報同人・菰川)と母・マサヨの長男として東京神田区紺屋町に誕生。10月2日父急死。ほどなく母も再婚し、祖父・清三(漢詩人・敬亭)・祖母ヒデに育てられる。 |
1920 | 7 | 祖母・ヒデ死亡。以後祖父と東京、長崎を放浪。 |
1921 | 8 | 祖父・清三死亡。長崎の遠縁に転々として養われる。 |
1921 | 9 | 神戸の母の兄の家で養われることになる。伯父は生田神社の東門を出た道に面す「とらや」という薬局を営んでいた。諏訪山小学校2年に編入。再婚の母も戻り同居。 |
1932 | 19 | 関西学院中学部卒業。短歌より詩へ入り、詩誌「青騎兵」を亜騎保と創刊。同人、岬絃三・九鬼次郎・吉田鶴夫・冬木渉。 |
1934 | 21 | 神宮皇學館本科に入学。本居春庭研究に着手。 |
1938 | 25 | 神宮皇學館卒業.兵庫県立第二神戸商業(現長田商高)・第二高女(現夢野台高校)教授嘱託となったが、9月徴兵され華北山西省の前線で従軍。 |
1942 | 29 | 召集解除となり、神戸市立第一神港商業(現神港高校)教諭に転勤。西田淑と結婚。 |
1943 | 30 | 長女・ゆき子誕生。 |
1944 | 31 | 再召集を受けて鹿児島県に派遣され、火薬による爆創を受けて入院。 |
1945 | 32 | 敗戦により復員し、旧職に復する。 |
1946 | 33 | 新大阪新聞社に入社。長男・明誕生。 |
1947 | 34 | 子どもの詩雑誌「きりん」の編集に参加し、竹中郁・井上靖・坂本遼らと親交を得る。 |
1949 | 36 | 次男・進誕生。 |
1956 | 43 | 新大阪新聞社に退社し、以後文筆業、週刊誌の執筆、ラジオ・テレビの番組構成、諸雑誌の編集などで生計を立てる。 |
1961 | 48 | 神戸市須磨区若木町に家を新築、本籍地を長崎よりここに移す。 |
1974 | 61 | 『復刻立川文庫』を監修し、尾崎秀樹と解説を執筆。『やちまた』刊。 |
1975 | 62 | 大阪芸術大学講師になる。兵庫県文化賞を受ける。『やちまた』により第20回芸術選奨文部大臣賞受賞。 |
1978 | 65 | 大阪芸術大学教授になる。神戸女子大学講師兼任。 |
1979 | 66 | 伊藤正雄の遺著三冊の刊行に努力。神戸新聞読書文芸詩欄の選者になる。 |
1980 | 67 | 大阪芸術大学を辞して神戸女子大学教授になる。『立川文庫の英雄たち』刊。 |
1982 | 69 | 『虹滅記』刊.同書により第30回日本エッセイストクラブ賞受賞. |
1983 | 70 | 同人誌「首蓿」を庄野英二・大谷晃一と創刊.『竹中郁全詩集』を井上靖監修,杉山平一と共著。竹中郁事歴取材のためヨーロッパ・沖縄へ。 |
1985 | 72 | 7月9日狭心症の発作から入院。8月14日心筋梗塞で逝去。 |
- 逝去地
- 神戸市中央区
- 兵庫県との関係
- 舞台 居住 三宮・岩屋・須磨など
代表作品
作品名 | 刊行年 | 版元 | 備考 |
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夕刊流星号 | 1858 | 六月社 | |
宣長と二人の女性 | 1943 | 佃書房 | |
全日本児童詩集(共編) | 1950 | 尾崎書房 | |
きりんの本(共編) | 1959 | 理論社 | |
やちまた | 1974 | 河出書房新社 | |
解説立川文庫(共著) | 1974 | 講談社 | |
立川文庫の英雄たち | 1980 | 文和書房 | |
虹滅記 | 1982 | 朝日新聞社 | |
戦死ヤアワレ一無名兵士の記録 | 1982 | 新潮社 | |
石の星座 | 1983 | 編集工房ノア | |
雑歌:足立巻一詩集 | 1983 | 理論社 | |
親友記 | 1984 | 新潮社 | |
人の世やちまた | 1985 | 編集工房ノア | |
学芸の大阪 | 1986 | 編集工房ノア | |
評伝竹中郁 | 1986 | 理論社 | |
日が暮れてから道は始まる | 1987 | 編集工房ノア | |
夕暮れに苺を植えて | 1995 | 朝日新聞社 | |
関連情報
場所 | 説明 | 内容 |
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芦屋川畔 | 谷崎潤一郎『細雪』の碑 | 『細雪』の碑 字は谷崎松子、裏面に足立巻一の説明文 |
須磨寺 | 山本周五郎の文学碑の文を書く。 | 山本周五郎の文学碑解説板(石)文 足立巻一書 三浦真厳制作 速見史郎 |
受賞歴
受賞年 | 受賞内容 | 受賞作品 |
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1974 | 第25回芸術選奨文部大臣賞 文学、評論部門 | 「やちまた」 |
1982 | 第30回日本エッセイスト・クラブ賞 | 「虹滅記」 |
1983 | 第17回日本詩人クラブ賞 | 「雑歌」 |
兵庫ゆかりの作品
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