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源氏物語

  • 巻号:須磨巻
  • 作者:紫式部

内容

世の中、いとわづらはしく、はしたなきことのみまされば「せめて、しらず顔に、ありへても、これよりまさることもや」と、おぼしなりぬ。かの須磨は、「昔こそ、人の住みかなどもありけれ、今は、いと、里ばなれ、心すごくて、海士(あま)の家だに稀(まれ)になむ」と聞き給へど、「人しげく、ひたたけたらむ住(すま)ひは、いと、ほいなかるべし。さりとて、宮こを、とほざからんも、故里(ふるさと)おぼつなかるべき」を、人わろくぞ、おぼし乱るる。よろづのこと、来(き)しかた行く末、おもひ続け給ふに、悲しき事、いと、さまざまなり。

場所

須磨 (すま)

現在地

神戸市須磨区

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