平家物語
- 巻号:巻第六
- 作者:未詳
内容
何事よりも、福原の経の島つゐて、今の世にいたるまで、上下往来の船のわづらひなきこそ目出(めでた)けれ。彼嶋は去る応保元年二月上旬に築(つき)はじめられたりけるが、同年の八月に、にはかに大風吹き大なみたち、みなゆりうしなひてき。又同三年三月下旬に、阿波民部重能を奉行につかせられけるが、人柱たてらるべしなど、公卿御僉議有りしか共、それは罪業なりとて、石の面に一切経をかひてつかれたりけるゆへにこそ、経の嶋とは名づけたれ。
場所
経島 (きょうじま)
現在地
神戸市兵庫区三川口町、西宮町、門口町一帯の地か。