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平家物語

  • 巻号:巻第九
  • 作者:未詳

内容

いくさやぶれにければ、主上(しゆしやう)をはじめたてまって、人々みな御船にめして出給ふ心のうちこそ悲しけれ。塩にひかれて、風に随て、紀伊路へおもむく船もあり。葦屋の沖に漕いでて、浪にゆらるゝ船もあり。或は須磨より明石の浦づたひ、泊さだめぬ梶枕、かたしく袖もしほれつゝ、朧にかすむ春の月、心をくだかぬ人ぞなき。或は淡路のせとを漕とをり、絵島が磯にたゞよへば、波路かすかに鳴わたり、友まよはせるさ夜千鳥、是もわが身のたぐひかな。

場所

絵島 (えじま)

現在地

淡路島・兵庫県津名郡淡路町岩屋

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