太平記
- 巻号:巻第十六
- 作者:未詳
内容
正成、正季又取テ返テ此勢ニカカリ、懸(カケ)テハ打違テ死(コロ)シ、懸入テハ組デ落、三時(ミトキ)ガ間ニ十六度迄闘(タタカ)ヒケルニ、其勢次第次第ニ滅ビテ、後ハワヅカニ七十三騎ニゾ成ニケル。此勢ニテモ打破テ落バ落ツベカリケルヲ、楠京ヲ出シヨリ、世ノ中ノ事今ハ是迄ト思フ所存有ケレバ、一足モ引ズ戦テ、機巳ニ疲レケレバ、湊川ノ北ニ当テ、在家(ザイケ)ノ一村有ケル中ヘ走入テ、腹ヲ切ン為ニ、鎧ヲ脱デ我身ヲ見ルニ、斬疵(キリキズ)十一箇所マデゾ負タリケル。
場所
湊川 (みなとがわ)
現在地
六甲山地に源を発し神戸市の市街地の中央を貫通する川。神戸市兵庫区、長田区のあたり。