
美術史上の名画の登場人物や映画女優に自らが扮するセルフポートレイトの写真作品で知られる美術家、森村泰昌。2006年度、兵庫県立美術館は72点の森村作品を一括収蔵しました。これらは森村の熱心なファンでコレクターのO氏が蒐集したものです。この72点を軸にO氏コレクション約80点による森村泰昌展を開催いたします。知る人ぞ知るコレクションを、初めて一堂に公開します。


O氏コレクションには、手焼きプリントによる小品や「書」、さらには陶器など、他所ではなかなか目にすることのできない珍しい作品が多く含まれています。これらは森村の美術史や女優をテーマとする代表的な大型作品と比べるなら、「その他」と位置づけられてしまうようなものかもしれません。しかし、こういった例外的な作品であればこそ、自由で実験的な表現も可能です。そこには作家の本質が思わぬかたちで現れてもいるでしょう。


こうした「その他」の作品と「主要」な作品の総体こそが作家の全体像であり、それらは互いに不可分なものと言えます。当館では同時期に企画展示室にて、森村の新作シリーズによる個展「森村泰昌 なにものかへのレクイエム−戦場の頂上の芸術」を開催いたします。ぜひあわせてご覧いただき、森村の多面的な魅力をお楽しみください。


※平成23(2011)年1月18日(火)から開催 |
|
 |

《カミーユ・ルーラン
(セピア)》1985年


《はな茶碗》1993年


《だぶらかし B スペシャル》1987年 |