現代のファンタジー文学として、20年にわたって世界的人気を誇る「ハリー・ポッター」シリーズ。本展では、原作者J.K.ローリングの直筆原稿やスケッチに加え、大英図書館が所蔵する貴重な書籍や資料などを紹介し、ハリー・ポッターの世界の底流にある言い伝えや魔法の歴史を紐解きます。ハリーが学んだホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、イギリスをはじめ世界各国に古くから伝わる魔法や呪文、占いなど、「薬草学」「錬金術」「天文学」などの10章で構成し、科学が発達していなかった時代の人々が信じた魔法や魔術の記録を展示します。
ここはキングス・クロス駅の9と3/4番線。停車中のホグワーツ特急に乗り込もうとする魔法魔術学校の生徒と見送りの家族でごった返しています。そんななか、荷物を積んだカートとともにたたずむハリーの姿が見えます。
中世に印刷された初の博物学事典で、主に植物、獣、鳥、魚、石について書かれています。挿絵には手彩色が施されています。
「太古の化学作業」は、伝説の錬金術師ニコラス・フラメルが賢者の石の配合を明かすきっかけとなった古写本を翻訳したものとされます。この挿絵は、賢者の石の作成に不可欠なマテリア(第一質料)と普遍精神の統合を象徴しています。
ハリーと友人たちが魔法魔術学校の温室で遭遇したマンドレイク(別名マンドラゴラ)は、呪いによって姿かたちを変えられた人を元の姿に戻すために使われる薬草です。引き抜かれると泣き声をあげ、それを聞いた者は命を落とすと言われています。
『ハリー・ポッターと賢者の石』の序盤、ハグリッドがダイアゴン横丁の壁を傘で叩くと、レンガが並び方を変えてアーチ型の入口が出現します。この絵は、その様子を作者自身が想像力豊かに描いたものです。
精巧で美しい装飾が施されたこの道具は、アストロラーベといい、星の動きを調べて星図を作成するのに用いられました。また、イスラム世界では、聖地・メッカの方角を知るために広く使われました。
ティーカップ占いは、カップに残った茶葉の様子を見て占います。
この詳細な手引書には、茶葉によるさまざまな形の解釈方法だけでなく、最適なカップの大ささや形、使う茶の種類なども記述されています。
19世紀イギリスの代表的画家のひとりであるウォーターハウスは、魔法や魔女をテーマにした絵を数多く残しました。この作品では、色鮮やかなドレスを着た美しい魔女が、身を守るために自分の周りに杖で円を描いています。
大阪の瑞龍寺には、人魚、河童、龍のミイラがつたえられています。これらは、堺の豪商・ 万代四郎兵衛が明代の中国から輸入したものであるとか、堺の海岸に漂着したものであるなどという伝承がありますが、正体は謎に満ちています。
J.K.ローリングが生み出した魔法世界は、発刊から20年以上経った今も、世界中の読者をひきつけてやみません。ここではさまざまな言語で翻訳された書籍や、今も広がり続ける「ハリー・ポッター」の世界を紹介します。