「開館50周年 今こそGUTAI  県美の具体コレクション」 会期は2020年12月5日[土]-2021年2月7日[日]
展示構成と出品作家
(五十音順)
掲載されている作品はいずれも兵庫県立美術館蔵
最初期の収集
郷土ゆかりの美術として

具体は1954年に結成され、吉原治良の逝去を受けて1972年3月に解散しました。県立近代美術館(近美)開館時には、具体というグループがまだあったのです。その頃の近美の収集方針は、「版画」と「彫刻」そして「郷土ゆかりの美術」。具体も「郷土ゆかりの美術」として位置づけられていました。本展のプロローグとして、最初期に収集された3点を展示します。

出品予定作家

白髪一雄(しらが・かずお)
元永定正(もとなが・さだまさ)
吉原治良(よしはら・じろう)

吉原治良《黒地に赤い円》1965年
女性作家のめざましい活躍

初期の「具体」の作家や作品には、新奇な手法や派手なアクションといった、行為性と物質性が際立っています。一方で、そのような傾向に合致しない作家たちもまた、グループの中で重要な位置を占め、特徴的な作品を作り出していました。ここでは、具体に在籍した女性作家を集めました。

出品予定作家

菅野聖子(かんの・せいこ)
白髪富士子(しらが・ふじこ)
田中敦子(たなか・あつこ)
名坂有子(なさか・ゆうこ)
堀尾昭子(ほりお・あきこ)
森内敬子(もりうち・けいこ)
山崎つる子(やまざき・つるこ)

白髪富士子《作品》1960年 山村コレクション

山崎つる子《作品》1961年

白髪富士子《作品》1960年 山村コレクション
現代美術
―山村德太郎氏と近美の並走 

兵庫県西宮市に、企業家にして美術コレクターの山村德太郎氏がいました。山村氏は、具体の作品をヨーロッパからも買い戻し、1980年代に集中して集めました。同じ時期、近美でも、収集活動が活発化しています。山村氏の没後、氏のコレクションはまとまって近美に収蔵されることになりました。具体関連作品の増加を受け、近美の収集方針に「現代美術」が加わりました。

出品予定作家

上前智祐(うえまえ・ちゆう)
浮田要三(うきた・ようぞう)
金山明(かなやま・あきら)
嶋本昭三(しまもと・しょうぞう)
白髪一雄(しらが・かずお)
鷲見康夫(すみ・やすお)
前川強(まえかわ・つよし)
正延正俊(まさのぶ・まさとし)
松谷武判(まつたに・たけさだ)
向井修二(むかい・しゅうじ)
村上三郎(むらかみ・さぶろう)
元永定正(もとなが・さだまさ)
吉原通雄(よしはら・みちお)

元永定正《作品 N.Y. No.1》1967年
© モトナガ資料研究室

嶋本昭三《作品》1961年 山村コレクション
© shimamotoLAB Inc.

元永定正《作品 N.Y. No.1》1967年
© モトナガ資料研究室
多角的な理解に向けて
県美のGUTAIコレクション

2002年、阪神・淡路大震災からの「文化の復興」のシンボルとして、場所を移転し、名称も新たに兵庫県立美術館(県美)として出発しました。本展のエピローグとして、県美の開館後に収集された、グループの後半期に加入した作家たちの作品をご覧ください。豊富な点数と幅広い作風は、具体の多角的な理解へとつながります。

出品予定作家

今井祝雄(いまい・のりお)
小野田實(おのだ・みのる)
喜谷繁暉(きたに・しげき)
木梨アイネ(きなし・あいね)
田井智(たい・さとし)
高﨑元尚(たかさき・もとなお)
田中竜児(たなか・りゅうじ)
坪内晃幸(つぼうち・てるゆき)
堀尾貞治(ほりお・さだはる)
松田豐(まつだ・ゆたか)

今井祝雄《白のセレモニー・HOLES#6》1966年
© Imai Norio