当館のコレクションの多くは寄贈によるものです。昨年度(令和3年度)も公益財団法人伊藤文化財団や作家ご本人、篤志家の方々から、数多くの作品を当館にご寄贈いただきました。特に今回は、大和卓司氏からたくさんの作品のご遺贈があり、従来の当館コレクションには見られなかった性格を持つ作品たちがやって来ました。美術館に新鮮味を与えるという意味も込めて、今回これらの新収蔵作品を「リ・フレッシャーズ」と呼ぶことにしました。本展では、3つのキーワードを手掛かりに我らが県美のフレッシュな仲間たちを紹介します。
今回新たに収蔵された作品には、「反復、くり返し」が作品の大きな要素となっているものが多くあります。同じモチーフが連続して表されたり、ある行為を反復することによって完成された作品であったりと、その在り方は様々です。ここでは、そんなくり返し(リフレイン)によるリズムを感じられる作品を集めます。
作品には、得てして創造者のさまざまなものが投影されています。鏡に映った自分の像を画面に落とし込んだ作品もあれば、作家の個人的な経験を反映した内省的な作品もあります。このパートでは、作中に映し出されたイメージに焦点を当て、作品を読み解いていきます。
喜ばしいことに、これまで当館が所蔵していなかった兵庫ゆかりの作家や新進の若手作家の作品、そして過去に当館での特別展や小企画展に出品された作品も、この度収集の機会を得ることができました。美術館のコレクションを新たに特色づけるこれらの新収蔵作品を、従来のコレクションと関連付けながら紹介します。
今年没後50年を迎える吉原治良(1905-1972)の素描を中心とした多数の作品・資料を、令和2年度に公益財団法人伊藤文化財団から寄贈いただきました。今回はそれらの新収蔵品を中心に、従来のコレクションもあわせて展示し、吉原の創作の秘密に迫ります。前期後期で素描作品の展示替えを行います。
兵庫県立美術館では、近現代の彫刻はコレクションの主軸の一つです。昨年度の新収蔵品も交えながら、当館所蔵の豊かな彫刻の作品群を展示します。
小磯良平(1903-1988)は神戸に生まれた洋画家で、人物画の名手として知られています。小磯は西洋絵画の技法研究に熱心に取り組み、そこを源泉としながら生涯にわたって自らの画風を変えていきました。本展では人物画を中心にしながら、それらと同時期に描かれた静物画や風景画と共に画風の変遷を辿ります。
神戸出身の金山平三(1883-1964)は、東北や北陸をはじめとして日本各地を旅しながら風景を描き続けた洋画家です。金山の絵画の魅力のひとつは、対象を巧みに表現する、しかし気負いのない筆触であるといえるでしょう。本展では、そのような筆触で自然の風景や人の営みを捉えた作品を展示します。また、「ミニアチュール」に括られる小さな作品群も合わせてご紹介します。