「特集展示」では、美術作品を鑑賞する際の目の働きに着目します。
作品を見ている時、わたしたちは実に多くの情報を得ています。そこで感知するのは、色や形など目に見えるものだけではなく、時には感触や重量、光、時間など姿形のないものにさえ及びます。では実際、わたしたちは何を見てものごとを把握しているのでしょうか。
無意識に行っている視覚情報の取捨選択と対象の認識という行為に注目し、見ることの限りない可能性について考えます。
※山口勝弘の作品《Steps》は、作品保護のため以下の時間帯のみ点灯します。
11:00~12:00
13:00~16:00
特 集 展 示 |
-美術と目の
(常設展示室1~3) 第1章 戯れのまなざし
この章では、3つのテーマを設けて視覚の不思議な働きに迫ります。テーマ「見る手触り」では、思わず触れたくなるような、表面の仕上がりが特徴的な作品を、「ゆらぐ像」では錯視の効果を取りいれたような作品を、「ひそやかな世界」では比較的細かな点や微かな色で構成された小さくも豊かな世界が広がる作品群を紹介します。 伊藤隆康 《作品10-61》 1961年 油彩、石膏・布 八田豊 《流れ97-08》1997年 楮・布 撮影:草木貴照 第2章 領域を越えて
この章では、「写真と絵画」と「二次元と三次元」のふたつのテーマで、絵画や版画、写真のような芸術上のジャンルであったり、面で表される二次元と立体や奥行きで表される三次元のような異なる空間といった、既存の枠組みを越えることで生まれた表現をとりあげます。 森村泰昌 《批評とその愛人 4》1989年 カラー写真、透明メディウム ©Yasumasa Morimura 斎藤智 《無題C》1976年 シルクスクリーン・紙 第3章 現れた力と運動
重力や運動のような姿形の無いものは、美術ではどのように取り入れられ、表されてきたのでしょうか。この章では「力学」と「ベクトルのゆくえ」のふたつのテーマで、力の働きとその方向性をテーマにした作品を紹介します。 植松奎二 《コーナーピースⅠ: 倒置―垂直の場》1988年 銅、石 ©Keiji Uematsu 嶋本昭三 《作品》1960年 ペンキ、ガラス・布 山村コレクション ©ShimamotoLAB Inc. 第4章 光
わたしたちがものを見る時に無くてはならない光。色や形、奥行きを認識するために、目に入った光が眼球を通って網膜の上に焦点を結び、それが電気信号になって視神経を伝わり脳に伝達されるという仕組みがあります。日常生活において、特別に光に意識を向けることはほとんどありませんが、ここで紹介する作家たちは様々な光の姿を捉えました。 聴濤襄治 《WORK 1-5-66》1966年 テトロンフィルム、テグス、アクリル・木 |
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この度新たに当館に迎えた橋本関雪と小出楢重の作品に合わせて、「卓上の表現」と「生き物」というふたつのテーマのもとに当館の収蔵品を展示します。
両記念室では、小磯良平と金山平三の代表作を展示するとともに、特集展示「視覚遊戯」にちなんで、ふたりの「絵づくり」について考えてみます。小磯は、若い頃から描く対象の人物だけではなく、人物のまわりの空間をしっかり押さえておきたいと考えていたようです。一方の金山は、風景の中のあらゆるものを見ていましたが、見たものを整理、再構成することで、風景の魅力のエッセンスを引き出しました。