おいのこぶみ笈の小文
- 紀行文
- 場所: 摂津
概要
【作者】
芭蕉
【成立年】
宝永4年(1707)に近江国大津の門人乙州(おとくに)の手によって出版された『笈の小文』は、元禄4年(1691)に2年間の上方滞在を終えて江戸に帰る途中の9月28日夜、芭蕉が乙州宅に1泊した際に、乙州が乞うて書写したものを版行したのだという。
【備考】
「笈の小文」とは、文字どおり、旅中の「笈」の中の「小記」の意味で、芭蕉は自身や門人の秀作を書き記した「笈の小文」を作って持ち歩いていたという。内容は、芭蕉の旅行観などを記した文章や紀行の句文など一貫したものではなく、草稿的性格が見られる。
兵庫県との関係
貞享5年(1688)3月19日に上野を出て吉野・和歌浦・奈良・大坂を巡り、4月19日に大坂を発足、尼崎から海路、兵庫に至り、20日に陸路で明石まで足を伸ばして須磨に1泊(ここまでが『笈の小文』に記される)。なお、芭蕉は、その後、布引の瀧に上った後、乙女塚などを見て山崎街道を京に向かう。
テキスト
新編日本古典文学全集『松尾芭蕉集?』 小学館
ナレーション:櫻井武次郎