方丈記
- 作者:鴨長明
内容
津の国の今の京に至れり、所のありさまを見るに、その地、程狭くて条里を割るに足らず、北は山にそひて高く、南は海近くて下れり、波の音、常にかまびすしく、塩風殊にはげし。内裏は山の中なれば、かの木の丸殿もかくやと、なかなか様(やう)かはりて優(いう)なるかたも侍り。日々にこぼち、川も狭(せ)に運び下す家、いづくに作れるにかあるらむ。なほむなしき地は多く、作れる家は少なし。古京はすでに荒れて、新都はいまだ成らず。
場所
福原 (ふくわら)
現在地
神戸市兵庫区福原町