収蔵品によるテーマ展

 たとえば昔の肖像画を見て、まるで目の前にその人がいるように思えたことや、あるいは時間を超えた永遠の存在であるかのごとく感じられたことはありませんか。どうやら美術作品には、日常とは全く違った時間がぎゅっと詰まっているようです。そしてその時間は、誰かが作品を見るたびに、見る人の中にひらかれるのだとも言えるでしょう。
 展示の核となるのは、昨年度(2015/平成27年度)から今年度にかけて、新たに当館所蔵品となった作品群です。すでに当館のコレクションとして長い時を歩んできた作品も織り交ぜ、時間をめぐる5つのキーワードに沿ってご紹介します。

展示室1.2.3
「時間をひらく」新収蔵を中心に


1 まちの時間、ひとの時間

遠い昔から今に伝わる遺跡を描いた油彩画や、かつての神戸の風景を捉えた写真や絵画など、まちとそこに生きる人々の過ごした時間を感じさせる作品を紹介します。

左: 佐伯祐三《タラスコンの遺跡》1925年
右: 田淵銀芳〈流氓ユダヤ〉より《男》1941年(2012年プリント)

2 時間よ、止まれ!?

眼前の一瞬を凍結しイメージに留めるという写真の特性を生かした作品や、そのような写真的表現に通じる絵画作品により構成します。

やなぎみわ《案内嬢の部屋B1》1997年

3 封じられた時間、放たれる時間

ものやかたちの内部に時間を封じ込め、そして見る人の世界に開放するような立体の表現を中心に、関連する版画・素描もあわせて展示します。

今村輝久《封じられた時限3》1981年

4 めぐる時間

うつろう四季の空気感を捉えた絵画作品に始まり、人間や生きものの営みなどより抽象的な時の循環を感じさせる作品まで、絵の中に渦巻きめぐる時間をご覧いただきます。

青山熊治《早春》1930年

5 うごめく時間

イメージや文字がびっしりと描きこまれた平面作品など、人間の内面にうごめくような、深く広い時間を感じさせる表現に焦点をあてます。

坂上チユキ〈博物誌〉より《古代魚の呟き》2010年[後期展示]

展示室5

近・現代の彫刻/安藤忠雄コーナー

館の収集の柱のひとつである彫刻から、西洋近・現代の作品を展示します。また、当館の設計者である建築家・安藤忠雄の関西でのプロジェクトを模型、写真、映像などで紹介するコーナーを併設します。

オーギュスト・ロダン《オルフェウス》1894年

小磯良平記念室・金山平三記念室

神戸の巨匠、小磯良平・金山平三

神戸出身のふたりの洋画の巨匠を顕彰する記念室です。小磯良平記念室では、昨年度(2015/平成27年度)新規収蔵された作品を含めてご紹介いたします。当館と広島現代美術館で開催予定の「1945年±5年 激動と復興の時代」展への作品貸出のため、《斉唱》(1941年)は10月中旬以降の展示予定です。

金山平三《秋の庭》1909年

展示室6

「コレクションの逸品〜せいわざのプロセス」

ジョルジュ・ルオー《生きるとは辛い業・・・》の作品世界を手がかりに、「生」(生きること)と「業」(行為)をテーマに据え、人間の表現・創造的行為の意味を再考します。近現代の人間像、風景、オブジェにみる、作家の身体・思考・技術・行為といった多様な制作プロセスの様相・痕跡を読み解き、「生」と「業」の本質を問いかけます。

ジョルジュ・ルオー〈ミセレーレ〉より《生きるとは辛い業・・・》1922年

関連イベント

ミュージアムボランティアによるガイドツアー
会期中の金・土・日 / 13:00〜(約45分) / エントランスに集合 / 参加無料(要観覧券・定員なし)

学芸員によるギャラリートーク
7月2日[土]―時間をひらく、 9月3日[土]―小磯・金山記念室、 10月1日[土]―コレクションの逸品
いずれも16:00〜(約40分) / 参加無料(要観覧券・定員なし)

こどものイベント「夏休みスペシャル2016」
7月30日[土]、31日[日]/ 会場:アトリエ2 / 一部要参加費

県美プレミアム
収蔵品による小企画展:美術の中のかたち−手で見る造形収蔵品によるテーマ展:時間をひらく

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