2014年11月22日(土)〜2015年3月8日(日) 阪神・淡路大震災から20年県美プレミアム阪神・淡路大震災20年展

2014年11月22日(土)〜2015年3月8日(日)

第1部 自然、その脅威と美 常設展示室6

第1部では、震災を捉えるにあたって、まず、わたしたちの自然観に焦点を当てます。自然は人間にとって美であるとともに、震災のように、災いをもたらす脅威でもあります。この両面に焦点を当てた展示を行います。

前期:2014年11月22日(土)〜2015年1月14日(水)
東山魁夷ほか、コレクション中の絵画・版画

後期:2015年1月17日(土)〜2015年3月8日(日)
池田遥邨《颱風来》1921年
徳永柳洲《小田原の津波》1923年
岩橋英遠《記録T》《記録U》1964年
岡本太郎《森の掟》1950年
川端龍子《逆説・生々流転》1959年
片岡球子《火山(浅間山)》1965年
黒田清輝《桜島爆発図(噴煙)》1914年
横山操《新山》1958年
ほか、他館からの借用作品を中心にした展示

第2部 今、振りかえる−1.17から 常設展示室1・2・3

第2部は、1.17から現在そして未来へ、美術作品を受け継ぐという、美術館の原点でもある活動を軸に、さらに3つのパートにより構成します。

1)その時、美術館では 1995-2005

震災から20年を経て記憶の風化が問題となっていますが、美術館とて例外ではありません。美術館の被災状況や、その後の震災関連の取り組みなど、震災から10年の当館の動きを、関連する所蔵品やドキュメントによりたどります。

2)中山写真スタジオの「文化財レスキュー」

このパートでは、被災地域の文化財を救出する「文化財レスキュー」を取りあげます。
中山岩太(1895-1949)は、阪神間にモダンな文化が花開いた時代に活躍した写真家です。1995年2月、震災で全壊した中山写真スタジオ(兵庫県芦屋市)から、大型カメラやネガ、ガラス乾板など貴重な作品と資料が救い出されました。当館も協力したこの救出活動は、東日本大震災でも注目を集めた「文化財レスキュー」の初の事例ともなりました。救出されたネガからプリントされた写真を含め、中山の代表作や神戸をとらえた風景など、約30点を展示します。

3)記憶を伝える−保存・修復と教育・普及

第2部最後のパートでは、少しテーマを広げ、震災に限らず様々な困難をくぐりぬけて受け継がれてきた美術作品を後世に伝える活動について紹介します。日頃、目にする機会の少ない美術作品の保存・修復や、未来を担う子どもたちへと作品を伝える教育・普及の活動がどのようにおこなわれているのか、当館所蔵品の例を具体的にご紹介します。 なお、震災後、1998年に取り壊された神戸市内の邸宅より救出された北村四海(1871-1927)のブロンズ大作《橘媛》が、修復を経て初めて当館で公開される予定です。

第3部 10年、20年、そしてそれから 常設展示室4

兵庫県明石市出身の米田知子(1965− )は、「記憶」をテーマに写真作品の制作を続け、国際的に活躍する美術作家です。米田は阪神・淡路大震災から10年に際し兵庫県芦屋市で、被災地に取材したシリーズを制作、発表しました。かつての避難所など震災の生々しい記憶を宿した場所を、しかし透徹したまなざしでとらえた米田の作品は、10年、20年という区切りを超えて時間を開き、静かに訴えかける力に満ちています。第3部では、過去から現在、そして未来へとたどってきた3つのセクションの締めくくりとして、このシリーズ全点を展示します。