20 世紀のはじめから現代へと至る日本の美術作家の表現には、社会的な関心が色濃く表れたものも少なくありません。本展はそうした傾向を示す作品の中でも、特別な存在(ヒーロー、カリスマ、正義の味方)と無名の人々(公衆、民衆、群集)という対照的な人間のありかたに注目するものです。とりわけ大衆とも呼ばれる後者の存在は、どのようにその存在を可視化するのか、そしてどのようにして彼らとの間に連帯を築くことができるのかという切実な問いを表現者に投げかけてきました。無名の人々の集団=本展でピーポーと仮に呼ぶ存在が、立場や考え方によっていくらでも変化し、わかれていくものであるという事実は、その姿をとらえがたいものにもするでしょう。本展で注目する特別な存在=「ヒーロー」は、「ピーポー」が直面する困難やその願いを映し出す鏡としての、あるいはその存在に姿を与える触媒としての役割を担っています。
このような問題意識のもとに、本展では「ヒーロー」や「ピーポー」とは何かという問いに応えようとしてきた昭和と平成の時代に生まれた作品を5 つのテーマに沿って見ていきます。さらにこれらのテーマごとの展示に加え、現在活躍中の4名の作家=会田誠さん、石川竜一さん、しりあがり寿さん、柳瀬安里さんによる本展のための最新作もご紹介します。
本展では「美術」の領域にはおさまらない様々な大衆的メディア(紙芝居、漫画やアニメ、特撮など)を取り上げます。これは「美術」表現もまた、私たちの毎日の暮らしと地続きのものであることを示したかったからです。そして、現在活躍中の作家のみなさんの最新作を全国各地の美術館のコレクションとともにご紹介することで、過去とのつながりの中から現在と未来とが生まれることを改めて確かめたいと思います。
主催 | 兵庫県立美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会 |
---|---|
後援 | 公益財団法人 伊藤文化財団、兵庫県、兵庫県教育委員会、 神戸市、神戸市教育委員会 |
特別協力 | 宣弘社、円谷プロダクション、京都国際マンガミュージアム/ 京都精華大学国際マンガ研究センター |
協賛 | ライオン、大日本印刷、損保ジャパン日本興亜、 TKG Foundation for Arts & Culture |
当日券 | 前売 (1/11まで) |
団体 (20名以上) |
|
---|---|---|---|
一般 | 1,300円 | 1,100円 | |
大学生 | 900円 | 700円 | |
70歳以上 | 650円 | ー | 550円 |
高校生以下 | 無料 |
兵庫県立美術館ミュージアムショップ(前売のみ)、阪神(当日一般のみ)・近鉄主要駅
JTBレジャーチケット(セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルK・サンクス、ミニストップ/前売券:0250065、当日券:0250066)
チケット購入方法はこちら
1 | 映画上映会展覧会の内容と関連する3作品の上映会を実施します。 ●山本嘉次郎監督『ハワイ・マレー沖海戦』1942年 ●瀬尾光世監督『桃太郎 海の神兵』1945年 ●本多猪四郎監督『ゴジラ』1954年 日時:2月22日(金)、23日(土)、24日(日)、3月8日(金)、9日(土)、10日(日) 会場:ミュージアムホール |
『ハワイ・マレー沖海戦』(1942) ©1942 東宝 『桃太郎 海の神兵』(1945) 『ゴジラ』(1954) TM & ©1954 TOHO CO., LTD |
---|---|---|
2 | DVD上映会展覧会の内容と関連する『月光仮面』や『ウルトラセブン』などのテレビ放映された作品の上映会を実施します。 日時:3月15日(金)、16日(土)、17日(日) |
『ウルトラセブン』 (1967-1968) ©円谷プロ 『月光仮面』(1958) ©川内康範/宣弘社 |
3 | こどものイベント 「ふきだし」つけちゃおう!作品の登場人物になりきってふきだしの中の台詞を考えるワークショップです。 |
|
4 | 学芸員による解説会企画担当学芸員が展覧会の見所を解説します。 |
|
5 | ボランティアによるスライド解説当館ミュージアムボランティアが展覧会の見所を簡潔に紹介します。 |