兵庫県立美術館
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展覧会内容


巨匠ベラスケス

主題別に7つの章で展示し、各章(第6章を除く)にベラスケスの作品が含まれます。ベラスケスがそれぞれの主題をどのように絵画化したのか、その独創性に焦点をあて、表現の特徴を明らかにします。ベラスケスの作品を核に、17世紀スペイン宮廷の国際的アートシーンが一望できる構成となっています。


1
芸術

フランシスコ・デ・スルバラン《磔刑のキリストと画家》
1650 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

ディエゴ・ベラスケス《フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像》
1635年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

17世紀スペインでは「芸術」に対する意識や関心が高まり、芸術 そのものをテーマとする作品が数多く制作されました。芸術は高貴な知的行為であるとされ、画家や彫刻家たちは芸術制作を自由学芸として示し、社会的評価を向上させようとしました。この章では、芸術家の自画像や、芸術が持つとされた神秘的な効果や魔術的な機能を主題とする作品、芸術家の創造活動と神の創造とを類比してとらえた作品などを紹介します。

2
知識

ヤン・ブリューゲル(父)、ヘンドリク・ファン・バーレン、ヘラルト・セーヘルスら 《視覚と嗅覚》1620 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

ディエゴ・ベラスケス《メニッポス》1638年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

17世紀の美術において、知識、特に古典古代の哲学や思想はどのようなかたちで描かれてきたのでしょうか。ベラスケスによる《メニッポス》は、古代の偉大な哲学者には似つかわしくない、市井の貧しい一老人のように描かれています。当時、知識とりわけ古典古代の哲学や思想は、貧困と分かちがたく結びつけられて表象され、理想化されることなく徹底したリアリズムで描かれていました。この章では、ベラスケスのほか、ルーベンスやリベーラなどによる古代哲学者を描いた作品を中心に構成します。

3
神話

ディエゴ・ベラスケス《マルス》1638年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

ティツィアーノ《音楽にくつろぐヴィーナス》
1550 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

カトリック教会の影響力が強かった17世紀のスペインでは、裸体画が不道徳とされたため古典古代の神話が主題として描かれることは稀でした。神話主題には裸体人物像が不可欠であったからです。とはいえ、神話画は多くのスペイン王侯貴族によって収集され、限られた場所で享受されており、ティツィアーノやルーベンスの作品を中心とした壮麗なコレクションが形成されました。一方画家たちは裸体表現において、彼等の技量を自在に発揮し美を追究しました。本章では17世紀スペインの宮廷で制作され、受容された様々な神話画を紹介します。

4
宮廷

16、17世紀のスペイン宮廷では、国王および国家を称揚するため、また王侯貴族が富や権力を誇示するために、多くの芸術作品が制作され、収集されました。ベラスケスが宮廷画家として仕えた国王フェリペ4世は、稀代のコレクターであり、3,000点を超える数の絵画を収集したとされます。彼はマドリードのアルカサル(王宮)に加え、ブエン・レティーロ宮とトーレ・デ・ラ・パラーダ(狩猟休憩塔)という二つの宮殿を造営させ、内部を飾る多くの絵画を国内外から集めました。この章では、肖像画と宮殿装飾という観点から、フェリペ4世の代に描かれ収集された作品を中心に紹介します。

ディエゴ・ベラスケス《狩猟服姿のフェリペ4世》
1632-34年 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado
アントニオ・デ・ペレーダ《ジェノヴァ救援》
1634-35 年 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado
ディエゴ・ベラスケス《バリェーカスの少年》 1635-45年 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado
5
風景

クロード・ロラン《聖セラピアの埋葬のある風景》1639 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

ディエゴ・ベラスケス《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》
1635 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

17 世紀のスペインにおいて風景画は他のジャンルほど隆盛はみませんでしたが、スペインの王侯や絵画愛好家たちの間で人気があり、イタリアやフランドルの当時一流の風景画家たちの作品が大量に輸入され、流通していました。そのような状況の下、スペインでも風景画を手掛ける画家が現われました。ベラスケスの肖像画の傑作《王太子バルタサール・カルロス騎馬像》には、背景にマドリード近郊の山並みが流麗な筆致と澄んだ色彩で描かれ、優れた風景表現がみられます。この章では、17世紀スペインで受容された風景画の諸相を、フランドルやイタリア、フランスの作品を交えて紹介します。

6
静物

パウル・デ・フォス《犬と肉の寓話》
1636-38年 マドリード、プラド美術館蔵 
© Museo Nacional del Prado

フアン・デ・エスピノーサ《ブドウのある八角形の静物》
1646 年 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

静物画がヨーロッパにおいて一つの絵画ジャンルとして成立したのは、1600年頃のこととされています。スペインの静物画は「ボデゴン」と通称され、宗教的神秘をも感じさせる荘厳な静物画が制作されました。緻密な観察による迫真的な描写と神秘的な明暗表現はスペイン静物画の大きな魅力です。宮廷においても、静物画はフランドルやイタリアの作例とともにさかんに収集されました。本章では、17世紀スペインにおけるさまざまな静物表現を、国際的な文脈の中で振り返ります。

7
宗教

カトリック教会が対抗宗教改革を推し進めた17世紀は、宗教美術にとって最も実り豊かな時代のひとつでした。教会は、神の教えを正しく、わかりやすく伝え、かつ民衆の心に直接訴えかけるために、美術を最大限活用しました。そのような要請を受けて17世紀初頭にはテネブリズムと呼ばれる明暗のコントラストを強調した写実的な光の表現を特徴とする様式が各地で流行しました。図像面においては、とりわけ熱い信仰を集めた聖母や聖家族、様々な聖人の殉教や幻視といった場面が新たに描かれるようになりました。本章では、スペインを中心に、イタリアやフランドルの作品もあわせ、多様な17世紀カトリック美術を紹介します。


ペーテル・パウル・ルーベンス《聖アンナのいる聖家族》
1630 年頃 マドリード、プラド美術館蔵  
© Museo Nacional del Prado

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《小鳥のいる聖家族》
1650 年頃 マドリード、プラド美術館蔵
© Museo Nacional del Prado

ディエゴ・ベラスケス《東方三博士の礼拝》 1619年 マドリード、プラド美術館蔵 
© Museo Nacional del Prado
8
芸術理論

17世紀スペインでは、美術を単なる職人芸ではなく知的な学問、高貴な芸術として位置づけ画家の地位向上を目指す運動が盛んになりました。それと並行して美術理論に対する興味が高まり、美術に関する書物が多く著されました。この章では、プラド美術館図書室に所蔵される17世紀の重要な美術理論書の初版本を展示します。会場ではこれらの書籍には独立した章を設けず、1-7章内の随所で関連する絵画作品とともに展示します。

©Museo Nacional del Prado イラスト/©2017-2018 瀧口希望

プラド美術館展
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