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青木野枝《amorphous / 天王洲Ⅰ- V》 2025年 鉄、銅線 撮影:山本糾  © Noe Aoki Courtesy of ANOMALY
コレクション展Ⅱ
小企画 美術の中のかたち―手で見る造形
青木野枝 動体

「美術の中のかたち―手で見る造形」展は、作品に触れて鑑賞することができる展覧会です。平成元(1989)年から続くこのシリーズは、目の見えない人、見えにくい人に美術館で作品を鑑賞する機会を広げることを目的としてはじまり、同時に、視覚中心になりがちな鑑賞のあり方そのものを問い直す場ともなってきました。
阪神・淡路大震災から30年を迎えた2025年、当館屋外4階「風のデッキ」に、彫刻家・青木野枝(1958-)の作品《Offering/Hyogo》が設置されました。海と山の狭間に佇む本作は、無数に連なる鉄の輪のあいだを風が吹き抜け、変化する陰影が光の移ろいを感じさせます。36回目となる「美術の中のかたち」展では、その真下に位置する3階展示室2を初めて会場として使用し、本展にあわせて青木が制作した新作を展示します。
青木の彫刻は、工業用の鉄板から溶断したパーツを溶接して組み上げるシンプルな工程によってつくられます。水や光、大気中の粒子といった、目には映らないけれどもわたしたちのまわりに確かに存在し、絶えず流れ、変化し続けるものに関心を向ける青木にとって、素材である鉄もまた不変のものではありません。溶断によって赤く溶けていく鉄は、冷える過程で内部に光を宿します。それらをつなぎあわせることで生まれる彫刻は、表面の硬質さとはうらはらに、軽やかに空間へと広がり、生命や自然のなかにある微細な動きの気配を感じさせます。そのかたちに触れ、変容を続ける世界のあり方に思いをめぐらせる機会となれば幸いです。

動かないと信じているものも本当は動いているのではないかと思うことがあります。
全てのものは動きを内部に持ってそこにある。
いま私は鉄やガラスという一時的に硬い物質で彫刻をつくっています。
そしてそれは熱で溶けたり流れたりするものでもあります。
私は硬い状態の鉄で動いている状態の彫刻をつくりたい。
それは、彫刻自体が動くのではなく動きを内部に持った彫刻です。
青木野枝

会期

2026年10月20日[火] ― 2027年2月23日[火・祝]
※休館・閉室情報、観覧料無料日情報はこちら

会場

兵庫県立美術館 3階展示室2

観覧料

コレクション展Ⅱの観覧料でご覧いただけます。くわしくはこちら
障害者手帳等をお持ちの方とその介助の方1名は無料

関連事業

アーティスト・トーク
講師| 青木野枝
日時| 2026年10月20日[火] 14:00-15:00
会場| レクチャールーム、展示室(定員:30名)
※当日先着順、参加無料(要観覧券)
ゆっくり解説会 in Autumn(手話通訳・要約筆記付き解説会)
日時| 2026年11月8日[日] 13:30-14:25
会場| レクチャールーム(定員:60名)
※当日先着順、参加無料
ワークショップ
講師| 青木野枝
日時| 2027年1月17日[日]
※詳細は決まりしだいお知らせします
協賛: 公益財団法人伊藤文化財団、サンシティタワー神戸(株式会社ハーフ・センチュリー・モア)、一般財団法人安藤忠雄文化財団
協力: 認定NPO法人神戸アイライト協会、点訳ボランティアグループ連絡会(点V連)、ANOMALY

撮影:砺波周平
青木野枝(あおき・のえ)

1958年、東京都生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了。80年代より、工業用の鉄板をパーツに溶断し、溶接して組み上げるシンプルな作業を繰り返すことで完成する作品を制作。有機的かつ軽やかな立体作品で高い評価を得る。ワークショップや地域との協働にも積極的に取り組む。近年の展覧会に「ゴヤからピカソ、そして長崎へ 芸術家が見た戦争のすがた」(長崎県美術館、2025年)、「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」(東京都庭園美術館、2025年)、「青木野枝 光の柱」(市原湖畔美術館、千葉、2023年)など。2021年第71回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2026年9月16日より、千葉市美術館にて開催される「千葉開府900年記念特別展 月と星と―美術がつなぐとき」に参加。