2020年3月20日(金・祝)~9月22日(火・祝) 特集展示:動く!美術―動きはどう表現されてきたか― Motion in Art― Visual Experiments in Expressing Motion

展覧会概要

「特集」では、美術の中の「動き」に着目します。動き回る人物や動物、多様性に満ちた自然の営み―本来「動かない」美術においてこれらの動きはどのようにとらえられているのでしょうか。絵画や立体作品における「動き」の表現について考えます。

そのほか、館所蔵の版画、彫刻、洋画、日本画も展示、「小磯良平記念室」「金山平三記念室」での展示もあわせ、当館の多彩なコレクションを紹介します

1〈特集〉動く!美術―動きはどう表現されてきたか―
(常設展示室1~3)
「特集」では、美術の中の「動き」に着目します。動き回る人物や動物、多様性に満ちた自然の営み―これらは、本質的に「静的」なものである美術においてどのように作品化されているのでしょうか。絵画や立体作品の中でとらえられた様々な動きの表現を考えます。
第1章
命の鼓動 ―動く人・動く動物―
人や動物の動きは美術の中でどのように表現されているのでしょうか。本章では、労働や舞踊など運動する人体や動き回る動物など、動く人や動物を描いた作品を展示します。本来動きそのものを再現することができない絵画や彫刻において、さまざまな「動き」とその表現に着目してみましょう。

中西勝《日本アクロバット》1956年

エドガー・ドガ《腕を前に上げて進む踊り子》1882年頃
第2章
うつろう自然 ―ゆらめく水 かがやく光 そよぐ風―
この章では、自然の形象や現象に注目します。私たちをとりまく自然は、一日の時間、季節により刻々と変化しています。美術において、時間の経過とともにうつろいゆく自然の様相は、さまざまなかたちでとらえられてきました。刻々と姿を変える自然すなわち自然界の運動をとらえようとした作品や、自然界の多様性に着想した独創的な世界を創り出している作品を紹介します。

金山平三《無題(港)》1913-1915年

高松次郎《無題(#1090)》1984年
©The Estate of Jiro Takamatsu, Courtesy of Yumiko Chiba Associates
第3章
奔る線 踊る色彩
1940年代後半から50年代初頭にかけておこった、アンフォルメルや抽象表現主義といった一連の動向において、絵画平面はイメージの支持体としてだけではなく、「出来事が生起する場」としてとらえられるようになりました。これらの絵画では描く行為自体が重視され、筆を動かしたり絵具を垂らしたりする身体の運動の痕跡が作品として提示されています。ここで紹介する作品で は、絵具等に加えられた運動(=力)が造形物となり、物質を介した圧倒的なエネルギーが直接的に観る者に突き付けられています。

白髪一雄《黒暗天女》1984年

木下佳通代《93-CA787》1993年
第4章
天のしるし
人ははるかなる天空を見上げ、そこからもたらされるしるし―星の輝きや惑星の運行、雲の動きや太陽、月、星のかがやきや惑星の運動―にさまざまに思いを馳せてきました。美術においてもまた、天空そして天を動かす根元的な力としての重力もまた美術家たちの創造の源となっています。ここでは動かない視覚芸術の中に天空のダイナミクスを表そうとした作品を紹介します。

野村仁《‘Grus’ Score 010 Feb. 11, 2004 07:21》 2004年
2表現主義の版画(常設展示室4) 
前期のみ:3月20日(金・祝)~ 6月28日(日) 7月5日(日)
開館以来、当館では、近現代の版画を収集の中心のひとつにしてきました。今回の展示では、エゴン・シーレ、エミール・ノルデ、ケーテ・コルヴィッツなど、20世紀前半に活躍した作家たちを中心に、西洋近代の表現主義の版画を特集します。

エミール・ノルデ《汽船(大きく暗い)》1910年小企画:美術の中のかたち―手で見る造形 東影智裕展 Tomohiro Higashikage 後期のみ 令和2(2020年)年7月11日(土)~9月22日(火・祝)
3近現代の彫刻(常設展示室5)
近現代の彫刻も、当館の収集の柱のひとつです。今回は、特集のテーマにちなみ、「動き」と関係のある作品を紹介します。ダイナミックな動作だけでなく、それとは逆の静止状態を強調した作品、あるいは心理的な情動を表現した作品など、様々な「動き」の相をご覧ください。

オーギュスト・ロダン《オルフェウス》
1892年 
4洋画・日本画の名品―時代は動く、美術も動く―(常設展示室6)
当館が所蔵する絵画コレクションのハイライトをご紹介します。今期は、日本に「美術」が輸入された明治期から、太平洋戦争を経て戦後まで、激動の時代とともに生まれた新しい表現をご紹介します。

阿部合成《見送る人々》1938年 
5小磯良平記念室
気品のある優美な女性像で知られる近代日本洋画の巨匠、小磯良平(1903-1988)。今期は、美術学校を卒業後、ヨーロッパ滞在を経て独自の画風を確立した昭和初期(1930年代)の作例を中心に展示します。

小磯良平記念室ページはこちらから

小磯良平《娘》1935年
6金山平三記念室
金山平三(1883-1964)は神戸に生まれ、日本各地を旅し、四季折々の日本の風景を描いたことで知られる洋画家です。今期は、特に季節の描写に注目して展示を構成。特集にあわせ、1932(昭和7)年ロサンゼルス・オリピックの「オリンピック絵画協議展覧会」出品作も出品します。

金山平三記念室ページはこちらから

金山平三《下諏訪のスケートリンク》 1922年頃
関連事業

学芸員によるギャラリートーク

4月25日(土)、6月13日(土)
午後4時から(所要時間:45分)要観覧券
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止します。

ミュージアム・ボランティアによるガイドツアー

会期中の金・土・日曜日
午後1 時ー(約45 分)

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当面のあいだ中止します。

こどものイベント

6月6日(土)時間未定