館外作品による小企画:美術の中のかたち―手で見る造形 触りがいのある犬―中ハシ克シゲ
当館では毎夏恒例の「手で見る」、すなわち作品に手で触れて鑑賞する展覧会。29回目となる今年は、彫刻における触覚的なものとは何かという根本的問題に、塑造(=粘土による造形)の達人、中ハシ克シゲが挑みます。日々触れあっている愛犬をモチーフに、視覚を遮断し、触覚だけで塑造するという試みです。見た目はともかく、触れば生き生きと感じられる、そんな「触りがいのある」彫刻とは、果てさて一体どのようなものなのか!? ぜひ会場でじっくりと触れてお確かめください。
「美術の中のかたち―手で見る造形」とは
当館の常設展示室にて、1989年よりほぼ年一回のペースで開催。目の見えない人、見えにくい人にも美術鑑賞の機会を広げる目的で始まり、回を重ねる中で様々なアプローチを通じ視覚優位の美術鑑賞のあり方そのものを問う機会ともなってきたシリーズ展です。
本展予告動画(1分16秒)

作家紹介

中ハシ克シゲ
1955年香川県生まれ。1980年代、身近な人物や動物をモデルにした具象的なブロンズ彫刻から出発。1990年代に入り、松や板塀など日本的モチーフを扱ったポップでキッチュな金属彫刻で注目を集める。1990年代末からは、プラモデルのゼロ戦を接写・拡大した写真プリントを貼りあわせたハリボテの戦闘機を展示・焼却するという「ゼロ・プロジェクト」を国内外で展開。近年は、自身の原点である塑造に立ちかえり、粘土による実験的な制作を続ける。何度か大きく作風を変化させつつも、明治期に西洋流の彫刻を移植した、いわば彫刻なき国・日本の彫刻とは何かを一貫して問い続けている。

関連事業

アーティスト・トーク+対談
「触覚が生み出す作品とは」
9月1日(土)午後3時-午後5時
出品作家が展示作品の制作過程を紹介するとともに、全国各地のミュージアムを訪れ木彫も手がける目の見えない人と、触覚と彫刻をめぐって対談します。
講師:中ハシ克シゲ氏(出品作家)、小原二三夫氏(日本ライトハウス情報文化センター)
レクチャールームにて(定員100名) 
*聴講無料
*兵庫県立美術館「芸術の館友の会」会員優先座席あり

県美プレミアム
館外作品による小企画:美術の中のかたち―手で見る造形 触りがいのある犬―中ハシ克シゲ
収蔵品によるテーマ展:県政150周年記念 ひょうご近代150年 収蔵品でたどるひょうごのあちこち、150年のあの時この時