たとえば昔の肖像画を見て、まるで目の前にその人がいるように思えたことや、あるいは時間を超えた永遠の存在であるかのごとく感じられたことはありませんか。どうやら美術作品には、日常とは全く違った時間がぎゅっと詰まっているようです。そしてその時間は、誰かが作品を見るたびに、見る人の中にひらかれるのだとも言えるでしょう。
展示の核となるのは、昨年度(2015/平成27年度)から今年度にかけて、新たに当館所蔵品となった作品群です。すでに当館のコレクションとして長い時を歩んできた作品も織り交ぜ、時間をめぐる5つのキーワードに沿ってご紹介します。


左: 佐伯祐三《タラスコンの遺跡》1925年
右: 田淵銀芳〈流氓ユダヤ〉より《男》1941年(2012年プリント)

やなぎみわ《案内嬢の部屋B1》1997年

今村輝久《封じられた時限3》1981年

青山熊治《早春》1930年

坂上チユキ〈博物誌〉より《古代魚の呟き》2010年[後期展示]
館の収集の柱のひとつである彫刻から、西洋近・現代の作品を展示します。また、当館の設計者である建築家・安藤忠雄の関西でのプロジェクトを模型、写真、映像などで紹介するコーナーを併設します。オーギュスト・ロダン《オルフェウス》1894年
神戸出身のふたりの洋画の巨匠を顕彰する記念室です。小磯良平記念室では、昨年度(2015/平成27年度)新規収蔵された作品を含めてご紹介いたします。当館と広島現代美術館で開催予定の「1945年±5年 激動と復興の時代」展への作品貸出のため、《斉唱》(1941年)は10月中旬以降の展示予定です。金山平三《秋の庭》1909年
ジョルジュ・ルオー《生きるとは辛い業・・・》の作品世界を手がかりに、「生」(生きること)と「業」(行為)をテーマに据え、人間の表現・創造的行為の意味を再考します。近現代の人間像、風景、オブジェにみる、作家の身体・思考・技術・行為といった多様な制作プロセスの様相・痕跡を読み解き、「生」と「業」の本質を問いかけます。ジョルジュ・ルオー〈ミセレーレ〉より《生きるとは辛い業・・・》1922年