広瀬浩二郎プロデュース、美術の中のかたち 手で見る造形

収蔵品による小企画展


みどころ1:普段は目で見るだけの美術作品に、手で触って鑑賞みどころ2:全盲の文化人類学者広瀬浩二郎さんによる「触るための音声解説」を聞きながら鑑賞みどころ3:視覚を用いない新たな美術鑑賞の可能性を探り、誰にでも備わる知覚の潜在力を引き出す

 1989年に始まった「美術の中のかたち―手で見る造形」展。作品に触れることで、視覚に障がいをもつ人々に広く作品鑑賞の機会を提供し、また視覚に偏りがちな美術鑑賞のあり方を問い直すことを目指した当館の恒例企画です。
 27回目となる今年は、全盲の文化人類学者・広瀬浩二郎さん(国立民族学博物館准教授)の声によるガイドで、視覚を使わずに作品を鑑賞します。「無視覚流」とは、視覚障がい者の美術鑑賞の疑似体験ではなく、触覚、さらには全身の感覚を総動員して作品を「みる」行為です。広瀬さんとともに手を伸ばし、作品にじっくり触れてみましょう。あなたの手のひらから、「目に見えない」作品の魅力を探る新しい美術鑑賞が始まります。

*本展会場では人数制限を行っています。
予約券をお持ちの方からご案内し、その他の方も順番にご案内します。
予約券は当日分のみ「美術の中のかたち」展会場受付で発行します。
また、触る鑑賞は時間を要するという特徴があり、全ての解説を聞いた場合、所要時間は25分程度となりますので、時間に余裕をもってご来場いただくことをお勧めします。


つなぐ x つつむ x つかむ 無視覚流鑑賞の極意

つなぐ パズルを組み立てる創造力
手を上下・左右・前後にゆっくり動かし、点を線、面、立体へと拡げて、作品の全体像を頭で描く
つつむ 者・物が重なり一体化する感応力
手を作品の上に優しく置き、さわる人、さわられる物が持つ熱の相互作用、主体・客体の区別がなくなる境地を心で楽しむ
つかむ 目に見えない部分をとらえる洞察力
制作者の思いを想像しつつ、手をダイナミックに動かし、下から上、内から外へと流れる作品のエネルギーを体で味わう

広瀬浩二郎氏 略歴

 自称「座頭市流フィールドワーカー」、または「琵琶を持たない琵琶法師」。
 1967年、東京都生まれ。13歳の時に失明。筑波大学附属盲学校から京都大学に進学。2000年、同大学院にて文学博士号取得。専門は日本宗教史、触文化論。01年より国立民族学博物館に勤務。現在は民族文化研究部・准教授。「ユニバーサル・ミュージアム」(誰もが楽しめる博物館)の実践的研究に取り組み、“さわる”をテーマとする各種イベントを全国で企画・実施している。
 主な著書に『さわる文化への招待』(世界思想社)、『身体でみる異文化』(臨川書店)、『さわって楽しむ博物館』(編著、青弓社)、『知のバリアフリー』(共編著、京都大学学術出版会)などがある。また、これまでに国立民族学博物館では「さわる文字、さわる世界−触文化が創りだすユニバーサル・ミュージアム」(2006年)、「点字の考案者ルイ・ブライユ生誕200年記念・・・点天展・・・」(2009年)などの企画展を担当。

関連イベント

ワークショップ【1】
「触る感動、動く触感―触角人間になろう!」
講師:広瀬浩二郎氏 / 7月23日[土]10:30〜(約90分) / 会場:アトリエ2 / 参加無料 / 対象:大人(中学生以上)
▽要事前申込(定員20名)
往復葉書(葉書1枚につき1名様)に(1)氏名 (2)住所 (3)電話番号 (4)学生の方は学年を明記の上、兵庫県立美術館「美術の中のかたち ワークショップ@」係宛にお送りください(返信用葉書にも住所・氏名を明記してください)。
※締め切り:7月12日[火]必着(応募者多数の場合は抽選)
※こすると消えるペンのご使用はご遠慮ください

ワークショップ【2】
こどものイベント「テでさわる、カラダがさわる、ココロにさわる」
講師:広瀬浩二郎氏 / 8月6日[土]10:30〜(約90分) / 会場:アトリエ2 / 参加費:400円
対象:小学生(※小学1・2年生は保護者の同伴をお願いします)
▽要事前申込(定員20名・先着順)
こどものイベント係(tel.078-262-0908)にお電話ください
7月6日[木]10:00〜電話受付開始

講演会
「人生の触り方――『無視覚流』の極意を求めて」
講師:広瀬浩二郎氏 / 9月19日[月・祝]15:00〜(約90分) / 会場:レクチャールーム / 参加無料(定員100名) / 申込不要

※すべて兵庫県立美術館「芸術の館 友の会」支援事業