学習過程 | 学習活動 |
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万葉集について知っていることを発表する。
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「天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば明石の門より大和島見ゆ」を読む。(指名読み)
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「歌枕」について
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「ネットミュージアム 神戸文学館」の「歌枕館」に入館する。「歌枕」について調べる。
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調べたことをプリントに記入する。調べた「歌枕」について、発表する。
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学習過程 | 学習活動 |
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「天離る鄙の長道ゆ恋ひ来れば明石の門より大和島見ゆ」の歌を解釈する。
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自分の歌の解釈が正しいかを確認する。歌の解釈を発表する。(「歌を聴く」、「人麻呂」、「須磨・明石」に興味を持つ。)
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「第一室・須磨・明石を詠んだ歌」の中にある人麻呂の「燈火の明石大門に入らむ日や漕ぎ別れなむ家のあたり見ず」の歌を知る。
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学習過程 | 学習活動 |
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「淡路島」について考える。
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「淡路島」について詠んだ歌を調べる。
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「淡路地方」の文学で、万葉集の中に、「淡路島」以外の知っている地名があるかを発表する。
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本日のまとめとして、授業についての意見や感想を出し合う。次時の予告(次の時間の内容、週末の課題等)
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場所 | 兵庫県立舞子高等学校 |
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内容 | 「ネットミュージアム 兵庫文学館」を活用した授業−歌枕館を中心に− |
講師 | 兵庫県立洲本高等学校 粟井 光代 |
生徒は、現代文の授業より古典の授業に苦手意識を抱いていることがわかった。この苦手意識を持っている古典の授業を、面白く感じさせるためにはどのようにすればよいのだろうか。そんな思いをめぐらせている時に知ったのが、「ネットミュージアム 兵庫文学館」の存在だった。そこで、生徒の意欲や自主性を引き出すために、古典の授業にデジタル教材を活用した取り組みを考え、情報収集力、情報吟味力、情報整理力、情報発信力、表現力等の育成を行った。
『万葉集』『平家物語』を学習するに際して、文学館の企画展示である「歌枕館」「平家物語館」を活用した授業を組み立てた。
1.「歌枕館」を活用し、『万葉集』への興味をもち、歌枕についての理解を深める。
2.万葉集の歌について、作者、重要語句、修辞等を理解しながら、解釈、鑑賞をする。
3.生徒たちの生活基盤である地域と歌枕の関係について考える。
1.郷土の文学に関心をもち、身近にある文学碑等を他者に紹介する文章を書く。→「ふるさと発見」
「ネットミュージアム 兵庫文学館」を用いた授業の楽しさは、生徒たちの反応からもうかがえた。生徒たちは、「インターネットを使っての古典の授業は初めてだった。クリックひとつで絵や図も出てくるので楽しくなった」、「パソコンを使って勉強するのは、いつもと違って辞書で調べるより簡単で早く調べることができて便利だと思った。でも、簡単にわかってしまうから、先生が前から言っているように頭には入りにくいかもしれないと思った。だから、パソコンと辞書などをうまく使えば、たくさんの情報が入っていいと思う」等と初めて経験した授業や情報の扱い方についての感想を述べている。
「歌枕館」を用いた学習では、万葉集への動機づけを行い、授業プリントに示された課題を解決するために、「調べ学習」を行った。その後、授業で学んだことをもとに、自分たちの住む地域に関係した作品や文学碑等を紹介する「ふるさと発見」という課題に取り組み、伝える相手を意識し、地域の文学作品・文学碑等をどのように伝えるのかを考えた。生徒は文学館に再び入館して、淡路に関する情報を集め、調べたことをいかして、「ふるさと発見」を行った。できあがった自分たちの作品は、文学館の「ぶんがく寺子屋」に展示されている。地域をよく知る生徒の目がとらえた、その地域の文学作品・文学碑等の様子が文学館から発信され、生徒にとっては、自分たちの作品の発表の場が与えられたことになったのである。また、「平家物語館」を用いた学習では、授業プリントにそって、調べ学習をおこなった。特に「平曲入門」で琵琶の伴奏に合わせた語りを興味深く、楽しんでいた。
この学習を通して、和歌や軍記物語、郷土の文学への関心を深め、問題意識を持って、情報を集め、取捨選択することや相手を意識し、効果的に表現することの大切さ等を学んだのではないかと思う。
姫路東高等学校・廣岡徹校長先生(現・兵庫教育大学教授)より「授業のしかけとして、『ネットミュージアム 兵庫文学館』の活用は有効である。多様な画面は生徒の意欲を引き出すきっかけになる」とご助言をいただいた。この言葉を励みに、今後も各種メディアの特性・内容を考慮しながら、教材としての活用を探り続けていきたいと思う。
(*「歌枕館」を活用した授業の実際は「ネットミュージアム 兵庫文学館」の「ぶんがく寺子屋」に展示されている。