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平家物語館「神戸で平家を読む」−「平家物語」兵庫県立姫路東高等学校 倉橋良太教諭

1限目 学習の展開

学習過程 学習活動
導入1

①調べてみよう
一ノ谷合戦について調べてみよう。

学習のポイント
  • 義経の「鵯越」の逸話は、一ノ谷合戦の際に生まれている。
  • 「敦盛」など、逸話を多く残した合戦である。
導入2

②調べてみよう
一ノ谷合戦の挿話に登場する「平忠度」という人物について調べてみよう。
※「兵庫文学館~平家物語~」にアクセスして調べてみよう。

学習のポイント
  • 「タダノリ」という音から、現在でも「無賃乗車」のことを「薩摩守」と呼ぶほどの有名人。
  • 兵庫県内にも長田区と明石市に忠度の「腕塚」が残されている。
  • 平清盛の末弟という、平家一門の中でも身分の高い人物であった。
導入3

③考えてみよう
忠度は、兵庫出身の人物でないにもかかわらず、兵庫に「腕塚」が多く残されているのはなぜだろう。

学習のポイント
  • 「首塚」は各地に多く残されているが、「腕塚」という存在は珍しい。
  • 度は一ノ谷の合戦で戦死しており、その場面が「平家物語巻九~忠度最期」で描かれている。
導入4

④考えてみよう
信仰の対象となっている「腕塚」の「腕」にはどのような意味合いが込められているか。

学習のポイント
  • 「腕前」「腕がよい」「腕っ節」など、「腕」の持つ意味合いは多い。
  • 人類は二足歩行し、「腕」を自由に使えるようになったことで、文明を築くことができた。

2限目 学習の展開

学習過程 学習活動
展開1

①読んでみよう
「平家物語・巻九~忠度最期~」を読んでみよう。

解説を見る
学習のポイント
  • 「音便」「擬音語・擬態語」の多用、「敬語」の用いられ方に注目しよう。
展開2

②読みとろう
忠度が戦死するに至る経緯を読みとろう。

学習のポイント
  • 「是はみかたぞ」と言ってやり過ごそうとした忠度だったが、「かね黒」によって平氏と見破られてしまった。
  • 堂々と戦い、六野太を組み伏せた忠度であったが、背後から腕を切り落とされて観念した。
  • 残った左腕で六野太を放り投げ、念仏を唱えたが、唱え終わらないうちに首を落とされた。
解説を見る
展開3

③考えてみよう
武人としての忠度はどのような人物だったのだろう。

学習のポイント
  • 六野太との対比から考えてみよう。
展開4

④考えてみよう
大手柄をあげて歓喜する六野太の名のりを聞いて、敵もみかたも涙を流したのはなぜだろう。

学習のポイント
  • 箙に結びつけられた「旅宿花」と題された和歌によって、忠度の名前が判明している。
  • 「武芸にも歌道にも達者にておはしつる人を。あったら大将軍を」という言葉。

3限目 学習の展開

学習過程 学習活動
展開1

【読んでみよう】
「平家物語・巻七~忠度都落~」を読んでみよう。
・藤原俊成が『千載集』の撰者であることを理解する。

学習のポイント
  • 三位俊成卿(藤原俊成)は和歌の第一人者であり、『千載集』の撰者であった。
  • 「都落」における「うらめしかりし事どもなり」と、「最期」における「あったら大将軍を」という表現が、『平家物語』の作者によって強調された表現であることに注目しよう。
解説を見る
展開2

【考えてみよう】
歌人としての忠度はどのような人物だったのだろう。

学習のポイント
  • 一度都落ちした平氏が、再び京に帰ってくることの危険を想像しよう。
  • 願いが叶えられたあとの忠度の態度に注目しよう。
解説を見る
展開3

【考えてみよう】
兵庫に残る「腕塚」に、後世の人たちはどのような思いを込めたと考えられるだろう。

学習のポイント
  • 「腕塚」に対する後世の人々の思いは、『平家物語』によってつくり上げられた「忠度観」に対するものであることに注目しよう。

生徒体験型授業 「平忠度」紙芝居創作の流れ

紙芝居・講談講座

ネットミュージアム兵庫文学館の川東氏に来校していただき、「紙芝居づくりの基本」と「講談の基礎」を教わった。
簡単そうに見えるが、やってみると非常に難しい。舌を噛みながら奮闘する。

構成会議

紙芝居の構成について絵コンテを持ち寄って議論する。
各生徒のこだわりが活発な意見交換に発展した。「忠度」がみんなの心の中に生きはじめた瞬間。

作画

美術選択クラスの生徒だけあって、作画はお手のもの。分担を決めて要領よく仕上げていく姿は「頼もしい」の一言。

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