兵庫県立美術館は、平成元(1989)年度より「美術の中のかたち―手で見る造形」展を開催してきました。この展覧会は、視覚に障がいをもつ人にも美術館に来ていただきたいという思いと、作品に手で触れて鑑賞をすることにより、視覚にかたよりがちな美術鑑賞のあり方を問い直すことを目的としたものです。
25回目となる今回は、「ネオ漫画」と呼ばれる作品で全世界の注目を集める横山裕一氏を出展作家にお迎えします。展覧会でご紹介するのは横山氏が選んだ当館所蔵の彫刻作品と、そこからインスピレーションを得て生まれた横山氏の新作「ネオ漫画」です。
絵画や漫画のような平面における造形表現は触覚による鑑賞とは縁遠いものです。今回はあえて触るだけでは内容を把握することの出来ない作品を取り上げることで、「美術の中のかたち」という企画が取り組むべき課題とさらなる可能性を考える機会にしたいと考えています。
会場には手で触れて鑑賞することの出来る作品も、触れることの出来ない作品も並んでいます。目の見えない方、見えにくい方は、会場スタッフがそれぞれの作品の内容と魅力をおしゃべりしながらご案内します。今回のかたち展では、「見る」「触る」に加えて、スタッフとの「おしゃべり」による鑑賞をお楽しみください。
通常の漫画はストーリーを追いながら楽しむものですが、横山さんのネオ漫画にはこれといったストーリーはありません。コマワリやフキダシ、擬音語・擬態語表現など、通常の漫画と同じ要素を使いながら、人やモノの動き、時間のうつりかわりが生み出す躍動感や爽快感だけを純粋にそのまま味わうことができるのが特徴です。
会場に展示されるジム・ダイン、アルベルト・ジャコメッティ、ジョアン・ミロ、井田照一のなど作品は兵庫県立美術館が所蔵するものの中から横山裕一氏が選んだもの。これらの作品は別のキャラクターに変身して、横山氏の作品にも登場します。会場全体のレイアウトにも横山氏のアイデアが盛り込まれており、来場された方はあたかも横山氏のネオ漫画の世界に飛び込んだような体験を味わえるはずです。
横山裕一さんのサイン会を行います。
※7月19日(土)の開始時間を早め、翌日7月20日(日)もサイン会を行うことになりました!
・7月19日(土)
午後3時から午後3時45分まで、午後5時45分から(2時間程度を予定)
午後0時から午後3時45分まで、午後5時45分から午後6時頃まで ミュージアムショップ横にて
・7月20日(日) ← 追加決定!
午後0時から午後5時頃まで ミュージアムショップ横にて
・10月5日(日)
午後0時30分から午後1時30分まで ※場所等詳細は後日お知らせいたします。
展覧会オリジナルグッズを作ります。
展覧会会期中は当館ミュージアムショップに横山裕一さんの特設コーナーが登場します。
本展オリジナルのグッズもお求めいただけますので、展覧会を見た後はショップへゴー。
1967 宮崎県に生まれる
1990 武蔵野美術大学油絵科卒業
埼玉県在住
1995年よりマンガと美術を融合させたボーダレスな作品を発表し、注目を集めた。2004年4月『ニュー土木』(イーストプレス)で単行本デビュー。その作品は海外でも評価を得ている。 その他の代表作に、3人の男が列車に乗って何処かへ移動するだけという『トラベル』、不思議な庭に迷い込む『NIWA』などがある。
2013 「ルームと世界地図」、ARATANIURANO、東京
「世界地図とわたしたち」、表参道ヒルズ同潤館3F S and O、東京
2011 「横山裕一展〜きみはネオ漫画をみたか〜」、三菱地所アルティアム、福岡
2010 「カラー土木」、NANZUKA UNDERGROUND、東京
「横山裕一ネオ漫画の全記録:わたしは時間を描いている」、川崎市民ミュージアム、神奈川
2013 「あいちトリエンナーレ2013」、愛知県内各所、愛知
「Now Japan」、Kunsthal KAdE、アメルスフォールト、オランダ
「DRAWING NOW PARIS 2013」、ルーブル美術館、パリ、フランス
2012 「Planète Manga !」、ポンピドーセンター、フランス
2011 「六本木クロッシング2007」、森美術館、東京
2007 「Railway Art Festival」、京阪電車なにわ橋駅アートエリアB1、大阪
「美麗新世界」、北京798大山子芸術区?広州広東美術館、中国
『世界地図の間』
イースト・プレス、日本(2013); Picture Box、米国(2013)
『カラー土木』
Picture Box / NANZUKA UNDERGROUND(2011)
『NIWA』
Comics Factory、ロシア(2012); Picture Box、米国(2011); Editions Matiere、フランス(2009);
イースト・プレス、日本(2007)
『トラベル』
Comics Factory、ロシア(2013); canicola、イタリア(2011); Apa Apa、スペイン(2010)
Picture Box、米国(2008); イースト・プレス、日本(2006); Editions Matiere、フランス(2005)
『ニュー土木』
Picture Box、米国(2007); イースト・プレス、日本(2004)