昨年度新たに当館に所蔵された作品をそれらと関連性のある既存の作品とともに展示し、ますます充実していく当館のコレクションの一端を紹介します。
鳥や動物は、私たち人間にとって身近な存在であり、美術の世界でも常に重要な主題であり続けました。
この部屋では、京都の前衛日本画グループ「パンリアル美術協会」で活躍した下村良之介(1923-1998)の《翼》と《厘》、神戸を代表する洋画家のひとり中西勝(1924-)がメキシコで描いた《豚のいる風景》など、近年新たにコレクションに加わった作品を中心に、当館の収蔵品の中から鳥や動物をモチーフにした油彩画、版画、日本画などをピックアップして展示します。
それぞれの生き物の姿を写実的に描写したものから、象徴的あるいは抽象的な形で表現したものまで、生命を巡る多彩なイメージをお楽しみください。
横尾忠則(1936-)が柴田錬三郎と組んで1973年から74年にかけて週刊誌に連載した「うろつき夜太」は、虚実を往還するテキストとイメージが相まって、通常の時代小説の枠を超える破天荒な作品となりました。当館では、横尾の原画のうちの12点を平成12年に収蔵していますが、昨年さらに12点の寄贈を受けました。本展示ではこれらを一挙公開するとともに、時代小説挿絵の新旧対決として、石井鶴三(1887-1973)がの「
開館以来、国内外の版画を収集の柱のひとつに掲げてきた当館では、昨年寄贈により山口啓介の初期の代表作を取得しました。西宮市出身の山口啓介(1962-)は、大学卒業後の1990年頃に手掛けた大型銅版画で大きな注目を集めた美術家です。この部屋では、エッチングによる物質的なマチエール表現へと回帰した山口をはじめ、主に現代の作家たちが挑んだ大型版画を特集します。今なお変容を続ける版画の世界を技法の多様性や制作意図の違いに注目しながらご覧ください。
彫刻もまた版画と並んで重要な当館の収集の柱です。昨年は、ロダンと並ぶ近代彫刻の巨人ブールデル(1861-1923)をはじめ、その門下生として戦前・戦後に活躍した清水多嘉示(1897-1981)、さらにはイタリア20世紀彫刻の代表者のひとりファッツィーニ(1913-1987)の作品が、それぞれ寄贈によってコレクションに加わりました。このコーナーでは、これらの新収蔵品を中心に、これまで当館が集めてきた女性をモチーフとする具象彫刻を一堂に紹介します。
「ネオ漫画」と呼ばれる作品で全世界の注目を集める横山裕一さんを出展作家にお迎えします。展覧会では横山さんが選んだ当館所蔵の彫刻作品と、そこからインスピレーションを得て生まれた横山さんの新作「ネオ漫画」をご紹介します
この部屋では、ロダンを始祖とする近代から現代にかけての彫刻の流れの中から、様々な人体表現を紹介します。具象的な女性彫刻を特集した展示室3南と併せてご覧ください。 また、当館の設計者である建築家・安藤忠雄の業績の一部を模型、写真、映像などで紹介するコーナーを展示室東側に併設します。
昨年度新収蔵品の橋本関雪(1883-1945)の初期作品、菅井汲(1919-1996)の版画集『アクシダン』と、それらに関連する作品を展示します。あわせて、50年代から60年代にかけての、「具体」以外の関西の美術の状況を示す作品を展示します。
神戸生まれの小磯良平(1903-1988)は、近代洋画を代表する巨匠のひとりです。確かなデッサン力に裏打ちされた人物像、とりわけ気品あふれる女性像は、現在も高い人気を誇っていますが、実は男性を描いた作品も多く手がけています。そのほとんどは、注文による肖像画ですが、モデルを使って描いた作品も少なくありません。今回の展示では、代表作《踊り子》、《斉唱》などとともに、男性を描いた作品(素描を含む)を展示し、小磯の男性像について考えます。