2011年度コレクション展3 平成23(2011)年11月19日(土)−平成24(2012)年3月11日(日)

"わたし" をさぐる−セルフ・ポートレイト
 美術において「自画像」というジャンルは、画家が自分の顔を鏡越しに見つめ、それを描きとめていく、という作業を基本としています。おのずと自分自身の顔の造形にとどまらず、その心の内面にまで踏み込むかのような表現にいたる場合が多くなります。
 一方でそこに描かれる自分自身を、飾り立てたり、あるいは自分とは別の人物に扮することによって、その性格にさまざまな意味づけをおこない、新たな世界を切り開くこともあります。
この展示室では当館の豊富な収蔵品の中から、有名人に扮した自画像を含むさまざまな自画像を紹介します。


ジェームズ・アンソール 《自画像》 1886年

林 重義 《夜の自画像》 制作年不詳

"わたし" のあこがれ−セレブ・ポートレイト
 自画像とは別に、美術においてはモデルを描いた「肖像画」というジャンルもあります。画家がモデルを依頼したり、あるいはモデルが画家を指名して描かせたりと、こちらもさまざまな方法で数多く描かれ、表現されてきました。そこにあらわされたモデルは、自身の死後もなお残るイコン(聖なる像)としての役割をも担っています。
一方で、現代美術における肖像画では、メディアによって取り上げられたイメージをもとにして、新しい表現を獲得する場合もあります。そこにあらわれた人物像は、実在の人物と鑑賞者とが直接の接点がなくとも親しみを持たれる、別のイコンとしての役割をもたらしてくれます。
この展示室では歴史的な著名人や、現代の誰もが知っているセレブ(有名人)をモチーフにした作品を紹介します。


レイモン・デュシャン=ヴィヨン 《ボードレール》
1911年

横尾 忠則 《切断された小指に捧げるバラード》
1966年

"わたし" がみつめる−ある風景
 この展示室では視点を変えて、美術における別のジャンルである「風景」をみつめてみましょう。
画家が「風景画」を描く場合、そこには描く画家がその風景をどのようにとらえ、どのように表現したかが読みとれます。いわば画家が自分の属するこの世界をどのようにとらえているかのひとつのあらわれとも見なすことができます。
今回は、画家が風景をみつめるときのフィルターとしての「窓」をテーマにした作品をまとめてみました。窓そのものをモチーフにした作品、窓から見える風景に着目した作品など、その表現はさまざまです。
続いてその「窓」から見た風景と想定して、当館の収蔵品を展示してみました。ここには直接的な風景を表現した作品は少ないですが、それらをさまざまに展示することによって、新たな意味づけがあらわれてくるのではないでしょうか。


池田 永治 《まど》 1934年

吉原 治良 《窓》 1934年頃

"わたし" をめぐる−偶然・思考・消滅
 これまで見てきた“わたし”は、画家自身であったり、あるいは作品を鑑賞しているわたしたち自身であったりしました。しかしそもそも“わたし”とはどういった存在なのでしょうか?
この部屋では、今まで作品をとおしてみつめてきた“わたし”の概念をくつがえすような作品を取り上げました。画家自身の意図をまったく問わない作品、表現された内容をきわめて難解にされた作品、誰が描いたのかがもはや問われない作品などによって、それらの作品を鑑賞している現代のわたしたちの根本が、鋭く問いただされるのではないでしょうか。


グループ〈位〉 《非人称絵画》 1965/2004年

海外の近・現代彫刻 / 安藤忠雄コーナー
 展示室の西側では、当館の収集の柱のひとつである彫刻から、西洋の近・現代の作品をご覧いただきます。19世紀に活躍した巨匠ロダンをはじめ、さまざまな人体表現をお楽しみください。
また展示室の東側では、阪神・淡路大震災からの「文化の復興」のシンボルである当館の建築設計を担当した安藤忠雄建築研究所によるさまざまな震災復興プロジェクトを建築模型を中心に紹介しています。


オーギュスト・ロダン 《オルフェウス》 1892年

小磯良平記念室
金山平三記念室
小企画 安井仲治の位置

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