注目作家紹介プログラム チャンネル4 小林且典 薄白色の余韻 2013年11月2日(土)〜12月1日(日)午前10時〜午後6時 無休 会場:アトリエ1 観覧料:無料兵庫県立美術館

当館では、美術館の基本理念のひとつである"新しい美術を創造する未来志向の美術館#に基づき、平成22 年度より「注目作家紹介プログラム チャンネル」を開催しています。毎回、学芸員が注目の作家を紹介している本展ですが、4 年目を迎える今回は、兵庫県出身の彫刻家・小林且典(こばやし・かつのり/ 1961 年 龍野市生まれ)の個展を開催します。
小林は、イタリア留学時に魅せられた蝋型鋳造により瓶・皿・壷等の日常生活の中にある身近なものを表現してきました。自身のアトリエで鋳造できるよう改良に改良を重ねたブロンズの作品は、時を重ねたものが持つ親密で温かい気配をまとい、ひっそりと佇むその姿は、我々に時間という概念を忘れさせます。また、小林は、それらの作品を配した空間をアトリエ内に創出し、自作レンズによるカメラで撮影した「静物の世界」をフィルムに焼き付けます。
兵庫県初の個展となる本展では、天井高7m20cmのアトリエ1の空間を活かし、床面中央には膨大な数のブロンズと木彫の作品を配し、壁面にはカラープリントの新作を軸に、モノクロプリントも併せて紹介。
その他、フィンランドの滞在以来制作に加わった木彫、蝋型鋳造によるブロンズも展示します。
小林の手と眼差しを通して創り出される半透明の世界、その空間に漂う美の余韻に身を委ねていただければ幸いです。


会期 2013年11月2日(土)〜12月1日(日)
午前10時〜午後6時 無休
会場 ギャラリー棟1階 アトリエ1
観覧料 無料
主催 兵庫県立美術館
後援 公益財団法人伊藤文化財団
協力 神戸大学発達科学部人間表現学科立体造形研究室


チャンネル(channel)という単語には"海峡#や"水路#、美術館の前にもある"運河#、テレビやラジオの"チャンネル(局)#、"思考・行動の方向#、さらには何ものかとの"交信#など、様々な意味があります。そこに共通するのは"何かと何かをつなぐこと#。美術館を訪れる人と、同じ時代を生きるアーティストとがつながっていくことを願って命名しました。



      小林且典©沼田早苗
1961 兵庫県生まれ
1987 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
1989 東京藝術大学大学院 修了
イタリア政府給費留学生としてブレラ美術アカデミー(ミラノ)留学
1995 帰国
2010 フィスカルス(フィンランド)滞在
現在は、町田市(東京)在住
1988 4 Variations on “The Figure” / なびす画廊(東京)
1990 Brera aperta / ブレラ美術アカデミー(ミラノ)★
1991 15人の日本の現代彫刻家たち / イタリア文化会館(東京)★
1992 日本−イタリア若い世代 / 国立近代美術館(ローマ)★
日本−イタリア若い世代 平面作品展 / 日本文化会館(ローマ)
小林且典展/ルチアーノ・ソプラーニ ブティック(ミラノ)
ベレグアルド現代美術展 / ベレグアルド城(パビア)★
1993 Le Etoiles de la Peinture (パリ、ロンドン)★
PRESENZE / ウンベルティデ美術センター (ペルージア)
1994 ダンテ国際彫刻ビエンナーレ / ダンテセンター(ラベンナ)★
第1回ウンベルト・マストロヤンニ賞 / ピエモンテ州庁舎(トリノ)★
1995 90年代ミラノの美術 / ヨーロッパデザインギャラリー(ミラノ)★
1996 小林且典展 / みゆき画廊(東京)
2003 対話する小さな彫刻 / DEE’ S HALL(東京)
小林且典展 / 画廊編(大阪)
2004 彫刻家による写真表現 / ギャラリーオカベ(東京)
小林且典展 / なるせ美術座(東京)
2005 小林且典展 / ギャラリーすずき(京都)
小企画 小林且典展 / 安曇野市豊科近代美術館(長野)
モランディへのオマージュ・静物 / DEE’ S HALL(東京)
2006 小林且典展 / 楓ギャラリー(大阪)
2007 小林且典展 / ギャラリーすずき(京都)
安曇野でみる彫刻 / 安曇野市豊科近代美術館(長野)★
プラチナプリントとブロンズ / ギャラリーオカベ(東京)
2009 小林且典 / nca|nichido contemporary art(東京)
2010 小林且典 / ギャラリーすずき(京都)
Katsunori Kobayashi / フィスカルス(フィンランド)
小林且典展 フィスカルス村滞在記録 −風景と静物− /森岡書店(東京)
2012 Shizubi Project2 小林且典 ひそやかな眼差し /静岡市美術館(静岡)
小林且典 ブロンズ・写真 / みゆき画廊(東京)
小林且典展 / ギャラリーすずき(京都)
小林且典展 / 森岡書店(東京)
2013 フィレンツェからベネツィアへ 旅の記録 / 東塔堂(東京)
白をめぐって / Tokio Out of Place(東京)
1994 第1回ウンベルト・マストロヤンニ賞(トリノ) 2等賞
1994 第11回ダンテ国際彫刻ビエンナーレ(ラベンナ) 銅メダル
著書 『小林且典作品集 ひそやかな眼差し』(みすず書房)


1995 年3 月、ぼくは留学先のミラノから帰国した。
空港から兵庫の実家への帰路、高く積み上げられた瓦礫の山や崩れ果てようとするビル群を目にした。それらはまるで“未来は不安に満ちているのだ” とぼくに忠告しているかのようだった。六年間を過ごした彼の地との差はあまりにも大きかった。
それから一年後、どうにか制作を再開したが、以前のような大きな素材と格闘する思いは消え失せ、蝋をひねっては植物や器のかたちに造形し、それをブロンズに鋳込むという作業を繰り返した。ぼくにとってそれは日々の証であった。
やがてその小さな彫刻はアトリエを埋め尽くした。
あるとき、それらを写真で記録することを思いついた。
舞台を準備し、そこに彫刻を置いてみる。光と影、彫刻と彫刻との間隔、そしてファインダー越しの余白。 この観察という行為は “自分との対話” であることに気がついた。
そして写真は “彫刻の説明” という役割から独立した“作品” へと変化していった。
自然光をまとったぼくの小さな彫刻は人物のようでもあり、風景にも変化し、やがて物語を生んだ。
薄白色の余韻が漂う画面には、ぼくが観る人のためにとっておいた空き地が潜んでいる。呼吸を整え画面と向き合うとやがてそれは浮かび上がってみえてくる。
この展示では木で作った静物とそれをモチーフに撮影したカラープリントの新作を中心に白黒写真とブロンズ彫刻もあわせて展示する。
小林且典
静物 c-11-2013 / タイプCプリント / 2013年 木彫によるインスタレーション / 2013年
静物 c-11-2013 / タイプCプリント / 2013年
木彫、木に水干顔料で着色 / 2013年
木彫、木に水干顔料で着色 / 2013年 木彫によるインスタレーション / 2013年


アーティストトーク
11 月2 日(土) 14:00 〜 15:30
 会場:レクチャールーム
 料金:無料(定員100 名)
 ※終了しました。
高校生以上対象ワークショップ「大人のためのブロンズ鋳造講座」
11 月23 日(土)・24 日(日) 両日とも13:30 〜 16:00
 ※2日間連続講座
 講師:小林且典
 会場:神戸大学 発達科学部 研究棟(E)
 料金:2,000円 
 要申し込み
 ※共催:兵庫県立美術館芸術の館友の会

 詳しくはこちら(PDF)


昭和モダン 絵画と文学1926-1936
11月2日(土)−12月29日(日)
会場:兵庫県立美術館 企画展示室
神戸ビエンナーレ2013 「横尾忠則 感応する風景」
Yokoo Tadanori: Landscape Paintings
10月1日(火)−12月1日(日)
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3階
コレクション展U
特集 新収蔵品紹介 「信濃橋画廊コレクション」を中心に
小企画 美術の中のかたち−手でみる造形
「近いかたち、遠いかたち−岡普司・重松あゆみ・中西學−
7月6日(土)−11月10日(日)
会場:兵庫県立美術館 常設展示室(1階・2階)
コレクション展V
特集 コレクション名品選 「美術の始まるところ」
小企画 奥田善巳展
11月23日(土・祝)−2014年3月9日(日)
会場:兵庫県立美術館 常設展示室(1階・2階)


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