展覧会構成
本展覧会は幼少期から現在に至るまでの安彦良和の制作活動を、大まかな時代とジャンルによって分類した6つの章で構成されています。
1章
北海道に生まれて
北海道遠軽町に開拓民の3世として生まれた安彦良和は、幼い頃から絵を描くのが大好きな少年でした。1966年に弘前大学に入学すると学生運動に参加し、そのことから除籍となります。本章では大学時代までに描かれた様々な資料により青年期までの安彦良和の活動をたどります。
主な出品作品・資料:
『遙かなるタホ河の流れ』(ノートに書いた漫画作品)、同人誌『こんみゆん』
『遙かなるタホ河の流れ』(ノートに書いた漫画作品)、同人誌『こんみゆん』
『重点整理帳(理科)』より
『遙かなるタホ河の流れ』上巻より
2章
動きを描く
弘前大学を除籍となった安彦良和は、生活のためアニメーション制作会社である虫プロダクションの養成所に入所し、研修生を経てアニメーターとして活躍を始めます。漫画やイラストを自己流で描いてきた安彦良和ですが、その卓越した画力はアニメーション業界において一躍注目を集めるようになります。
本章で取り上げる主なアニメーション作品:
『わんぱく大昔クムクム』(1975-76)、『宇宙戦艦ヤマト』(1974-75)、『無敵超人ザンボット3』(1977-78)
『わんぱく大昔クムクム』(1975-76)、『宇宙戦艦ヤマト』(1974-75)、『無敵超人ザンボット3』(1977-78)
『無敵超人ザンボット3』
設定資料 ザンボット3
©創通・サンライズ
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』
ポスター原案
©東北新社/著作総監修 西﨑彰司
3章
カリスマ・アニメーターの誕生
花形アニメーターとして注目を浴びる存在となった安彦良和がキャラクターデザインとアニメーションディレクターを務めた『機動戦士ガンダム』は、社会現象を巻き起こすほどの人気作品となりました。本章では、様々な資料で『機動戦士ガンダム』の制作において安彦良和が果たした役割を辿ります。
本章で取り上げる主なアニメーション作品:
『機動戦士ガンダム』(1979-80)、『機動戦士Zガンダム』(1985-1986)、『機動戦士ガンダムF91』(1991)
『機動戦士ガンダム』(1979-80)、『機動戦士Zガンダム』(1985-1986)、『機動戦士ガンダムF91』(1991)
『機動戦士ガンダム』(劇場版)
ポスター原画
©創通・サンライズ
『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』
(シャアとアムロの決闘) 原画
©創通・サンライズ
4章
アニメーターとして、漫画家として
『機動戦士ガンダム』もその一翼を担った1980年代のアニメーションブームの中で、安彦良和はアニメーションの監督、小説の挿絵、漫画執筆と次々に新たな挑戦を始めます。本章では、そうした安彦良和の多彩な活躍を概観します。
本章で取り上げる主なアニメーション作品等:
『クラッシャージョウ』(小説挿絵:1977- 、劇場用アニメ:1983)、『巨神ゴーグ』(1984)、『アリオン』(漫画:1979-1984、劇場用アニメ:1986)、『ヴイナス戦記』(漫画:1986-1990、劇場用アニメ:1989)
『クラッシャージョウ』(小説挿絵:1977- 、劇場用アニメ:1983)、『巨神ゴーグ』(1984)、『アリオン』(漫画:1979-1984、劇場用アニメ:1986)、『ヴイナス戦記』(漫画:1986-1990、劇場用アニメ:1989)
『ネオ・ヒロイック・ファンタジア アリオン』
ポスター原画 ©安彦良和・THMS
『クラッシャージョウ』 イラスト原画
©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ
5章
漫画家時代(平成)
漫画に専念するようになった安彦良和は、古事記などの神話を再解釈して古代日本をダイナミックに描いた『ナムジ』を皮切りに、歴史漫画家として活躍を始めます。日本の古代史と近代史を両輪に、歴史の渦に翻弄されながら懸命に生きる「小さき者」たちの躍動をとらえた作品群は、現代の私たちに多くの示唆を与えてくれます。一方で西洋にも目を向け、キリスト教へのアプローチを試みた作品も発表しました。
本章でとりあげる主な漫画作品:
『ナムジ』(1989-1991)、『ヤマトタケル』(2012-2018)、『ジャンヌ Jeanne』(1995-1996)、『イエス JESUS』(1997)、『虹色のトロツキー』(1990-1996)、『王道の狗』(1998-2000)、『天の血脈』(2012-2016)
『ナムジ』(1989-1991)、『ヤマトタケル』(2012-2018)、『ジャンヌ Jeanne』(1995-1996)、『イエス JESUS』(1997)、『虹色のトロツキー』(1990-1996)、『王道の狗』(1998-2000)、『天の血脈』(2012-2016)
『ナムジ』より
©安彦良和/KADOKAWA
『虹色のトロツキー』より
©安彦良和/潮出版社
6章
安彦良和の現在
漫画家として活躍を続けていた安彦良和ですが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のOVA以降、アニメーションに再び携わるようになります。本章では安彦良和が監督を務めた最新のアニメ作品とともに、今なお揺れ動く世界に対する思いの込められた最新の漫画作品をご紹介します。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(漫画:2001-2011、2015、アニメ:2015-2018)
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022)
『乾と巽-ザバイカル戦記-』(2018- )
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』(2022)
『乾と巽-ザバイカル戦記-』(2018- )
『乾と巽-ザバイカル戦記-』より
©安彦良和/講談社