光の下にある物や人物を明るい色彩で描いた印象派の画家と、彼らが拓いた新しい表現を背景に制作をはじめた画家の作品を展示します。自然が与える美しさや感動を、モネ、シスレー、セザンヌの絵はよく示しています。
また、ルノワールはモダンな(近代的な)生活における人物や舞台をよくとりあげました。マルケの風景画とボナールの人物画は、そうした印象派の側面をそれぞれ引き継いでいます。
上段左:ポール・セザンヌ《大きな松と赤い大地(ベルヴュ)》1885年頃
上段右:クロード・モネ《睡蓮のある池》1919年
下段:ピエール=オーギュスト・ルノワール《ド・ガレア夫人の肖像》1912年
20世紀になって、印象派の画家たちの新しさに対する理解が深まると同時に、表現のさらなる革新を求める動きが現れます。激しい色彩で人間の情動までも描こうとするフォーヴィスムや、事物を見てそれを描くアプローチそのものに根本的に挑んだキュビスムの動きがそれです。
しかし、そうした傾向からはじめた画家たちも、第一次世界大戦後には、画面に秩序を求め、
伝統的な美術を参照した作品を生み出すようになります。
モーリス・ド・ヴラマンク《踏切のある風景》1953年
第一次と第二次の世界大戦の間の1920年代、30年代、パリにはヨーロッパ各地、そして日本などから多くの若い画家がやってきました。祖国喪失者としての彼らが描く哀愁に満ちた作品は、時に短かった彼らの生涯や、奇行に近い振る舞いを伝える評伝とともに、大きな人気を得ました。
そうした一群の画家の代表格ともいえるユトリロ(ただし、パリ生まれ)、モディリアーニ、藤田嗣治(レオナール・フジタ)らの作品を展示します。
左:アメデオ・モディリアーニ《バラをつけた若い婦人》1916年
右:キスリング《百合》1947年