大河原邦男氏がアニメ史上初めて、ロボットなどのメカを専門にデザインする「メカニックデザイン(表記は当時のママ)」としてクレジットされた「科学忍者隊ガッチャマン」(1972)を中心に、それまでの日本のアニメ作品における代表的なメカデザインを紹介します。
<主な大河原邦男氏参加作品>
- 「科学忍者隊ガッチャマン」(1972)
基本設定(決定稿コピー):
ミクロサターン
1973頃 タツノコプロ
基本設定(決定稿コピー):アルケオ
1973頃 タツノコプロ
基本設定(決定稿コピー):ゴーダム
1975頃 タツノコプロ
基本設定(決定稿):
ダイターン・ハンマー ダイターン・ファン
1977頃 創通・サンライズ
1970年代の後半はロボットアニメの黄金時代です。テレビの前の子供たちはロボットの活躍に胸をおどらせ、何とかその玩具を手に入れたいと願いました。大河原氏にとっては竜の子プロダクションからメカマンを経て独立を果たした時期です。この章では大河原氏が初めて手がけた主役ロボット「ゴーダム」、そして変形・合体を特徴とする巨大ロボットのデザインを見ていきます。
<主な大河原邦男氏参加作品>
- 「宇宙の騎士テッカマン」(1975)
- 「ゴワッパー5ゴーダム」(1976)
- 「無敵鋼人ダイターン3」(1978)
- 「無敵ロボ トライダーG7」(1980)
- 「最強ロボ ダイオージャ」(1981)
「機動戦士ガンダム」(1979)に登場するロボットは「モビルスーツ」と呼ばれる兵器として設定されました。それまでの変形・合体をする巨大ロボットの性格を受け継ぎながらも、後に「リアルロボット」と呼ばれるようになる見る者に強いリアリティを感じさせる設定と大河原氏によるデザインは、日本のアニメに革新をもたらすものでした。敵のメカが玩具化され、主役に勝るとも劣らない人気を得るという、それまでには考えられなかった現象も巻き起こります。本章では大河原氏のメカデザインのひとつの頂点である「装甲騎兵ボトムズ」(1983)に至る「兵器としてのロボット」のデザインを紹介します。
B全判ポスター原画
1981 創通・サンライズ
<主な大河原邦男氏参加作品>
- 「機動戦士ガンダム」(1979)
- 「太陽の牙ダグラム」(1981)
- 「装甲騎兵ボトムズ」(1983)
最初期設定:ザク
1978 創通・サンライズ
基本設定(決定稿):
スコープドッグ
ランドセル装備 [前] 1983
サンライズ
基本設定(決定稿):ハロ
1979頃(部分)
創通・サンライズ
1983頃 サンライズ
《1/1スコープドッグ ブルーティッシュカスタム》
2004 photo by Takeshi Masaki
「カッコイイ」ロボットのデザインによって一世を風靡した大河原氏ですが、ユーモラスで親しみを感じさせるメカデザインの傑作も数多く生み出しています。その代表的な例であるタイムボカンシリーズなど、「カワイイ」メカのデザインの数々を紹介します。
<主な大河原邦男氏参加作品>
- タイムボカンシリーズ
(「ヤッターマン」(1977)以降のもの 「ゼンダマン」(1979)、「ヤットデタマン」(1981)) - 「超力ロボ ガラット」(1984)
- 「魔動王グランゾート」(1989)
- 「疾風!アイアンリーガー」(1993)
- 「機動武闘伝Gガンダム」(1994)
初期設定:タイムラクーダ
1980頃 タツノコプロ
企画資料:メガロックス
1988 サンライズ・R
企画資料:シルバー
1984 サンライズ
モビルスーツという設定が世に出てから、アニメのロボットにはリアリティのある役割がますます求められるようになります。ロボットやメカの設定は多様なものとなり、作品の世界観を支える重要な要素となります。本章ではこうした「モビルスーツ以後」の多彩なデザインを紹介します。
基本設定(決定稿):
マグナビートル
1982頃 タツノコプロ
初期設定:
バイファム スリングパニアー
1983頃 サンライズ
初期設定:レイズナー
1985 サンライズ
<主な大河原邦男氏参加作品>
- 「未来警察ウラシマン」(1983)
- 「銀河漂流バイファム」(1983)
- 「蒼き流星SPTレイズナー」(1985)
- 「機甲戦記ドラグナー」(1987)
- 「機動戦士ガンダムF91」(1991)
1990年代になって、大河原氏は再び小さな子供たちのためのロボット=変形・合体を行う巨大ロボットのデザインを精力的に手がけます。本章では、こうした玩具としての魅力に溢れる1990年代の大河原氏の仕事を紹介します。
初期設定:マイトガイン[前]
1992 サンライズ
基本設定(決定稿):
エクスカイザー[前]
1989頃 サンライズ
基本設定(第3稿):
ガオガイガー
1996頃 サンライズ
<主な大河原邦男氏参加作品>
- 「勇者エクスカイザー」(1990)
- 「勇者特急マイトガイン」(1993)
- 「勇者王ガオガイガー」(1997)
基本設定(決定稿):
フリーダムガンダム
2003 創通・サンライズ
2000年代に入っても衰えを知らない大河原氏の仕事を現在進行系で紹介します。
基本設定(決定稿):
チビメカ-ヤカン・ドビン・茶ワン
2012 タツノコプロ・デバンダー製作委員会 2012
<主な大河原邦男氏参加作品>
- 「機甲武装Gブレイカー」(2002)
- 「機動戦士ガンダムSEED」(2002)
- 「MSV-R」(角川書店 2009)
- 「一発必中!!デバンダー」(2012)
基本設定(決定稿):
タマゲターメカ
2012 タツノコプロ・デバンダー製作委員会 2012