Anatomia Metamorphosis 解剖と変容 プルニー&ゼマーンコヴァー チェコ、アール・ブリュットの巨匠 2012年2月4日(土)から3月25日(日)まで
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見どころ

ルボシュ・プルニー

チェコ共和国北部のチェスカー・リーパ出身。小学校を卒業後、電気技師見習、鉄道員、店員などの職を転々とし、1989年からはチェコ芸術大学でモデルとして働きます。幼い頃から絵を描くことと解剖することに強い関心をもち、身体をテーマにした作品を描くようになりました。作品には、インクのほかに血液や毛髪や皮膚など、生体から取られた材料が用いられることもあります。ヨーロッパのアール・ブリュットの愛好家の間で、近年最も注目を集めている新進作家のひとりです。
本展では、プルニーの絵画30点とオブジェ1点のほか、針と糸で自らの顔を縫ったパフォーマンスの写真などで、プルニーの全体像に迫ります。今回出品される作品のほとんどが日本初公開となります。


ルボシュ・プルニー《無題》2001年 
abcdコレクション

ルボシュ・プルニー《無題》2008年 
abcdコレクション


ルボシュ・プルニー《無題》2010年 
abcdコレクション

ルボシュ・プルニー《ボディ・アート》写真 
abcdコレクション

ルボシュ・プルニーの肖像

アール・ブリュットのドキュメンタリー写真の第一人者マリオ・デル・クルトが、チェコでルボシュ・プルニーに密着して撮影した肖像写真28点を特別公開します。本展のための特別プロジェクトとして2011年に撮影された詩的で美しい作品は、謎に包まれていたプルニーの素顔を知ることができる貴重なものです。

ルボシュ・プルニー肖像写真 マリオ・デル・クルト撮影 2011年 ©Mario Del Curto

アンナ・ゼマーンコヴァー

チェコ共和国東部モラヴィア地方のオロモウツ出身。25歳で結婚して4人の子どもを生み、40歳の時に家族でプラハに移住しました。惜しみない愛情を注いで育ててきた子どもたちが自立したことで気分が不安定になると、その代償のようにして絵を描くようになりました。家事から解放される早朝の4時から7時の間に、空想上の植物や花をモチーフとする作品を次々と描きました。紙に穴を空けたり皺を寄せたりしてレリーフ状にした作品や、絵の上から刺繍を施した作品も作りました。ローザンヌのアール・ブリュット・コレクション、マンチェスターのウィットワース美術館など、世界各地の主要なアウトサイダー・アート/アール・ブリュットのコレクションに作品が収蔵される代表的作家の一人です。
本展では、絵を描き始めて間もない1960年代前半の作品から、最晩年のサテン布を切り抜いてコラージュした作品まで、ゼマーンコヴァーの画業の全貌を明らかにする60点の絵画を展示します。


アンナ・ゼマーンコヴァー《無題》
1961〜63年 abcdコレクション

アンナ・ゼマーンコヴァー《水の花》
1960年代前半 abcdコレクション


アンナ・ゼマーンコヴァー《無題》
1970年代後半 abcdコレクション

アンナ・ゼマーンコヴァー肖像写真
撮影年代不詳

abcdコレクション

今回の展覧会の出品作品は、すべてフランス、パリのabcdコレクションの所蔵作品です。abcdは、映像作家で1985年からアール・ブリュットの作品を収集しているブリュノ・ドゥシャルムが、アール・ブリュットの理解と普及を目的として1999年に設立した非営利の団体です。作品の収集のほか、記録映像の製作や、出版、展覧会などアール・ブリュットに関する様々な活動を精力的に行っています。ドゥシャルムの厳しい審美眼によって厳選された作品は、もっとも重要なアール・ブリュットのコレクションのひとつとして注目を集めています。
今回の展覧会は、パリ近郊のモントルイユにあるabcdのギャラリーで2009年に企画され、高い評価を得た展覧会Anatomia Metamorphosis(解剖学的変容)を、日本巡回用に大幅にバージョンアップしたものです。ヨーロッパで好評を得た本展の中核となる作品群によって、本場のアール・ブリュット愛好家たちの志向の一端を知ることができるでしょう。

abcdギャラリーでのAnatomia Metamorphosis展展示風景(2009年)

天空の赤―アール・ブリュット試論

本展のもうひとつの柱は、abcd創立者のブリュノ・ドゥシャルムが2009年に制作したアール・ブリュットを紹介する約90分の長編ドキュメンタリー映画です。息つく間もなく展開される詩的で斬新な映像により、ヘンリー・ダーガー、ジョージ・ワイドナーなど、アール・ブリュットの重要作家の実像に迫るとともに、ジャン・デュビュッフェ(美術家、アール・ブリュット収集家)、ミシェル・テヴォー(ローザンヌ・アール・ブリュット・コレクション初代館長)など関係者へのインタビュー、アール・ブリュットの歴史を紹介するユーモラスなアニメーションなど、多彩な内容でアール・ブリュットの本質を探ります。
今回の展覧会に合わせて日本語字幕版として本邦初公開するもので、展示室内に特設したシアターで毎日上映します。プルニーとゼマーンコヴァーの作品と併せてこの映画をご覧いただくことで、より多角的にアール・ブリュットの魅力に迫ることができます。見はじめるとぐいぐい引き込まれていく93分の映画もセットになったお得な展覧会です。十分な時間の余裕をもってご来館ください。
  ドキュメンタリー映画「天空の赤―アール・ブリュット試論」(93分)も日本初公開! 「映像を見る」

映画「天空の赤―アール・ブリュット試論」より (ブリュノ・ドゥシャルム制作・監督、2009年)

天空の赤 関連作品も展示

長編ドキュメンタリー映画「天空の赤」では、監督のブリュノ・ドゥシャルムが敬愛する6人の作り手が特に詳しく紹介されています。アール・ブリュットの代表的作家のひとりヘンリー・ダーガー、アスペルガー症候群の画家ジョージ・ワイドナーなどです。本展では、映画をより深く鑑賞していただくために、映画の中で主役級の役割を果す6人の画家の作品計16点を特別に展示します。
出品作家:
ヘンリー・ダーガー、ジョージ・ワイドナー、松本国三、パーヴィス・ヤング、アレクサンドル・ロバノフ、ズデニェク・コシェック


ヘンリー・ダーガー《無題》
1950-60年 abcdコレクション ©Kiyoko Lerner

ズデニェク・コシェック《無題》
制作年不詳 abcdコレクション


ジョージ・ワイドナー《日曜日の墜落》 制作年不詳 abcdコレクション

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