「フレスコ画を描いてみよう!」
|
平成28年12月17日(土)10:30〜15:30
世界遺産 ポンペイの壁画展 関連 こどものイベント「フレスコ画を描いてみよう!」を開催しました。こども・おとな合わせて31名の方々に、参加していただきました。
1、材料の準備
当日の制作がスムーズに行えるよう、一週間ほど前にボランティアさんと準備をしました。

パネルにベニヤを貼り付けたり、顔料を入れるためのガーゼを切ったりしているところです。
材料の準備の方法や制作の手順などは、今回、講師として招いた近畿大学教授の岩岡先生からあらかじめ教えてもらっていたので、とってもはかどりました!
2、受付&オリエンテーション
さて、こちらからは当日の様子です。
続々とアトリエ2に参加者のみなさんが集まってきました。

今回は特別に大人個人での参加OKにしたので、"フレスコ画を一度やってみたかった〜!"という大人のみなさんも、こどものようにワクワクしながらのご来場です。
参加者のみなさんがそろったところで、スタッフ紹介をしました。
こちらが今回の特別講師、近畿大学教授の岩岡浩二先生です。

生時代から壁画を専門にしている、スペシャリストです!!
こちらの写真は右側から順に、展覧会担当の岡本学芸員・鈴木学芸員、こどものイベント担当ののりちゃん先生です。

おなじみですね!
その後、展覧会担当の鈴木学芸員からポンペイの壁画展について簡単に紹介してもらいました。

2000年以上も昔に栄えたポンペイの街。ヴェスヴィオ火山の噴火を受け、千年もの間火山灰に埋もれ眠っていたそうです。
そこで発掘された壁画の実物を日本でみることができるなんて、とても貴重な機会なんです〜!
3、ギャラリートーク
展示室でのマナーなどを確認してから、3グループに分かれて展覧会場へ鑑賞に出かけました。

こちらの写真は鈴木学芸員が《赤い建築を描いた壁面装飾》の前でギャラリートークをしているところです。こんなに鮮やかな色合いを今でも感じられるなんて・・・すごい。
建物の描き方も2000年前に描かれたとは思えないような写実的な描き方で、みんなびっくりしています!
神様のようなものや神話の世界に出てくるような動物、女の人の顔なども描かれていて、この前に立つと、わたしたちもタイムスリップしたような気分になりますね。
他にも《テセウスのミノタウロス退治》を展覧会担当の岡本学芸員がファシリテーターになってギャラリートークを行ったり、ヴェスヴィオ火山の噴火の様子をわかりやすく解説したCG映像をみんなでみたりして、鑑賞を深めました。
4、スケッチ
ギャラリートークの後はスケッチです。

今回自分がフレスコで描いてみたいもの(モチーフ)を取り出して、特製のメモ帳にスケッチを残してもらいました。
神話の世界の人物以外にも動物や植物、装飾的に描かれた模様など、いろいろあって迷っちゃう!
5、モルタル(石灰泥)と顔料の準備
参加者のみなさんが展示室で活動をしている時間帯、アトリエ2では、岩岡先生に教えてもらいながら、ボランティアさんとモルタル(≒石灰泥(せっかいでい))と顔料の準備をしました。

顔料は水で溶き、モルタルはコテを使ってちょうど良いやわらかさになるまで練り、なじませています。
このモルタルの水分がありすぎても、乾きすぎても描きにくいので、このタイミングにしかできない、貴重な体験です。
描くときは、石灰泥がちょうど良い状態の間、つまり、フレッシュ(新鮮)な間に、描き終えなければならないので、フレスコ(イタリア語で新鮮という意味)と呼んでいるんだって!なるほど!
6、感想の発表
みんなが展覧会の鑑賞からアトリエにもどってきたところで、感想の発表をしました。

「2000年以上の年月が経っているとは思えない鮮やかさや、写実的な描き方に改めておどろいた。」「赤も素敵な色だったけど、ブルーも素敵だった。」「不思議な生き物がいておもしろかった。」など、こどももおとなも、感じたことを素直に発表してくれました。
7、フレスコ画を描いてみよう!
岩岡先生にバトンタッチして、制作の手順やポイントについて紹介してもらいました。

フレスコ画の制作をする機会はあまりないので、「一言も聞き逃さないぞ!」という意気込みでみなさんが真剣に聞いている様子が伝わってきます。
今回用意している顔料は9色ですが、自分なりに混色して表したい色をつくるようにと岩岡先生からアドバイスをもらいました。
カドミウムレッド(赤)・コバルトブルー(青)・イエローオーカー(黄)を利用すると、中間色である紫・緑・橙をつくることができるということや、補色(色相環上で向かい合う色同士のこと)で色を作るとまた違った味わいの色になるということも教えてもらいました。
ふむふむ、混色って楽しそう!試してみたくなるね!
さて、次は描く土台(石灰泥≒モルタル)の準備です。

モルタルをパネルに塗りこめるのですが、これがはじめてだとなかなか難しい・・・。
コテを使って、パネルの周りにつけたベニヤ板の方へモルタルを押し広げていきます。

岩岡先生の手さばきが上手すぎて、とっても簡単そうに見えます!!!
さぁ、みんなもやってみましょう〜。
今日はじめて出会った人とも、協力してやってね。
中心から外へ向かってぐっと塗ります。あきらめないで、ファイト!!
モルタルをパネルに塗りこめたら、展覧会場でスケッチしてきたものをもとにして、パネルのサイズにおさまるよう、カルトーネ(原画)を描いていきます。

こんな感じ!

この後、色合いを考えるために、色鉛筆で簡単に色を塗っておきました。
このカルトーネには、描いたものの輪郭が点線になるよう、ポンチで穴をあけておきます。

カルトーネの下にタオルをひいて、ぷちぷちぷち・・・安全に気をつけてね!
モルタルのパネルに穴をあけたカルトーネを重ね、その上から顔料の入ったガーゼをとんとんとたたいていきます。

顔料が穴を通ってモルタルについたら、転写の完了!
転写まで終わった人から、使う顔料を自分のパレットにとります。

岩岡先生のアドバイスを思い出して・・・どの色を混ぜて使うか、考えて選んでね。
モルタルの水分を調整するために、キッチンペーパーで水分をおさえたり、霧吹きで水分を足したりして、描きやすい状態になったら、描いて描いて描きまくれ〜!
ポンペイの壁画は神話の世界を描いたものもあったからでしょうか、イメージが膨らんだので、ユニコーンを描いているようです。
どちらも少しずつ顔料を混ぜて、素敵な色ができあがっていますね。
モルタルの状態が良いと、スラスラスラ〜っと描くことができます。
フレスコ画では、顔料と石灰泥が化学反応を起こして定着するので、"つなぎ"になる定着材が必要ないのです。不思議だなぁ〜。
もう少し説明すると、例えば、水彩絵の具は「顔料+アラビアゴム」、油絵の具は「顔料+オイル」、日本画は「顔料+膠」といったように、絵の具は、顔料をとどめておくための材料を混ぜていることが多いのですが、フレスコ画はそういったものが必要ないのです!
化学反応だから!昔の人って賢い。

どんどん描くのが得意になってきたので、2つめのパネルに突入しています。
場面がつながっているのがおもしろいですね。
地面がてんてんと描いてあるのも素敵です。
おとなも真剣そのもの!
8、作品発表会
1時間以上集中して制作をした後、出来上がった作品を持ち寄って、発表会です。

自分の作品についての紹介や、制作した感想を発表してもらいました。
最後に岩岡先生からコメントしてもらい、みなさん大満足の様子で終了です!

9、ギャラリー













10、のりちゃん先生からひとこと

私自身、今回のイベントを企画するまでフレスコ画を描いたことが無かったので、不安でいっぱいでしたが、岩岡先生から"ノウハウ"を惜しみなく教えていただいたので、とても勉強になりましたし、イベントを終えた参加者のみなさんの充実した表情をみることができて、とっても幸せでした。
制作を通して「フレスコ画は唯一、定着材のない絵画」ということを、こどももおとなも実感しながら活動できたと思います。同時に、私たちも参加のみなさんと一緒になって古代都市の文化・文明の高さに感動したり、思いを馳せたりする機会にもなりました。
様々な学問とつながりを持ちながら、多様な芸術を楽しむことを続けていきたいと思います。
|
|