


本展には、ピカソの作品が6点出品されています。1909年の《フェルナンドの肖像》はピカソがキュビスムの様式を確立した時期の作品です。1913年の《瓶とグラスのある静物》は画面に新聞や壁紙などを貼り付けたコラージュ作品で、使われている素材の脆弱さのため、日本にもたらされる機会があまりないものです。その他にも、ピカソの「新古典主義時代」を代表する大作《二人の座る裸婦》(1920年)やゲルニカと同時期に描かれた横幅2mに及ぶ大作《鏡の前の女》など、戦前のピカソのスタイルの変遷がよく分かる作品のラインナップとなっています。


1931年にクレーは、デュッセルドルフの美術アカデミーの教授に就任しました。しかし、1933年にナチスが政権を掌握すると、教授職を解任されてスイスへ亡命しました。戦後ドイツの文化的復興のシンボルとして設立されたノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館は、ナチス・ドイツが国外に追いやってしまった画家パウル・クレーの作品88点を、1960年にノルトライン=ヴェストファーレン州が購入したことに端を発しています。本展では、同館が誇るクレーのコレクションから選りすぐった27点の作品を見ることができます。


1960年にノルトライン=ヴェストファーレン州が購入したクレーの作品88点を端緒とする州立美術館は、その後も初代館長ヴェルナー・シュマーレンバッハの強力なリーダーシップのもとで、ピカソやシャガールをはじめとする20世紀の巨匠たちの名品の数々を収集しました。フォーヴィスム、キュビスム、シュルレアリスム、抽象絵画といった20世紀前半のモダン・アートの流れをたどることができる同館のコレクションは、たとえ高額ではあっても最良の絵画作品のみを収集するというシュマーレンバッハの収集にかけた熱意をよく示しています。 |
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