



《こちらを向く足(2023/9/5)》リトグラフ・BFK紙、2024年
![2025年4月18日[金]―5月25日[日]](img/main_date.png)
兵庫県立美術館では、2010年より「注目作家紹介プログラム〈チャンネル〉」を継続して開催してきました。第16回となる2025年では、版画家・美術家として活動する松元悠(1993- )の個展を開催します。
松元は実際にあった事件を取り上げたリトグラフ制作を続けてきました。他方、実際の事件をとりあげると言えども、松元は自らがその事件の当事者にはなりえない「情報の受け手」であることを強調し、事件の現地に赴いたり、法廷画家の仕事で得られた情報を、作家は自らの身体や想像を通した限りで画面に落とし込んでいきます。
本展示において松元は、当事者や自分自身が見る「夢」について考えようとします。当事者が見る夢、作家自身が見る悪夢、夢のような物語。夢は誰しもが「見る」ものです。そこには情報の生み出し手はいません。「当事者のことを想いながら現場に立った時、私は夢を見ているような気分になる」と、作家は自らが事件の現場に赴くときの感情を表現します。
事実の報道とは一見すると対極にある、夢の交錯するリトグラフは、むしろ生々しく、当事者たちの現実を描きみせるでしょう。そこには、日々起こる事件や出来事に目を背けずにい続けるための一つの鍵が示されているはずです。
注目作家紹介プログラム チャンネル16
Matsumto Haruka: Dream
松元悠 夢
Spotlight Artist Showcase -Channel 16Matsumto Haruka: Dream

《アルマゲール島(祖母と大祖母の話)》
リトグラフ・かきた紙、2018年

《サラバ化物(大宮区、江戸川区、アフリカ)
:やっぱりやめよう》
リトグラフ、BFK紙、2023年

《蛇口泥棒(長浜市、東近江市、砺波市)》
リトグラフ・BFK紙、2022年
松元悠 まつもと・はるか
1993年 | 京都府生まれ |
---|---|
2015年 | 京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画コース 卒業 |
2018年 | 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻版画 修了 |
2021年 | 関西をベースに法廷画家としても働き始める |

《アルマゲール島(祖母と大祖母の話)》
リトグラフ・かきた紙、2018年
近年の主な展示
2024年 | 「サラバ化物(憶測の追跡)」(茨木市立ギャラリー、大阪) |
---|---|
2023年 | 「出来事との距離─描かれたニュース・戦争・日常」(町田市立国際版画美術館、東京) |
2023年 | 「版画報、道が動く」(越後妻有里山現代美術館、新潟) |
2021年 | 「架空の竜にのって海をこえて幻の島へ」(kara-Sギャラリー、京都) |
2019年 | 「活蟹に蓋」(三菱一号館美術館、東京) |
受賞
アートアワードトーキョー 丸の内2018 a.a.t.m.2018 三菱地所賞 |
Kyoto Art for Tomorrow 2020 ―京都府新鋭選抜展― 京都新聞賞 |

《サラバ化物(大宮区、江戸川区、アフリカ)
:やっぱりやめよう》
リトグラフ、BFK紙、2023年

《蛇口泥棒(長浜市、東近江市、砺波市)》
リトグラフ・BFK紙、2022年
アーティスト・トーク
日時:4月19日(土)14:00-15:00 ※開場は30分前から会場:当館レクチャールーム
定員:80名(先着順・無料)
※その他のイベントや情報については、詳細が決まり次第、当館ホームページにてお知らせします。

《最期の日(上新庄駅前通り)》
リトグラフ・いづみ紙、2018年
「注目作家紹介プログラム チャンネル」は、担当学芸員が今こそご紹介したいと考える注目作家を取り上げ、同時代を生きる作家と鑑賞者とがさまざまな「チャンネル」を通じて出会う機会になることを目指しています。