コレクション展III
会期:
平成16年11月27日(土)〜平成17年3月13日(日)

開館時間:
午前10時-午後6時(特別展会期中の金曜日・土曜日は午後8時まで開館、入館は閉館30分前)

休館日:
月曜日(月曜日が祝日の場合は開館、翌日火曜日に休館)

観覧料:
一 般 500円(400円)〈300円〉
大高生 400円(320円)〈240円〉
中小生 250円(200円)〈150円〉

*( )内は20名以上の団体割引料金
*〈 〉内は特別展セット割引料金
*兵庫県内の小中学生はココロンカードの提示により無料
*兵庫県内在住の65歳以上は一般料金の半額
*障害のある方とその介護の方(一名)は半額

関連イベント

ミュージアム・ボランティアによる
コレクション展ガイドツアー

毎週木・金曜日 14:00〜
コレクション展を1階、2階、屋外に分け、当館ミュージアム・ボランティアが作品を前に展覧会の見どころを紹介します。(約50分)  エントランスホール集合 / 無料(※屋外を除き、コレクション展チケットが必要です。)


コレクション展連続レクチャー(聴講無料)

12月25日(土)「浜田知明の銅版画」岡本弘毅(当館学芸員) 
2月6日(土)「グループ〈位〉座談会」 パネラー グループ〈位〉(河口龍夫、豊原康雄、中田誠、向井孟)+聞き手 平井章一(当館学芸員)
2月26日(土)「ジョルジュ・ルースと斎藤智−イメージと建築」山崎均(当館学芸員)
※11月27日、12月25日、2月26日の3回は1階レクチャールームにて 14:00※2月6日はミュージアム・ホールにて 14:00〜

【特集展示】館蔵版画大公開

当美術館では、現在約4000点をこえる版画作品を収蔵しています。今回は、これらの版画コレクションから選んだ約80点の作品によって戦後日本の版画の多彩な流れをたどるものです。駒井哲郎、浜田知明、川西英による1950年代の代表作をはじめ、池田満寿夫、吉原英雄、黒崎彰、靉嘔らによる革新的な表現と探求、写真製版によるシルクスクリーンあるいはリトグラフなどの版画技法などを自在に駆使した表現、ポップ・アートや概念芸術などの現代美術の動向と密接に関わる表現を生み出した1960年代後半から1970年代にかけての版画隆盛の時代、さらに1980年代以降の新しい世代の作家の登場までを、3つの展示室を使って紹介しています。

版画は、ともすれば、他の油彩画、日本画、彫刻などのジャンルに比較して、マイナーなジャンルにみられがちでした。しかし、戦後に開催された国際的な展覧会では、他のジャンルを圧倒して、日本の版画家の仕事に大きな注目が集まり、あたりまえのことですが、版画独自の芸術表現が改めて再認識されることとなりました。

版画は、キャンバスや紙に直接描いていく油彩画や水彩画とは異なり、あらかじめ物理的に彫り込んだり、あるいは酸による腐蝕などの化学的な方法で処置を行なった版を介して、その版の表面に盛った絵具やインクを、紙などの支持体(用紙)に写し取ったものです。このように版画には製版と印刷という二つの独立したプロセスが必ず介在しています。版画の様々な魅力の源泉は、他の芸術ジャンルにはみられない独特の間接的な表現手法にあるといえるでしょう。作家によっては、版やインクの性質や道具の働き、さらに印刷時のイメージの効果を見極めながら、独自の技法を追求しています。この機会にぜひご清鑑ください。

なお本特集展示に続くコーナーでは、震災復興関連展示として、阪神・淡路大震災復興支援ポスター原画、被災した神戸・阪神地域で滞在制作を行なったフランス人芸術家ジョルジュ・ルースによる写真を展示しています。

展示室1

当館の版画コレクションから選んだ約80点の作品により、戦後の日本版画の流れをご紹介します。駒井哲郎、長谷川潔、川西英、浜田知明、池田満寿夫、吉原英雄、荒川修作、菅井汲などがこの部屋の主な紹介作家です。

展示室2

この部屋では、黒崎彰、野田哲也、高松次郎、中里斉、下谷千尋、横尾忠則などの作家の作品をご紹介します。版画独自の多彩な表現の魅力をお楽しみください。

展示室3

最後の部屋では、写真製版によるシルクスクリーン版画によって注目された斎藤智、木村秀樹らのほか、80年代以降の片山みやび、小枝繁昭らの比較的若い世代の作品をご紹介しています。
また、震災復興関連展示として、阪神・淡路大震災復興支援ポスター原画、ジョルジュ・ルースによる写真を展示しています。

【小企画展】グループ<位>展 展示室4

神戸で結成された前衛美術家集団「グループ〈位〉」の活動を初めて本格的に紹介する展覧会です。この展覧会のために構想された新作も展示しています。

■グループ〈位〉とは?
「グループ〈位〉」は、1965(昭和40)年、神戸在住の若い美術家9名(井上治幸、奥田善巳、河口龍夫、武内博州、豊原康雄、中田誠、向井孟、村上雅美、良田務)で結成されたグループです。その後、メンバーは変動し、現在は河口龍夫、豊原康雄、中田誠、向井孟の4名です。

■グループ〈位〉の特徴
グループ〈位〉は、私たちがいま存在するこの世界とは何かという哲学的なテーマに強い関心を持ったグループです。グループ〈位〉は、個人の感覚では複雑で多様な現代の一面しか認識することができないという自覚のもとに、世界とは何かを、個人ではなく集団で思考し、それを作品としてあらわしました。
1965(昭和40)年8月に岐阜市内各所で開かれた「アンデパンダン・アートフェス
ティバル」での《穴》(会期中、メンバー全員で長良川河畔に巨大な穴を堀る作品。ひとつの目的のために全員の意志と力を結集する試み)や、同年11月に開催した「非人称展」(メンバー全員で全く同じ絵画を描き、作者を入れ替えて発表。個人を無化する試み)、1967(昭和42)年11月に京都で開かれた「フィルムユ67」で発表した映像作品《観測の時間(15秒)》(風景や物体を15秒間ずつ撮影した計60分の作品。「15秒」という客観的な基準からすべての存在を平等に置き直し、世界の成り立ちを問い直す試み)などには、彼らの思想がよくあらわれています。

■グループ〈位〉の活動の意義
・グループ〈位〉の活動は、その後1960年代後半から美術界で深まりを見せる概念的な領域への関心を先駆けとして位置付けることができます。
・それはまた、1960年代という時代が求めた新しい哲学、新しい世界観への、美術家の立場からの非常に早い反応であったと見ることもできるでしょう。
・彼らが掲げた「世界とは何か」というテーマや、個人を無化し、世界を総体として認識するという思想は、さまざまな価値観が併存し、その関係のなかからしか世界を認識できない今日において、さまざまな示唆を投げかけます。

■本展の見どころ
・本展は、この神戸に生まれた伝説の前衛美術グループの全容を一挙に紹介する初めての展覧会です。
・本展のために、グループ〈位〉の現メンバーが現存しない作品を再制作しました。
・本展のために、30年ぶりに制作された新作《非人称空間》も見どころのひとつです。

グループ〈位〉の活動の軌跡
1965(昭和40)年 グループ〈位〉展(国際会館ギャラリー、神戸)
アンデパンダン・アート・フェスティバル(長良川河畔、岐阜)に《穴》を出品
非人称展(ダイワ画廊、神戸)
1966(昭和41)年 E.ジャリ展(ヌーヌ画廊、大阪)
寄生虫展(信濃橋画廊、大阪)
現代美術の祭典(堺市)で「無感覚思考宣言」を発表、《PUZZLE》を出品
1967(昭和42)年 神戸カーニバルで《非人称人間》のパレード
「フィルム’67」(京都府立勤労会館)に《観測の時間(15秒)》を出品
1968(昭和43)年 青い箱と赤い箱のイベント(東遊園地、神戸)
1974(昭和49)年 『存在』発行
2004(平成16)年 小企画グループ〈位〉展(兵庫県立美術館)開催 新作《非人称空間》を発表

展示室5

当館の所蔵する彫刻作品の中から、ロダン、ブールデル、マイヨールなどによる近代彫刻と、シーガル、新宮晋などの新しい素材による新しい彫刻表現の世界をご紹介します。

展示室6

明治期から戦後までの日本の洋画の流れを展示しています。今回は特に1930年代の洋画を大きく取り上げます。日本的なものへのこだわり、西洋の前衛美術に対する憧憬を感じさせる作品をご覧ください。

金山平三記念室

金山のヨーロッパ留学中の作品のほか、冬から春にかけての雪景色を描いた作品を一同に展示します。様々な表情を見せる冬の空と雪、それらを巧みに掬い取る金山の筆の冴えをご堪能ください。

小磯良平記念室

鮮烈なるデビュー作《T嬢の像》、小磯の代表作である《斉唱》、《肖像》などの油彩作品によって小磯良平の画業をたどります。

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