2019年度コレクション展3 塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」UNE VALISE DU MARCHAND DU SEL 会期:2019年11月23日[土・祝] - 2020年3月1日[日]2019年度コレクション展3 塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」UNE VALISE DU MARCHAND DU SEL 会期:2019年11月23日[土・祝] - 2020年3月1日[日]

マルセル・デュシャンの《トランクの中の箱》は、デュシャン自身の主要作品のミニチュアや写真複製等で構成された作品です。それ自体も作品の一部である「箱」に全ての構成要素を収納することが可能で、デュシャン芸術が凝縮した「持ち運びできる、小さな美術館」(デュシャンによる言葉)として作られています。

本作は、購入したコレクターが個人的に手に取って眺めるか、或いは美術館等で公開される場合にはその集合体的な性質が強調され、「箱」の周囲に個々の要素が折り重ねられる展示方法が一般的です。そのため、納められた構成要素のひとつひとつが公共の場で提示される機会はほとんどなかったといえます。

この小さな箱を「持ち運びできる、小さな美術館」と形容したデュシャンの言葉を文字通り受け取るひとつの方法として、この小企画展では、本作の個々の要素(80アイテム)の提示を試みます。可能な限り全ての要素を見ることができる状態で展示することで、各構成要素のひとつひとつに目を向けると共に、本作品の全体像を「見る」ことが可能になります。小さなトランクから次々と作品が現れる、本作独自の魅力をご堪能いただける機会となります。


マルセル・デュシャン《トランクの中の箱》(シリーズA~GのうちG)1966-71年 滋賀県立近代美術館蔵
© Association Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2019 C2635
作者マルセル・デュシャン

マルセル・デュシャン(1887-1968 年)は20 世紀を代表する芸術家のひとりです。画家として出発した彼は、次第に絵画や彫刻といった伝統的な芸術の枠組みから遠ざかり、大量生産された既製品を選択して作品とする「レディ・メイド」や、機械仕掛けの男女が織りなす「愛」の神話をガラス上に視覚化した《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称《大ガラス》)等、「芸術作品」や「芸術家」の概念を問い直す作品を多く発表しました。

関連事業

講演会
延期としておりました下記講演会の実施日程が決まりましたので、お知らせいたします。
「デュシャンと箱と美術館」
講師:平芳幸浩氏(京都工芸繊維大学准教授)
2020年2月23日(日)午後2時~(約90分)
レクチャールーム 参加無料(先着100名・要観覧券)
デュシャンの活動や作品について多数の著作がある平芳幸浩氏をお招きし、本展出品作品である《トランクの中の箱》やデュシャンの展示へのアプローチについてお話しいただく予定です。
みなさまお誘い合わせの上、是非ご来場ください。心よりお待ちしております。
このイベントは終了しました

学芸員によるギャラリートーク
2019年12月14日(土)、2020年1月18日(土)
いずれも午後4 時~(約45分)
エントランスに集合 参加無料(要観覧券)
このイベントは終了しました