兵庫県立美術館 注目作家紹介プログラム チャンネル10 入江早耶展 純真(ロマンス)遺跡 愛のラビリンス 会期は2019年11月23日(土)-12月22日(日)
純真ロマンス遺跡 ~愛のラビリンス~》の構想

兵庫県神戸市東灘区御影塚町2丁目に「処女塚おとめづか古墳」があり、ここを中心として東西に「東求女塚ひがしもとめづか古墳」、「西求女塚にしもとめ古墳」が処女塚の方角に向けて築かれました。 *古くは奈良時代の万葉集や平安時代の大和物語の中にも、この三つの古墳にまつわる悲恋伝説が語り継がれており、本作品ではその続編を創造します。

私は、子供の頃からSFやホラー、妖怪にまつわる不思議なコト、奇妙な物語が大好きで、最近では少しづつ知名度を上げてきた消しカスのシリーズ作品もストーリー仕立てにしています。

1300年以上前から伝わる男女の三角関係ドラマも、いにしえの人々が想像を積み重ねて作り上げた物語なので、さらにもう一段重ねて令和元年版を作っても良いかなぁという思いで今回の展示に至りました。この秋は兵庫県立美術館でロマンス探検をお楽しみください★彡

入江早耶
*処女塚古墳と西求女塚古墳は三世紀後半、東求女塚古墳は四世紀初頭に築造された。処女塚古墳は1922年、西求女塚古墳は2005年に国指定記念物(史跡)となった。発掘調査後、現在は公園として管理されている。


展示風景



写真撮影:高嶋清俊


展覧会場は、ギャラリー棟1階のホワイエからスタートします。令和版の伝説は、廊下を通ってアトリエ1へと続きます。古墳から着想を得た遺跡のような雰囲気の会場は、兵庫県で収集されたダンボールで構成されています。ダンボールを見ると、消された痕跡があり、立体作品が、その色のついた消しカスでできていることがわかるでしょう。立体のモチーフの形は、物語に登場するアイテムや、箱にプリントされていた模様ですので、会場でじっくりと探しながらご鑑賞ください。

アトリエに展示された《純真遺跡~愛のラビリンス~》の新作のほかに、コインロッカーと美術情報センターに作品が展示されています。ぜひ、スタンプラリー付き会場マップを手にとって、館内をめぐってお楽しみください。


《新作スケッチ》

展覧会概要


作家インタピュー(約7分15秒)9月8日収録

兵庫県立美術館では2010年より毎年「注目作家紹介プログラム〈チャンネル〉」を開催してきました。10回目となる2019年度の「チャンネル」では、岡山出身で広島を拠点として活動する入江早耶(1983~)をご紹介します。入江はこれまで、長靴、鉛筆や化粧品などの日常的な素材を用いて作品を制作するなかで、一貫して、変わらないものの存在を問い続けてきました。消しゴムを用いたシリーズでは、掛軸や写真などのイメージを消し、消し去った観音や小鳥などを小さな立体物として消しカスで制作しています。

本展では、兵庫の「菟原処女うないおとめの伝説」をテーマとして、新作を発表します。二人の男性に求婚された娘はいずれか一人を選ぶことができず、自ら命を絶ち、彼らも娘の後を追いました。悲しい伝説は、作家のユニークな手法によって、新しい視点で現代に生まれ変わります。同じ伝説から着想を得た能「求塚」では、自らのために失われた命によって、娘は永く苦しむこととなりますが、新作では、乙女の純真さに焦点が当てられています。入江の作り出す祭壇によって、娘の長い苦悩は昇華されることでしょう。美術館の様々な場所に展示された作品を巡り、愛のラビリンスを堪能いただければ幸いです。



作家インタピュー(約7分15秒)9月8日収録
CHANNEL
※「注目作家紹介プログラム チャンネル」は、担当学芸員がいま最も注目すべきと考える作家を個展形式で紹介してきました。美術館を訪れる人と同時代を生きる美術作家が、さまざまな「チャンネル」を通じ出会う機会となることを目指しています。

《形象八景》2017年 本、消しゴムのカス

《形象八景》2017年 本、消しゴムのカス
開催情報
会期 2019年11月23日(土・祝)- 12月22日(日)
休館日 月曜日
開館時間 午前10時~午後6時(金・土曜日は午後8時まで、ただし美術情報センターはのぞく)
会場 兵庫県立美術館ギャラリー棟アトリエ1、ホワイエ、美術情報センターほか
観覧料 無料
主催 兵庫県立美術館
協賛 公益財団法人伊藤文化財団
助成 公益財団法人朝日新聞文化財団
公益財団法人中内力コンベンション振興財団
関連イベント


1

プレイベント

※兵庫県立美術館「芸術の館友の会」共催
展覧会に先立ち、出品作品と同じ消しゴムのカスで立体を作る方法で制作する第1部と、制作のお話を聞く第2部を開催します。
※イベントは終了しました。
第1部
ワークショップ「みんなで、はにわダスト!~消しカスで、はにわ作り~」
日時: 11月17日(日)13:30~15:00(受付:13:15~)
場所:アトリエ2
対象:一般(小学1年生以上)
定員:20名(応募者多数の場合は抽選
材料費:300円
※制作した作品は、チャンネル展会期中(11月23日~12月22日)に展示し、
12月25日(水)以降、友の会カウンター窓口で返却します。
第2部
アーティストとの交流会
ワークショップ終了後、15:30より、友の会会員限定のスペシャルイベントがあります。

【入江早耶展プレイベント第一弾 ワークショップ「みんなで、はにわダスト!~消しカスで、はにわ作り~」開催しました!】
本年度の注目作家紹介チャンネル10の出品作家、入江早耶さんが講師となって、参加者と消しカスで作品作りを行いました。
どんな「はにわ」を作るかデザインを決め、素材となる紙箱を、ひたすら消しゴムでゴシゴシ!!その途方もない作業から生まれた、カラフルな消しカスを粘土のようにこねて、小さな立体造形を作りました!
ワークショップ参加者の作品は、11月23日(土・祝)から当館にて開催の、『注目作家紹介プログラム チャンネル10 入江早耶展 純真遺跡~愛のラビリンス~』の中で展示されます!
ワークショップに参加できなかった皆様も、ぜひ展覧会で本物をご鑑賞ください!

2
オープンイベント「入江早耶アーティスト・トーク」
展覧会のオープンを記念して、展示室で今回の新作についてのお話をお伺いします。
日時: 11月23日(土)14:00~14:45
場所:アトリエ1
聴講無料
申込不要・直接会場へお越しください。

(参考作品)《カンノンダスト(菊理媛命)》2018年
掛軸、消しゴムのカス
入江 早耶(いりえ さや)略歴

《形象八景》2017年 本、消しゴムのカス

《形象八景》2017年 本、消しゴムのカス

(参考作品)《カンノンダスト(菊理媛命)》2018年
掛軸、消しゴムのカス
1983年 岡山市生まれ
2008年 ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学(ドイツ)交換留学
2009年 広島市立大学大学院博士前期課程修了
現在、広島市在住
主な個展
2018年 「Radierungen」MICHEKO GALERIE/ミュンヘン、ドイツ
2017年 「NEWoMan ART Wall Vol.9 入江早耶」NEWoMan ART Wall/東京
2015年 「ERASE ME」Galerie von der Milwe/アーヘン、ドイツ
2013年 「Every popular thing is beautiful」ICNギャラリー/ロンドン、イギリス
2012年 「デイリーハピネス」資生堂ギャラリー/東京
主なグループ展
2018年 「かたちを見つめて 第八回I氏賞受賞作家展」岡山県立美術館 /岡山
「駿河の国の芸術祭 富士の山ビエンナーレ2018」大法寺/静 岡
「PLAY vol.2-全ては遊びである⇔何ひとつ遊びではない」かわら美術館/愛知
「Open House」Hashi Gallery/メキシコシティ、メキシコ
2017年 「Ascending Art Annual Vol.1:すがたかたち」SPIRAL/東京、ワコールアートセンター/京都
「 Hello 開眼」ボーダレス・アートミュージアムNO-MA/滋賀
2016年 「美つくりの里:旅するアート2016」津山城跡/岡山
「眼差しと好奇心:anomaly」ミヅマアートギャラリー/東京
「Hyper Japanesque」Jendela Visual Arts Space/シンガポール
「瀬戸内国際芸術祭2016」小豆島/香川
2015年 「さっぽろアートステージ2015」札幌駅前通地下歩行空間/北海道
「ディズニー美術」KUNST ARZT/京都
主な受賞
2014年 「第7回岡山県新進美術家育成I氏賞」奨励賞
2012年 「第6回資生堂アートエッグ」Shiseido Art Egg賞
2009年 「AMUSE ARTJAM in Kyoto 2009」森本千絵賞
2007年 「新・公募展2007 Re-Act」天野太郎賞
2005年 「デザイナーズウィーク2005」富士通賞