2024年12月21日[土] ー 2025年3月9日[日]
期間中の特定の日時のみ公開予定
(要事前申込)
会場|KOBELCOミュージアムホール、アトリエ1
観覧料|無料
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撮影:渡邉寿岳
『艀(はしけ)』とは 人やものを載せて 二つの地点の間を往き来する船
どこかからどこかへ 誰かから誰かへ 何かから何かへ
艀は 自力で推進するための動力を持たない
何がその艀を動かすのか
人の力か 意思か あるいは自然の力か
今 あなたの目の前に漂う艀は どこから どんな道筋で 何によって運ばれてきたのか
しかし確かに いつかの どこかからの 人やものを載せている
もしその艀が 例えばあなたの何かしらの記憶に触れたとしても
それは その艀に運ばれてきた人やものが あるいは何らかの要因でここにやってきた艀そのものが あなたにとっては何かに見えたというだけで
なぜその艀がここにやってきて あなたの記憶に触れたのかは 結局誰にもわからない
そして自ら動くことのない艀は また何かに動かされて
ここからどこかへ 誰かから誰かへ いつかからいつかへ 運ばれていくのだ
―森山未來のコメント
「注目作家紹介プログラム チャンネル」は、当館が2010年度より開催してきたシリーズ展です。今こそ紹介したい注目作家を取り上げ、同時代を生きる作家と来館者がさまざまな「チャンネル」を通じ出会う機会になることを目指しています。2025年1月17日で阪神・淡路大震災から30年となることから、2024年度の第15回は同時開催の特別展「1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち」と連動する特別な回とします。
兵庫県出身でダンサーや俳優として領域をまたぎ身体的表現を展開する森山未來(1984- )。熊本県出身で大阪を拠点にインスタレーションやパフォーマンス、音響作品などの発表を国内外で続ける梅田哲也(1980- )。ともに既存の分野を横断して活躍する二人が共同で制作を行い、「チャンネル15」には《艀》、特別展には《浮標》と題する作品を発表します。
神戸の街と僕との距離を縮めた要因のひとつに、15年前、大阪のミニシアターで観た『その街のこども 劇場版』と、その作品の中で生きる彼の存在があります。
それから10年が経ち、彼を演じた森山未來さんと一緒に作品を作ることになりました。
初めて挨拶を交わしたとき、彼の面影が重なり思わず「久しぶり」と声をかけそうになりました。
そしてさらに5年が過ぎ、今回の制作で未來さんと神戸の街を一緒に歩いた時間は、まさに15年後の彼といるかのようでした。
―梅田哲也のコメントより
森山は、10歳の時に震災を経験し、2010年には震災15年目を描いたテレビドラマ『その街のこども』(NHK)にも主演。近年はアーティスト・イン・レジデンス施設「Artist in Residence KOBE (AiRK)」の運営など、神戸での活動にも積極的に取り組んでいます。梅田は、発表する場に元々あった物やシステムを活かしつつ、その場ならではの時空の深みへ鑑賞者を引きこむような作品で知られます。30年目の神戸での制作は、森山が梅田に、最近出会った魅力的な人や場を紹介しつつ、ともに街を歩くことから始まりました。
「チャンネル15」は、例年このシリーズの拠点となるアトリエ1と、隣接するKOBELCOミュージアムホールを会場に、二人の共同制作による作品を特定の日時のみ公開します。訪れた方は、一見いつものアトリエやホールと変わらない空間で、その時その場だけの、そこからつながる何かを体験することになるでしょう。
港湾で物資を運ぶ「艀」は、兵庫県立美術館の前の運河のような海にも、誰かへ何かを運ぶのを待ち係留されています。ジャンルを超えた二人のコラボレーションによる《艀》は、今ここから30年前へ、あるいはもっと昔や未来の海さえ渡って思いがけないものを届け、新たな旅へと誘ってくれるに違いありません。
阪神・淡路大震災30年
注目作家紹介プログラム
チャンネル15
森山未來、梅田哲也《艀》
主催 |
兵庫県立美術館 |
協賛 |
公益財団法人 伊藤文化財団 |
助成 |
公益財団法人中内力コンベンション振興財団 |
協力 |
神戸大学都市安全研究センター、神戸フィルムオフィス、日本サービス株式会社、摩耶山再生の会、まやビューライン(摩耶ロープウェー・摩耶ケーブル)、Artist in Residence KOBE(一般社団法人ハイム) |
Photo : Miyamoto Takeshi
森山未來
5歳から様々なジャンルのダンスを学び、15歳で本格的に舞台デビュー。2013年文化庁文化交流使としてイスラエルに1年間滞在、ヨーロッパ諸国で活動。「関係値から立ち上がる身体的表現」を求め領域横断的に国内外で活動を展開。俳優として日本の映画賞を多数受賞。ダンサーとして第10回日本ダンスフォーラム賞受賞。東京2020オリンピック開会式ではオープニングソロパフォーマンスを担当。2022年神戸市にArtist in Residence KOBE(AiRK)を設立、運営に携わる。
Photo : Tanaka Chihiro
梅田哲也
大阪を拠点に活動。現地にあるモノや日常的な素材と、物理現象としての動力を活用したインスタレーションを制作する一方で、パフォーマンスでは、普段行き慣れない場所へ観客を招待するツアー作品や、劇場の機能にフォーカスした舞台作品、中心点を持たない合唱のプロジェクトなどを発表。先鋭的な音響のアーティストとしても知られる。2023年度にはワタリウム美術館で個展「wait this is my favorite part」を開催。同年、芸術選奨文部科学大臣新人賞、Tokyo Contemporary Art Awardを受賞。
関連イベント
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出品作家によるパフォーマンス(予定)
1月17日(金)
時間、場所、参加方法など詳細は決まり次第、本サイトにてお知らせします。 |
「注目作家紹介プログラム チャンネル」は、兵庫県立美術館が2010年度より毎年度開催してきたシリーズ展です。担当学芸員が今こそご紹介したいと考える注目作家を取り上げ、同時代を生きる作家と来館者とがさまざまな「チャンネル」を通して出会う機会になることを目指しています。