公益財団法人 伊藤文化財団

兵庫県立美術館は、前身の兵庫県立近代美術館の時代から 40年以上、美術作品、美術関連図書の寄贈、
および展覧会等への助成など様々な形で『公益財団法人 伊藤文化財団』にご支援をいただいています。

美術作品の寄贈

寄贈を受けた美術作品は、近代洋画から現代美術の分野まで多岐にわたっており、これまでに洋画91点、写真51点、素描747点など、2022年3月末現在で、総数957点にのぼります。

《主な寄贈美術作品》
羽衣天女
本多 錦吉郎《羽衣天女》1890年
明治中期の歴史画流行を証言する美術史においても重要な作品。90年間所在不明となっていたが再発見された。
仏蘭西風景
岡田 三郎助《仏蘭西風景》1901年頃
第1回文部省留学生として1897年より約4年間渡仏した際の作品。パステルの特性が十分に生かされた佳品。
喇叭のある静物
小出 楢重 《喇叭のある静物》1924年
信濃橋洋画研究所創立に参画するとともに、画風の上でも重要な転換期を迎えた1924年に描かれた貴重な作品である。
朝
飯田 操朗 《朝》1935年
シュルレアリスム的傾向で注目されながら夭折した飯田の代表作の1つ。学校向けギャラリートークでも愛されている
タラスコンの遺跡
佐伯 祐三 《タラスコンの遺跡》1925年
第一次パリ時代、南フランスのタラスコン近くにある礼拝堂の遺跡を描いた秀作。黒い描線が効果を上げている。
作品区分 作品名 作家名 制作年
洋画 羽衣天女 本多 錦吉郎 1890(明治23)年
仏蘭西風景 岡田 三郎助 1901(明治34)年頃
巴里の縁日 安井 曽太郎 1912(大正元)年
樹と道 自画像其四 岸田 劉生 1913(大正2)年
喇叭のある静物 小出 楢重 1924(大正13)年
歩む男達 小磯 良平 1955(昭和30)年
残りの山葡萄 金山 平三 制作年不明
飯田 操朗 1935(昭和10)年
タラスコンの遺跡 佐伯 祐三 1925(大正14)年
など91点
作品区分 作品名 作家名 制作年
日本画 早春風景 村上 華岳 1919(大正8)年
敏馬の海 岡本 神草 1915(大正4)年
春日 水越 松南 1917(大正6)年
春夏秋冬 丸投 三代吉 1967(昭和42)年
黄燿 東山 魁夷 1960(昭和35)年
など23点
作品区分 作品名 作家名 制作年
彫刻 陽気なトルソ ジャン・アルプ 1965(昭和40)年
ポーレット像 高田 博厚 1968(昭和43)年
花束 本郷 新 1971(昭和46)年
鼻つき洋梨と手 月曜日 森村 泰昌 1992(平成4)年
鼻つき洋梨と手 日曜日 森村 泰昌 1992(平成4)年
など17点
作品区分 作品名 作家名 制作年
版画 オスニー風景 カミーユ・ピサロ 1887(明治20)年
アイスキュロスの悲劇「オレスティア」にもとづく三連画 フランシス・ベーコン 1981(昭和56)年
人工太陽 エデュアルド・パオロッツィ 1965(昭和40)年
など25点
作品区分 作品名 作家名 制作年
素描 三泊旅行スケッチ(14点) 小出 楢重 1906(明治39)年
海外旅行(15点) 小出 楢重 1921-1922(大正10-大正11)年
大阪を歩く(10点) 小出 楢重 1930(昭和5)年
男性裸像(アカデミー・ジュリアン時代の画帳より) 安井 曽太郎 1907-1911(明治40-明治44)年
アトリエ裸婦と家族 安井 曽太郎 1926(大正15)年
仕事中の本多先生像 安井 曽太郎 1936(昭和11)年
など747点
作品区分 作品名 作家名 制作年
写真 だぶらかし A 森村 泰昌 1987(昭和62)年
だぶらかし B 森村 泰昌 1987(昭和62)年
批評とその愛人 4 森村 泰昌 1989(平成元)年
サイコボーグ 1 森村 泰昌 1994(平成6)年
セルフポートレイト 女優/ビビアン・リーとしての私 1 森村 泰昌 1996(平成8)年
など51点
作品区分 作品名 作家名 制作年
工芸 吉原 治良(絵付) 制作年不詳
など3点

寄贈美術作品合計数:957点 (2022年3月末現在)

美術関連図書の寄贈

専門性の高い洋書や古書など、入手しにくい貴重な書籍を中心に寄贈いただいており、それらは美術情報センターで来館者の閲覧が可能となっています。
寄贈美術関連図書数:5,510点
(2022年3月末現在)

その他

作品寄贈の他、毎年開催する特別展、コレクション展、チャンネル展等の展覧会に助成金をいただいています。
また、毎月第2日曜日は公益財団法人伊藤文化財団の協賛により、コレクション展の観覧を無料としています。

公益財団法人 伊藤文化財団とは

1981年、兵庫県立近代美術館開館の10年後に、伊藤ハム株式会社創業社長故伊藤傳三氏より寄贈された伊藤ハム株式会社株式500万株、及び現金2500万円を基本財産として設立されました。

同財団は、「近年におけるわが国の物質文化の発展に比して、必ずしも精神文化が均衡である姿で熟成していないことを憂い、兵庫県下の美術館や文化施設等の一層の充実を期すために、民間の立場から協力することにより、優れた芸術文化を鑑賞する機会の提供とその拡大を推進して、県民文化の向上発展に期したい」という趣旨により活動を開始されました。
その当時の伊藤傳三氏の志は、現代に通じる先鋭的な内容のものであります。

同財団は、日本では他にわずかしか例を見ない、世界レベルの考え方を持つ支援財団として、その創業地にある美術館を支えながら現在も歩みつづけています。

沿革
1981年6月 伊藤ハム株式会社創業社長故伊藤傳三より寄贈された伊藤ハム株式会社株式500万株、及び現金2500万円を基本財産として財団法人伊藤文化財団を設立。理事長に伊藤きぬゑ氏が就任し、事務所を芦屋市船戸町2番5号に置く。
1984年6月 事務所を神戸市中央区小野柄通7丁目1番1号へ移転。
1985年11月 社団法人日本博物館協会より博物館事業発展のため兵庫県立近代美術館に対する美術作品を寄贈した功績に対し感謝状を受ける。
1987年4月 同財団設立5周年を記念して「伊藤文化財団5年の歩み」発刊。
1992年7月 伊藤研一理事長就任。
1992年9月 伊藤きぬゑ前理事長より伊藤ハム株式会社株式115万株を基本財産として受納。
1992年9月 兵庫県立近代美術館にて同財団設立10周年を記念して「ムンク展」開催。
1993年11月 県民文化の高揚に貢献した功績により兵庫県文化賞を受賞。
1996年4月 兵庫県立近代美術館にて同財団設立15周年を記念して「安井曽太郎展」開催。
2002年7月 兵庫県立美術館にて同財団設立20周年を記念して「伊藤文化財団寄贈作品展」開催。
2007年8月 事務所を兵庫県西宮市高畑町4番27号へ移転。
2009年3月 兵庫県立美術館への芸術作品多数寄贈の功績に対し兵庫県知事より感謝状を受ける。
2010年3月 伊藤功一理事長就任。
2012年4月 公益財団法人に移行。
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