クラーク美術館とは

クラーク美術館(Sterling and Francine Clark Art Institute)は、米国マサチューセッツ州西部の緑豊かな美しい町、ウィリアムズタウンにあります。町へ行くには、ニューヨークから北へ、ボストンから西へ車で3時間かかり、米国屈指の印象派コレクションを誇る一方、視覚芸術の研究・高等教育センターとしても有名です。56万uの広大な敷地には、膨大なライブラリーや芸術修復センターも具えており、ここで定期的に開催されるシンポジウムや講演会、また高等教育プログラムには世界中から学生や研究者が集まってきています。
クラーク美術館の創設者であるスターリングは、ミシン製造を手がけるI.M.シンガー社の創業者だった祖父の遺産を相続し、若い頃から欧米の時代も分野も幅広い美術作品を収集しました。批評家やギャラリストのアドバイスに頼ることなく、自分の鑑識眼を信じたスターリングにとって、良き相談相手となったのが妻フランシーヌです。スターリングは、彼女のことを「絵を判断する際の私の試金石」と呼んでいました。2人は画廊に足を運んでは熟考を重ねて作品を収集し、そして1955年、2人はついに念願の美術館を設立するに至ったのです。
2010年より、建築家の安藤忠雄氏とアナベル・セルフドル氏によって美術館施設の改修・拡大工事が始まったことをきっかけに、この度の世界巡回展が実現いたしました。展覧会は、すでにイタリア、フランス、スペイン、アメリカ、イギリス、カナダと6ヶ国を巡り、計100万人以上が会場を訪れています。ルノワール作品22点を含むフランス19世紀絵画の作品群が、このようにまとまった形で巡回するのは、最初で最後の機会になるかもしれません。この奇跡のような展覧会を、同じ安藤忠雄氏設計による兵庫県立美術館で体験して、遙か遠くの知的コミュニティ、クラーク美術館にも思いを馳せてみてください。